[2003/07/05] 「アジアへの送金」 『ぶらぶら猫』がパリ・ジュンク堂の売上げ総合9位に入った。パリの日本書店という特殊な状況とはいえ、数あるベスト・セラー本とともにベストテンの中に名が入っているのはとてもうれしい。 この同じベストテンで1位に輝いたのはフランスの移民問題を扱った『移民と現代フランス フランスは「住めば都か」』(ミュリエル・ジョリヴェ著、集英社新書)である。ざっと目次を眺めただけだが、多くの移民をかかえるフランスにおける移民の実態、さまざまな問題などについて書かれた本のようだ。このような本が1位になるなんて、在仏日本人の移民問題に対する関心の高さがうかがえる。外国で異邦人として暮らす自らも、フランス社会の寛容さ・不寛容さを身をもって感じているからであろうか。 パリの街中で普通に暮らしている限り、人種的あるいは民族的差別があるようには見えない。ましてや外国人であることによっていやな思いをすることはめったにない。街歩く人々の肌の色の多様性は、地球の裏側から来た我々をも容易に溶け込ませてくれる。東京で外国人が感じているであろう孤立感をパリで暮らす外国人は感じる必要がない。
もちろんフランスの移民受け入れもすべてうまく行っているわけではない。差別や問題は確実に存在するであろうし、面白く思っていない保守主義者もいるであろう。昨年の大統領選挙の際には、極右政党の党首が決選投票に残るだけの支持を集めた。しかし同時に、彼の大統領当選を絶対に阻止しようという声が国民の間でわきおこり各地で激しいデモがおこなわれたのもフランスなのだ。 違う文化・習慣を持った人間が入ってくれば問題や混乱が起こるのは当然だ。しかし、そうした新しい「血」を受け入れることを拒む社会は確実に停滞へと向かうであろうことは歴史が教える事実のように思える。純血よりも雑種の方が強いのだ。移民に対して敷居の高い日本は、もはや「雑種文化」ではないのではないであろうか? *筆者 藤野優哉(ふじの・ゆうや):元編集者。1999年より1年間、絵描きを目ざしてパリに留学。3月に新宿書房より『ぶらぶら猫のパリ散歩──都市としてのパリの魅力研究』刊行。2003年6月17日~7月17日にかけて再びパリに滞在。 |