千年の修験──羽黒山伏の世界
[中外日報 9月24日]
秋の峰研究の集大成
9人の体験者が全容執筆

 羽黒山荒澤寺(島津弘海住職、山形県羽黒町)で行なわれている修験道の「秋の峰修行」は、中世以来千年の歴史を蔵し、長く他言語禁制が保たれてきた。しかし一昨年、映画監督の北村皆雄氏に修行撮影の許可が下り、はじめてその全貌がハイビジョン映像に記録された。
 本書は映像製作、上映、シンポジウムの中から生まれた、秋の峰研究の集大成。執筆者は島津住職、中沢新一中央大学教授、関守ゲイノー東京大学東洋文化研究所助教授、大内典宮城学院女子大学助教授、岡千曲相模女子大学助教授、内藤正敏東北芸術工科大学東北文化研究センター教授、時枝務東京国立博物館研究員、神田より子敬和学園大学教授、鈴木正崇慶応大学教授の九人。
 回数の多寡はあるが、全員秋の峰を体験しており、文章に厚みを感じさせる。
 関守氏は、共に羽黒修験が行われている出羽三山神社と荒澤寺の異同と、両者の対立を論じる。大内氏は儀礼の「声」「音」に着目。岡氏は「六根清浄」をキーワードに、霊性が浄化されてゆく機構を明らかにする。
 巻末に北村監督のドキュメンタリー映画「修験 羽黒山 秋の峰」の全シナリオを収録。
 定価三、一五〇円、新宿書房(電話〇三・三二二六・五四五〇)刊。
[BOOK CLUB KAI 2005 秋号]
[山形新聞 2005年8月7日]
[週刊仏教タイムス 2005年7月21日号]
[ムー 2005年8月号]
[大法輪 2005年7月号]
『千年の修験──羽黒山伏の世界』(島津弘海・北村皆雄編著)は、山形の霊峰・出羽三山を道場として行じられる修験道の一派「羽黒修験」をテーマに、中沢新一氏など十人の執筆者が、さまざまな切り口でその魅力を論じたものだ。ユニークなのは、執筆者全員が、羽黒修験の秘儀「秋の峰入り」の体験者であるということ。単なる机上の研究ではない、修行の現場からの肉声が聞こえてくるような、画期的な羽黒修験考だ。
 なお、秋の峰入りの全過程を初めて記録したドキュメンタリー映画「修驗 羽黒山秋の峰」の写真付きシナリオも収録されている。
 新宿書房(?〇三−三二二六−五四五〇)税込三一五〇円
[東京新聞、中日新聞5月8日]
『千年の修験 羽黒山伏の世界』
島津弘海・北村皆雄編著

 日本古来の山岳信仰と密教や道教の影響下で、中世に成立した修験道【しゅげんどう】。呪術【じゅじゅつ】的な古代感覚と複雑な儀礼を今に残す東北地方の羽黒山伏の修験の世界を、思想・歴史・映像などのアングルから多角的に紹介した本。北村の山伏たちのドキュメンタリー映像を基に作られ、宗教学者の中沢新一や神田より子、民俗写真の内藤正敏らが、修験道の魅力的なコスモロジーを現代によみがえらせている。
(新宿書房・三一五〇円)
[信濃毎日新聞4月17日 読書欄(11面)、他に京都新聞4月24日、中国新聞4月24日など]
千年の修験    島津 弘海、北村 皆雄編著

 日本独特の山岳宗教である修験道の一大霊場、山形県の羽黒山では今も毎年、中世以来の「十界修行」と呼ばれる秘密の修行が修験者(山伏)により行われている。
 明治時代の廃仏毀釈でほとんどの山岳霊場が大打撃を受け、修験道が絶えた中で、これは非常に貴重な伝統儀礼といえ、その記録映画も最近つくられた。
 本書では、修行の主宰者と経験者九人が、修験道や羽黒修験をさまざまな視点から論じている。山伏の発生、修験道儀礼の声と音、開山伝承の宇宙観、芸能や考古学からの視点…。そして十界修行を、記録映画のシナリオとともに写真入りで公開している。
 これまで修験道は、むしろ海外の宗教・文化研究者の関心をひいてきた。近年では、羽黒山や大峰山(奈良)の「奥駈修行」の参加希望者が増えており、各地の修験寺院でも山伏修行が復活してきたという。
 本書の前書きでは、修験道を「未来千年に向かって伝えるべき思想ではないか」と押し出している。
(新宿書房・三一五〇円)
[出版ニュース5月上旬号] 
[彷書月刊 4月号]
ホンの情報(62頁)

『千年の修験 羽黒山伏の世界』(島津弘海・北村皆雄編著・新宿書房・3000円+税)
 本書の十人の執筆者、全員修験の体験者という。本特集に執筆をいただいた内藤正敏さんによる論攷は「羽黒山・開山伝承の宇宙観(コスモロジー)」。月山山頂のブロッケン現象〈御来迎〉他の写真は、体験の一端を雄弁に語る。
 ダイナミックな海と山と、本地垂迹の神々が織りなす生活と信仰の中にある羽黒山。〈他言は堅く禁制〉とされる羽黒修験。〈これより当山お駈け候〉。
[河北新報 4月17日 新刊抄]
千年の修験
島津 弘海、北村 皆雄 編著

 日本独特の山岳宗教である修験道の一大霊場、山形県の羽黒山では今も毎年、中世以来の「十界修行」と呼ばれる秘密の修行が修験者(山伏)により行われている。
 明治時代の廃仏棄釈で修験道が絶えた中で、これは非常に貴重な伝統儀礼といえ、記録映画も最近つくられた。
 本書では、修行の主宰者と経験者九人が、修験道や羽黒修験をさまざまな視点から論じている。山伏の発生、修験道儀礼の声と音、開山伝承の宇宙観、芸能や考古学からの視点…。そして十界修行を、記録映画のシナリオとともに写真入りで公開している。
 本書の前書きでは、修験道を「未来千年に向かって伝えるべき思想ではないか」と押し出している。
(新宿書房・三、一五〇円)
本の詳細を見る→<ISBN4-88008-334-8