(前略)といふ具合に、わたしは、漢字検定にも太宰治検定にも反感をいだいたのに、ガルシア・マルケス検定には大甘である。どうして甘くなるのか、第一に試験なんかやって金儲けをしようとしてゐない。もちろん本を売るための商策として検定ばやりを利用してゐるわけだが、その使ひ方に遊び心がある。第二に設問が上質である。(後略)
丸谷才一〈検定ばやり〉「人魚はア・カペラで歌ふ」