今回のコラムは掲示板です。
ドキュメンタリー映画『キャメラを持った男たち−関東大震災を撮る−』
いよいよ、8月25日の東京都慰霊堂での特別上映会が近づいてきた。ここは大震災直後、避難してきた群衆4万人のうち、およそ3万8000人が焼け死んだ場所だ。そして翌26日からは全国各地の映画館での上映が一斉に始まる。
なお、この作品は「山形国際ドキュメンタリー映画祭2023」など3つの映画祭に招待されている。
最新のパンフ(2p版)デザイン=桜井雄一郎
劇映画『福田村事件』
8月1日、渋谷の円山町へ。劇映画『福田村事件』の試写会に行ったのだ。監督は森達也。この映画の企画・脚本に参加している友人の荒井晴彦さん(雑誌『映画芸術』の発行人・編集長でもある)から、試写状をいただいたのだ。ほぼ満員の試写会場。出演者のせいか、女性客が多い。現代書館社長の菊地泰博さん、同編集部の原島康晴さん、そしてPlus & Todayの阪本良さんも来ている。関東大震災から5日後の1923年9月6日。千葉県東葛飾郡福田村(現・野田市)で地元の自警団を含む村人らにより、香川から来た薬売りの行商団15人のうち、幼児3人(2歳、4歳、6歳)、妊婦を含む9人が、鳶口、棍棒などで殴打暴行を受け、水中に投げ込こまれて死んだ事件だ。行商団は、讃岐弁で話していたことから、朝鮮人と疑われて殺害されたのだ。
帰ってから、映画の原作本である『福田村事件―関東大震災・知られざる悲劇』(辻野弥生、五月書房新社、2023年)を版元から購入する。元版は2013年の流山市にあった崙書房出版から刊行されていた。
『福田村事件―関東大震災・知られざる悲劇』カバー
同時に購入した本、図書館から借りた本を下に記してみる。
『世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい』(森達也、ちくま文庫、筑摩書房、2008年)ここには「ただこの事実を直視しよう」(2001年1月)という「福田村事件」についての文章が収録されていた。
『九月、東京の路上で―1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(加藤直樹、ころから、2014年)
『関東大震災 描かれた朝鮮人虐殺を読み解く』(新井勝紘、新日本出版社、2022年)著者は色川大吉ゼミの学生だった頃、あの「五日市憲法」を深沢家の土蔵で発見した人だ。
『関東大震災 朝鮮人虐殺の真相――地域から読み解く』(関原正裕、新日本出版社、2023年)
『かくされていた歴史―関東大震災と埼玉の朝鮮人虐殺の事件―』(増補保存版、関東大震災六十周年朝鮮人犠牲者調査追悼事業実行委員会、日朝協会埼玉県連合会、1987年)
後の4冊には「福田村事件」は登場しない。また最後の2冊は埼玉県で起きた虐殺事件に集約した本である。
『世界』9月号に登場する、『福田村事件』と『キャメラを持った男たち』
8月8日に発売される『世界』9月号。見本誌が編集部から送られてきた。
『世界』9月号表紙
目次
目次の左頁をみると、3本の原稿が目に入る。
「インタビュー 見たことのない虐殺を撮る―映画『福田村事件』について」・・・森達也
「人間を取り戻し、虐殺をやめるために―関東大震災と日本の社会」・・・外村大
「生き残った【震災記録映画】―『キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る』」・・・とちぎあきら
写されていた震災の映画のフィルムから、これを撮影した3人のキャメラマンを探し出すまでを描いたドキュメンタリー映画。写されてない虐殺、見たことのない虐殺をほぼ忠実に再現した劇映画。この2本が、共演している。
「生き残った【震災記録映画】―『キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る』」の一部