(2)運転免許高齢者講習会の午後
[2021/9/4]

8月28日土曜日の午後、井の頭通り沿いの都立西高の並びにある自動車学校(教習所)に向かった。とても暑い日だったが、南側に広がるコース場からは、なま暖かい風が吹いてきた。実はわたしにとって、ここは懐かしい場所である。今から50年以上!の昔、日曜日の貸しコースを利用して、自動車運転の練習をしたところだ。
75歳以上の対象の「認知機能検査」(30分、750円)を府中運転免許試験場で受験したのが、5月18日だった(「俎板橋だより」124参照)。幸いなことに「記憶力・判断力に心配ありません。」(総ルビ付き)との判定をいただいた。しかし、次のステップの「高齢者講習(2時間)」の予約がなかなか取れない。自動車学校が少なくなっていること、いやそれ以上に高齢者受験生が多いからだと言われている。そんなことで、この日の8月28日になったのである。
高齢者講習(5100円)は午後3時20分〜5時20分までの2時間。小さな講習室に講師1人、受講者4人、全員男性だ。まず、高齢者が運転する際に注意すべき点をまとめた映像を見せられる。次に各々、視野測定・夜間視力・動体視力などの運転適性検査を受ける。小休憩の後、コースに出て、これも一人ずつ教官を横に乗せて普通車による実車指導を受け、場内の道を回る。坂道蛇行や車庫入れもあった。5時40分、無事解放、これで明日から近くの警察署で運転免許証の更新(2600円)ができるのだ。

日本で車を運転する人はいったいどのくらいいるのだろうか。警察庁の資料を調べてみた。まず、日本の総人口1億2530万人のうち8216万人、およそ66パーセントの人が免許証を持っている。しかし、2018年にエポックメイキングなことが起きる。運転免許保有者数が統計を取りはじめた1966年以来、初めて減少に転じたというのだ。
さらに、高齢者の運転が問題になっているが、その免許保有者数の全体に占める割合が増加している。折しも、昨日、池袋で暴走事故を起こし母娘2人を死亡させた当時87歳の被告に禁固5年の判決が出た。この事故をきっかけに自主返納する人が増えていることも事実だ。
2019年の高齢の運転免許保有者数は以下のようだ。

80歳以上  男182万人  女58万人
75〜79歳  男225万人  女122万人
70〜74歳  男382万人  女272万人
65〜69歳  男362万人  女301万人

つまり70歳以上の運転免許保有者は1241万人になる、これは全運転免許保有者数の15%をしめる。1975年は13万人(ここから約90倍の増加)、1986年は80万人(ここから約15倍の増加)というから、高齢者の割合が年々増えていることがわかる。また85歳以上は実に3倍近く(21万8000人→61万4000人)に増えているそうだ。
やや古い統計(2004年)によれば、この時に、運転免許保有者のうちの65歳以上の高齢者の割合が、24歳以下の若年者を初めて上回ったそうだ。そして、当時100歳以上の運転免許保有者は4人いて、最高齢は104歳の男だったそうだ。現在はどうなのだろうか。

外のコースの端で実車指導の順番を待っている間に、後ろの男性が話しかけてきた。住んでいる世田谷区には空いている教習所がなかったようで、ここまでやって来たそうだ。そして自分は85歳で、普段はロールスロイス!を運転しているという。
帰り道、いろいろ考えてしまった。運転免許証には年齢制限はない。しかし、自分はいつまで運転できるのだろうか。この夏はいろいろなことがあった。15年いた九段下の事務所移転、この運転免許更新のための認知機能検査と講習の受講、そして13年目のわが老ボルボの車検、これが最後かな、誕生日を境に健康保険の切り替えも控えている。すべてが変動(チェンジ)の時を迎えている。

さて、編集者の認知症検査、編集者の高齢者編集試験があったら?
編集者にとって、視野検査、夜間視力・動体視力検査はあるのか?編集者にとって公道とは、交通事故とは?そして編集者には年齢制限はあるのか?
今晩、編集者免状!の返納の夢をみないように・・・。(笑)