女(ONNA)
[アサヒカメラ 2007年9月号]
[北海道新聞 2007年7月15日]
「ベトナム山岳民族の女性を活写」
ベトナム山岳民族の生き生きとした女性たちのポートレートを収めた写真集「女(ONNA)」が、新宿書房(東京)から出版された。著者は渡島管内八雲町出身のプロカメラマン船元康子さんと、昨年亡くなった夫で同じくプロカメラマンの中原英明さん。部族ごとに異なる衣装とアクセサリーの色彩美。彼女たちの全身から立ち上るりんとした空気。助産師でもある船元さんが切り取る女性は、どこまでも美しく強い。A4変形判、百四十四頁、三九九〇円
[産経新聞 2007年7月16日]
[望星 2007年8月号]
新刊紹介
「女(ONNA)」 中原英明+船元康子著 新宿書房3800円(本体)
 フリーカメラマンとして活躍する女性と亡き夫との13回、300日にわたるベトナム山岳少数民族の女たちの取材・撮影記録。山に生まれ育ち、死してゆく女性たちの「生き抜く人間の凄みと哀れみを見据えた」注目の写真集。
[週刊新潮 2007年7月12日号]
「女(ONNA)」HILL TRIBES WOMAN IN VETNAM
中原英明+船元康子=写真    新宿書房・3990円
昨年急逝した中原と、その妻・船元。共にカメラマンの夫婦が約300日以上かけて冊鋭意した、中国・ラオス国境地帯に住むベトナム山岳少数民族の女性たち。色鮮やかな伝統衣装に身を包んだ女の生命力、逞しさを表現した日本初の「秘境の女」ポートレート集である。
[日刊ゲンダイ 2007年6月29日]
[出版ニュース 2007年7月上旬号]
[フライデー 2007年6月15日号]
本誌女性カメラマンと亡き夫の『最期のドキュメント』
撮影・文 中原英明・船元康子

ベトナム山岳民族「美しき女たち」の横顔

 日中の家にいるのは、昼寝をむさぼる男たちだけだった。少女も母親も老女も早朝から、徒歩で片道2時間かかる田畑に出かけてしまっているのだ。夕暮れどきになると、女たちは籠いっぱいの荷物を背負い、赤ん坊を抱いて帰ってくる──。
 中国・ラオス国境近くのベトナム北部山岳地帯。この一帯には様々な少数民族が暮らす。伝統衣装に身を包んだ女たちは、労働や育児その他の生活基盤を一身で支えている。男たちが汗水たらして働くことは少ない。地域差はあるものの、「女のほうが強い」文化圏なのである。
 強さの反面、女たちはとても照れ屋で、カメラを向けると物陰に隠れてしまうこともあった。しかし、打ち解けると、モデルのようにポーズをとったり、ラジカセや装飾品といった「宝物」と一緒に撮ってくれとせがんできたりした。
 彼女たちのなかには、一日の生活費が1ドル以下という、いわゆる貧困層も多い。しかしその生き方は、「美しい国」というどこかの国の浅薄なフレーズとは正反対の力強さを秘めていた。

 これらの写真は、本誌の船元康子カメラマンが、昨年6月にガンで亡くなった夫で写真家の中原英明氏とともに計13回・延べ300日以上かけて撮ったもの。作品は、写真集『女(ONNA)』(新宿書房より6月5日発売)に収められている。
本の詳細を見る→ISBN978-4-88008-366-4 C0072