山びとの記(増補新版) ――木の国 果無山脈
[現代林業 2006年7月号]
60ページ

■山びとの記─木の国 果無山脈
宇江敏勝著
 『山びとの記』は、熊野の山で主に造林作業に従事し、現在、中辺路に住む宇江敏勝さんのデビュー作である。
 祖父から三代にわたる炭焼きをはじめ熊野の山々を遍歴する山びとの労働と生活。その変貌と陰翳が昭和の紀伊半島に刻まれてきた。奥深い山小屋から生まれた希有な山の自叙伝である。
 この本の初版が発行されたのが1980年。増補新版で25年ぶりに登場した。
 厳しいながらも紀州の山と山での労働、山小屋の生活を愛した著者の思いがじわりと伝わってくる。
 古窯の跡を訪ねて/炭焼きと植林/青春の西ン谷/果無山脈の主/十津川春秋/食物記/果無山脈ふたたび/新しい世紀の森へ(増補)
(新宿書房?03・3226・5450 定価2100円)
[岳人 2006年5月号]
92頁93頁

 紀伊半島の果無山脈、その山深い土地に生まれ成長した著者にとって熊野の山々が生活の場であり、山が仕事場だった。
 祖父の代からの炭焼きを三代目として引き継ぎ、造林作業に携わってこの山域の時の流れと移り行く様をずっと見続けてきた。
 それは何千年も続いてきた山と人とのかかわりが変わりゆくときであり、山びととしての最後の走者としての位置におかれていることを、実感することにもなった。
 長年にわたって受け継がれてきた独自な風俗、文化、技術の山の生活が滅び去ろうとしていることを、自らの体験を通して記録しておこうというのが著者の深い思いだ。
 本書には生い立ち、家族、炭焼き、植林、仲間、山の動植物や世相などが克明に綴られ、当時が再現される。
 昭和五十五年に初版発行されたものに、その後の移り変わりの様子を「増補新しい世紀の森へ」の章として書き加え再刊された一巻。
 四六判・二八八ページ。二一〇〇円 新宿書房刊 電話03・3226・5450

[図書新聞 2006年4月15号]
[出版ニュース 2006年3月下旬号]
[望星 2006年4月]
『山びとの記』
宇江敏勝著
新宿書房 二〇〇〇円
 祖父から三代にわたる炭焼きをはじめ、熊野の山々を遍歴する山びとの労働と生活。その変貌と陰翳が昭和の紀伊半島に刻まれてきた。奥深い山小屋から生まれた希有な山びとの自叙伝が、増補新版で登場!
[中日・東京新聞 2006年2月6日]
「山びとの記 木の国 果無山脈」宇江敏勝著(新宿書房 2100円)
 一九三七年、三重県尾鷲市の山中で炭焼きを営む両親の元に生まれ、和歌山県内で炭焼き、林業に従事した著者が記した山の仕事と暮らし。エネルギー革命や高度成長という時代の激変を静かに内包しつつ、山に生きる人と自然とのかかわりあいを深く見せてくれる。七九年に出版された初版に、現在までの移り変わりを記した「新しい世紀の森へ」の章を加えた増補版。
本の詳細を見る→<ISBN4-88008-308-9