野本三吉 ノンフィクション選集内容見本
1.不可視のコミューン−共同体原理を求めて−
  野本三吉著
  46判 304頁 本体2000円
  コミューン(共同体)の原像と共生の世界を求めて、日本各地の土着共同体
  をめぐって放浪する著者の鮮烈なデビュー作。1970年刊の同名書(社会
  評論社)に「スウェーデン・コミューン紀行」を増補収録。

  【目次】
  
   不可視のコミューン
    一 〈学校〉の原型としての共同体
    二 共同体の原型 @−ヤマギシカイ
    三 共同体の原型 A−汎神的母性我
    四 共同体論への視点−表現を奪われたものの復権
  
  
   山びこ学校への挑戦−無着成恭批判の視点@
    一 戦後教育のエポック
    二 正干君は長ぐつを手に入れたか
    三 主人公は無着先生だ
    四 子どもの〈欲望〉をどう捉えるか
   無着式労働観の底辺−無着成恭批判の視点A
    一 補足のためのノート
    二 〈藤三郎〉にとっての〈山びこ学校〉とは何か
    三「生産性」の倫理と「疎外」の論理
    四「生活綴方」方式の幻想
   戦後児童史断章
    一 絶対多数の論理
    二 浮浪児と混血児の思想
    三 ジャングルの思想
    四 思想的原点は可能か
    五 戦後沖縄児童史ノート
   
  。
   反学校コミューンの原像−教育農場にふれて
    一 〈教育〉を拒否した地点から
    二 教育農場での生活と人間像
    三 反学校コミューンへの旅
   韓国ノート
    一 「朝鮮、悪い言葉。使ってはいけません」
    二 大邱の日本婦人たち
    三 雨ふるソウルで……
    四 ぼくの内なる〈戦後〉への旅
   放浪ノート
    一 裸族誕生
    二 「先生ってやつは、手配師だよ」
    三 「二代目」はダメか?
    四 爆破の思想
    五 旅立ちは朝にかぎる
     
  「
   自治共同体試論−「キブツの生活」にふれて
    一 ぼくにとってユダヤ人とは何か
    二 ユダヤ人にとってユダヤ人とは何か
    三 キブツとイスラエルの関係
    四 人間および人間的関係
   父母の論理・男女の論理
    一 人間の〈原形質〉としての子ども
    二 所有関係としての親子関係
    三 男女の論理の復権
   人間関係論への序章
    一 自己認識と人間関係
    二 自然奪還と関係の変革
    
   あとがき
   
   増補 
    スウェーデン・コミューン紀行
    『不可視のコミューン』著者解題
      
  月報目次
   生成の海……………………見田 宗介
   直観と流動の人……………木村 聖哉
   この世の中に中心はない…阿木 幸男
   [日記]から………………野本 三吉
      

2.風になれ!子どもたち−児童ケースワーカー・10年の記録−
  野本三吉著
  46判 306頁 本体2000円
  いじめ、自殺、虐待。学校、家庭から見放された子どもたちと児童相談所に
  勤めた著者の感動とふれあいの記録。1992年刊の同名書に「ワーカー日
  誌」を増補収録。
  
  【目次】
  ほんとうの自分が目覚める時刻
  
  第一章
   子殺しとはなにか−ほんとうはなにがしたいの−
    氈@二階から投げ落とされた一太郎君(0歳)
     母親・香織さんの生活史
    。 家族のなかで孤立する陽子ちゃん(小学三年生)
    「 子殺しとはなにか
  
  第二章
   家出とはなにか−自分さがしへの旅−
    氈@両親から捨てられた瑞枝ちゃん(小学二年生)
     瑞枝ちゃんのさすらい
    。 智子さん(中学二年生)の詩【うた】
    「 子どもの家出とはなにか
    
  第三章
   教室を超えて−一歩まちがえると死−
    氈@真希子さん(中学三年生)の場合
     杉本治君(小学五年生)の自殺
    。 治君事件の経過
    「 おとなの本音、子どもの本音
    」 一歩まちがえると死
    
  第四章
   制服にさようなら−いのちの共鳴−
    氈@子どもにとって児童相談所とは
     春夫君(中学二年生)の不登校
    。 自分の姿をみつけだした春夫君
    「 厚子さん(中学三年生)の場合
    」 制服にさようなら
    
  第五章
   生活圏の蘇生−支えあいの関係史−
    氈@幸太郎君(中学二年生)のこと
     幸太郎君を見る地域の目
    。 幸子さん(小学六年生)一家の場合
    「 生活圏の蘇生
     
  第六章
   子ども観の変革−あとがきにかえて−
    
  付録
   ワーカー日誌−1988・4・1〜1989・1・7
   『風になれ!子どもたち』著作解題
    
  月報目次
   私の『風になれ! 子どもたち』…鹿野 誠一
   『人になれ!子どもたち』………島根三枝子
   野本さんのこと……………………川崎二三彦
    

3.風の自叙伝−横浜・寿町の日雇労働者たち−
  野本三吉著
  46判 304頁 本体2000円
  横浜のドヤ街・寿町に日本中から流れてきた労働者たちの個人史を克明にま
  とめあげた、民衆の生活史。1982年刊の同名書に「最後の地母神−寿町
  の母親たち」を増補収録。
  
  【目次】
   クマさんの唄−工藤勇吉さん
  
   上肩一代−佐藤勘治さん
  
   巷の哲学者−宮園勇一さん
  
   寿哀歌−大野健一さん
  
   再会−高村武夫さん
  
   還俗の生きざま−藤岡慶秋さん
  
   漂海民の唄・序説
  
   「寿夜間学校」ノート
  
   生命の伝承・覚書−寿町での十年誌
  
   あとがき
  
   増補
    最後の地母神−寿町の母親たち
  
   『風の自叙伝』著者解題
  
  月報目次
   日雇い・学校・祭り−寿町コミューン…富田鉄之助
   「生活者」、そして野本三吉の世界……小田  毅
   野本さんとの出会い………………………益   厳
   

4.裸足の原始人たち−横浜・寿町の子どもたち−
  野本三吉著
  46判 312頁 本体2000円
  横浜のドヤ街・寿町に住む子どもたちの野生のたくましさと可能性を秘めた
  様を描く。第1回ノンフィクション賞受賞作。1974年刊の同名書(田畑
  書店)に「生きる場としての地域」などを増補収録。
  
  【目次】
  序章
   寿の街について−寿地区沿革小史−
   
  第一章
   父と子の原像
    亀太郎さん殴り込み 父と子の二人共同体 肉体労働者の精神
    無賃乗車事件 狩猟民の生活
    
  第二章
   籍のない子どもたち
    栄養失調の母 幼童たちの生活 家族のはじまり
    籍のない子の父と母−その履歴書
    
  第三章
   男バンチョウ流れ唄
    父を失った和夫君 寿少年卓球チーム シンナー少年の溜り場
    林田君との出会い アパッチ登場 情熱の教師像
    
  第四章
   水瓶座の少女
    生活保護の少女 冬のマグロ師 身を売る少女
    女の「不可逆」性 聖なる少女
    
  第五章
   親を捨てる子どもたち
    登美雄君の家出 傷ついた子犬 基礎集団としての「家」
    自分の力で生きてゆく 親を選ぶ権利
    
  第六章
   少年院は呼んでいる
    家裁での判決 アルコール中毒の父 父の自殺と精神病院
    母のもとに帰る子 「申述書」は語る
    
  第七章
   狩猟民の末裔
    減ってゆく有子世帯 「子ども組」の蘇生 子ども食堂
    体験主義の教育 母の土着の思想
    
  あとがき
  
  増補
   生きる場としての地域
   自分さがしの場としての救護院
   『裸足の原始人たち』著者解題
   
  月報目次
   寿の子どもたちの今………………山埜井聖一
   『裸足の原始人たち』によせて…村田 栄一
   二五年前の出会い…………………鈴木三千翁
   
   
5.出会いと別れの原風景−社会福祉ゼミナール・10年の記録−
  野本三吉著
  46判 324頁 本体2000円
  小学校教諭、日本・沖縄・アジア放浪、寿、児童相談所、大学。生命の共鳴を求
  めて異色の道を歩む野本三吉。社会福祉ゼミナールで「学びの場」「学びの
  原風景」としての大学を目指した、10年の記録。
  
  【目次】
  第一章
   大学とは何か−出会いの原風景−
    一 大学教師になる
    二 はじめてのゼミ合宿
    三 鎌倉アカデミア
    四 学び合いの場づくり
    五 卒業論文とフィールド
    六 社会臨床への挑戦
    
  第二章
   福祉とは何か−学びの原風景−
    一 地域作業所をつくる
    二 ボランティアとは何か
    三 福祉を支える人々
    四 原点としての救護施設
    五 スウェーデンに学ぶ
    六 出会いと交流のゼミナール
    
  第三章
   いのちとは何か−別れの原風景−
    一 身体といのちの再発見
    二 生きる証【あかし】・俳句会
    三 文理学部の再編成
    四 別れの原風景
    五 寿識字学校三十年
    六 阪神・淡路大震災
    七 つながりをみえるものに
    
  第四章
   魂とは何か−暮らしの原風景−
    一 「大地」に生きる
    二 暮らしをつくる
    三 ゼミは心のコミュニティ
    四 ソーシャルワーカーとして生きる
    五 生きる権利・あおぞら宣言
    六 魂をつなぐもの・沖縄
    七 魂の世代継承
    
  あとがき
  
  月報目次
   〈出会い〉から〈学び〉へ………………児玉  亮
   福祉の原点…………………………………川上 芳香
   生き方の魅力………………………………藤田 慎一
   「らせん」を通してつないでいくもの…小林まどか
  

6.未完の放浪者−魂の通過儀礼
  野本三吉著
  46判 324頁 本体2000円
  野本三吉ノンフィクション選集がついに完結!!4年余りにわたる青春彷徨
  記。北海道から沖縄、山谷に至る各地の地域コミューンを放浪した著者が自
  らの魂の軌道を辿る60年の自分史。  
  
  【目次】
  第一章
   いのちが呼吸する世紀へ
   (一)二〇世紀とはどんな時代か
   (二)個人史の中の二〇世紀
   (三)共存的世界は可能か
   
  第二章
   自立と連帯の思想
   
  第三章
   新たな出会い、そして別れ
   (一)雪原の教育農場
   (二)教育コミューンの構想
   (三)釧路児童相談所
   (四)肉体は思考する
   (五)野生の美学
   (六)北国の「収穫祭」
  
  第四章
   欲望を断つことは可能か
  
  第五章
   悲しみと怒りは人を解放するか
   (一)故郷喪失者の悲しみ
   (二)山谷コミューンの夢
   (三)都市崩壊はありうるか
   
  第六章
   いのちの故郷・沖縄
   (一)宮古島の神秘
   (二)流浪する「神々」
   (三)父と母の伝説
   (四)いのちの共同体
   
  第七章
   魂の通過儀礼
   (一)吾、日月の上に座す
   (二)今こそ天地創造の日
  
  あとがき
  
  野本三吉自筆年譜
  
  月報目次
   生まれずる出会い…………………………加藤 次郎
   壁を溶かす力………………………………岸田  哲
   源流への遍歴〜古部族研究会のころ〜…北村 皆雄
   『ぼくは太陽の子どもだった』…………野本 三吉