自著を語る(77)
自著紹介『死ぬまで編集者気分』 小林祥一郎
1954年の秋、平凡社に入社して百科事典雑部門を担当した。百科事典には必須だが、各専門委員会の選定からもれた雑具雑貨などの項目の落ち穂ひろい役である。たとえば制度としての金庫について書く人はいても、物としての金庫、貯金箱、財布などについて書ける人を探すのは簡単ではなく、雑部門には委員会もなかったから、町に出かけて書籍や資料を仕込んだ。私の通勤先は四番町の平凡社と神保町の古書展街との往復になった。また業界にとびこんで雑学の
博識を訪ねた。
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