ああ

与呂見のアオガエル

[2002/06/10]

江崎 満

村山さんへ。久しぶりです。江崎です。「港の人」の上野から村山さんのコラムのことを聞き、早速拝見しました。

村山さんの仕事ぶりや思いがよく伝わってきました。特に、山尾三省さんの葬式のところは我輩もその場にいるような臨場感を味わいました。屋久島には行ったことはありませんが、眼前に広がる海や山の風景まで見えてくるようです。今、原稿に悪戦苦闘している我輩にとってとても刺激になり、まるで兄貴に叱咤激励されているようでもありました。

また、ナナオ・サカキの名に懐かしい思いもしました。我輩は部族やヒッピーとは世代も少し違って関係ありませんが、何年か前ナナオのじいさんがここ与呂見にちょこちょこやって来たり、冬の間長逗留していたことがあるのです。我輩の仕事場で一緒に粘土を作り窯焚きをしたり、また雪を踏んで一緒に水星を見に行ったりもしました。彼は70歳に近かったと思いますが、まるで青年のような溌剌とした精神とあくなき好奇心、山をどんどん歩く脚力には驚かされたものです。

こちらは今、田植えが終わったところです。次第に田んぼも増えて40枚、3町の田んぼです。もう田んぼが作れなくなった村のじいちゃん、ばあちゃんが先祖代々の田んぼが草で荒れるよりは我々に作って欲しいといってくるのです。

我々の田んぼは深い田んぼが多く、泥と格闘しているような有り様ですが、それでも新緑の中、カッコウやホトトギスの声を遠くに聞きながらの仕事で、気持ちの良いものです。身体も久しぶりにガチガチになりましたが足の筋肉も腕の筋肉もバリバリと音を立てて甦ってくるようで爽快です。

ここ与呂見は朴の葉が大きく開いて木のてっぺんに花も開きました。新緑のピークを過ぎたところでしょうか。毎年この時期の噴出する緑たちには圧倒されます。生きて息をしている緑たちです。

新緑の中で、シュレーゲルアオガエルに出会いました。こいつはこれまで出会った中で1番でっかいやつで10センチくらいはありましたか。我輩は何故かこのカエルに魅かれるのです。カエルには昔から、いや我輩が人間として生まれるずっと以前から銀河系のどこかで仲良しだったのではないかと、そんな風に思えて仕方ないのです。

ほんじゃまた、お元気で。

シュレーゲルアオガエル だいこんの花

 

*著者(えざき・みつる)は、輪島市の与呂見で農業のかたわら、版画や作陶をなりわいにしている。


 


あああ
あああああああ