(87)ある本の誕生まで—著者と編集者の往復書簡(その4)
[2020/9/5]

[前口上]
S先生のこと』(尾崎俊介著)を出版したのは、2013年2月のことである。先日、著者の尾崎さんから、メールをいただいた。
「パソコンの機種を変えることになって、昔のメールを整理していたら、『S先生のこと』が生まれるまでのメールのやり取りが残っていました。これをつないでみたら、面白い読み物になりましたよ」
そこで、尾崎さんのご了解を得て、約1年間にわたるこの往復書簡を、4回に分けて紹介したい。この物語は2012年に始まった。今回は最終回の4回目となる。
日本エッセイスト・クラブ賞受賞まで続く、細くて長い一本の道。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
企画:尾崎俊介
記録:尾崎俊介
出演:尾崎俊介+村山恒夫
特別出演:Q(杉山さゆり)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●村山さん!!
先ほど、林望先生から望外の感想を聞かせていただきました。
以下、内容をコピーします。

尾崎俊介さま
しばらくご無沙汰をしておりまして、申し訳ありません。
さて、お恵贈いただきましたご好著『S先生のこと』ほんとうに惜しみ惜しみ、少しずつ少しずつ拝読しておりましたが、じつはもうしばらく前に、とうとう読み終わってしまって、すぐに読後の所感などお書きしようと思いながら、東奔西走、源氏執筆などの多事に取り紛れ、ご挨拶が遅くなってしまいました。
一言で申しまして、大変に面白く、また読みごたえもあり、そしてなにより、読後の心事はきわめて重いものがありました。
私自身は、御存知のように、国文学の徒であり、米文学には興味がなかったせいもあり、須山先生のことも、またそのお仕事のことも全く無知でありましたが、それでも、尾崎さんの心の底からの叫びを刻んだような、ご高著の行間字間から、先生のおどろくべき一生が立ち上がってきて、まことに好箇の評伝となっていると思いました。
とくに、聖書のヨブ記の正確な解釈を知るために、ヘブライ語を一から学んで、その解釈が審定しがたいということを発見したという、そのあたりは、涙無くしては読めないところでありました。
それにしても、尾崎さんは、なんという幸運な人生を生きてこられたことでしょうか。これほどに尊敬できる人生の師と巡りあって、その謦咳に接し、その薫陶を受け、その業績を血肉とするがごときは、めったとあることではない、希有の幸運のように思います。
大橋吉之輔先生は、私どもが学生時代に「英米文学概論」というような講義をしておられましたが、私はついにその講筵に列したことはありませんでした。しかし、ご高著を読んでみると、ああ一度は聞いておけばよかったなあ、と帰らぬ昔を嘆いたことです。
ご高著については、近々に、まあ小さなものですが、私も書評など書こうと思っております。書いたとて殆ど販売には寄与しないと思うのですが・・・。
それで、日本エッセイスト・クラブ賞の審査委員会のほうへ、推薦をさせていただきました。うまく審査委員の先生がたが評価してくれるといいのですが。今だれが審査しているのかも知らないので、どのくらいの可能性があるかはわかりませんが、有力候補になることは間違いないと確信しています。これがうまく取れるといいですね。
須山先生のご著書は、現状ではなかなか入手困難なものばかりですが、これから少し気をつけてみて、古書などで手に入るようだったら、買って読んで見ようとおもっております。
というわけで、ひとことお礼と、所感まで。
とりいそぎ。

いやあ、こういうことを書いていただくと、本当に励みになりますね! 

尾崎俊介


●尾崎さん
まさに望外のメールです。
このまま、どこかに載って欲しいです。

村山


●尾崎俊介さん
三木卓氏が書いてくれました。添付したのはまだ未校正のゲラだそうです。
『神奈川近代文学館』という同文学館の季刊誌。4月15日発行だそうです。
ここに、須山さんか須山さんと尾崎さんが一緒に写っている写真、どちらかがほしいと、編集部の浅野千さんという女性からリクエスト。
この欄は、文学者、文化人の交遊エッセイで、中央に関連の人物写真を配しているそうです。
1)須山先生の写真:これはチラシに使った画像が当方にあるので対応できます。
2)お二人の写真:なにかあれば、このほうがいいのでは。紙焼きか350dpi以上の画像データ。
どうでしょう。
それにしても良い文章です。
3月10日までに欲しいとのこと。


●村山さん、
いやあ、三木卓先生に手紙つきで本を送ったのは大成功でしたね!
こんなに素敵な書評を書いていただいて、身に余る光栄!
とはいえ、ざっと読む限り、この文には何カ所か訂正が必要ではないかと。
まず第1 コラムで、先生の亡くなったのを2010年としていますが、2011年の誤り。また「83歳」ではなく、「85歳」で亡くなられたので、そこは直してもらいたいところ。次に「講読」と書くべきところを「購読」となっているのが第1コラムと第2 コラムの後ろの方にそれぞれ一か所ずつ。
第2コラム右から4 行目、「徹底に」は「徹底的に」ではないか?
第3コラム最初の行、「またって」は「わたって」か?
第3コラム7行目、「旧訳と口語訳」ではなく、「文語訳と口語訳」か。
第3コラム、第2パラグラフの最終文、「逆に納得できる・・・」は、「遂に納得できる・・・」ではないか?
第3コラム、第3パラグラフ冒頭文、「いままでもちろん」は「いままではもちろん」あるいは「いままでももちろん」の意か?
第3コラム最後の行、「いたのだ、思った」は「いたのだ、と思った」ではないか?
私が気付いたのは、以上です。
さて、もう1点、写真の件ですが、私が一緒に映っているものがあるかどうか・・・?
探してみますが、もしない場合、『S先生のこと』のパンフレットに使った写真を提示する、というのでは駄目でしょうか。
週末、所用あり駆け足で実家に戻りますので、その時、写真を探してみます。その時点でまたメールで連絡しますね。
それにしても三木卓先生のような高名な方にこれだけ書いていただいて、非常に嬉しいです。これが出る4月の時点で、お礼状を書くつもりです。

尾崎俊介


●尾崎さん
三木さんの原稿は手書き、編集部で入力、未校正のゲラといいますから、誤りが多いはずです。著者校正でかなり赤字も入ると思います。
先方はぜひご指摘を下さいと言ってきています。ほかにもありましたら、お教えください。当方でまとめて、先方にファックスします。

>さて、もう1点、写真の件ですが、私が一緒に映っているものがあるかどうか・・・?
>探してみますが、もしない場合、『S先生のこと』のパンフレットに使った写真を提示する、というのでは駄目でしょうか。
> 週末、所用あり駆け足で実家に戻りますので、その時、写真を探してみます。その時点でまたメールで連絡しますね。

保険として、チラシのあの写真でいいと思います。
しかし、ツーショット、期待します。
研究社の津田さんは、「尾崎さんは気づいていたかどうかわかりませんけど、
これはもうほとんど小説みたいなエッセイになっているのだと思います。だから須山さんを知らない人であっても、この本は感動的でありうるはずだと思っています。」とメールしています。
この本は、三木さんの心にストレートに響いたのでしょうね。
もちろん、手紙もよかった。

村山


●尾崎さん
三浦雅士さんの住所;郵便番号000-0000 杉並区下井草0-00-0
昨日あたりから、注文が来ています。
四釜(裕子)効果でしょうか?
https://booklog.kinokuniya.co.jp/shikama/archives/2013/02/s.html

村山


●村山さん、
お、注文が来ている、いいですねえ一昨日、愛書家倶楽部で会った後輩なども、「書店になかったのでアマゾンで買いました」と言ってくれましたし、教え子で女優になっているのに送っておいたら、「5冊注文しました。演劇仲間に宣伝しておきます」とのこと。原田真人監督などとも親しいようですので、その辺りに渡るといいですなあ。
三浦氏、手紙つきで送っておきますね。
それから写真、やっぱり小さすぎますかね・・・。

尾崎俊介


●村山さん、
ジュンク堂イチオシ、いいですね。これで近々「日本の古本屋」メルマガも出、『三田評論』も出、三木卓先生の書評も出、北海道新聞の書評も出、という具合に波状攻撃で行きたいものです。
先ほど、写真を投函してきました。明日か明後日にはそちらに着くと思います。

尾崎俊介


●村山さん、
中日新聞よりインタビューの申し出あり!やった~!
村山さんのプッシュのお陰です。スゲー!やった!
村山さん、インタビューは19日、私の研究室で、ということになりました。今日は床屋に行って、ぼさぼさの髪を切ってきましたよ。

尾崎俊介


●村山さん、
今、石屋さんの取材が終わりました。結構、じっくり話ができたのじゃないかと。記事は4月7日に出るみたいです。多分、中日と東京の両方に。

尾崎俊介


●尾崎さん
ほんとうに、ご苦労様でした。
石屋さん、どんなひとでしたか?
4月7日、中日(東京)ですね。
あと、3月25日、日本の古本屋メールマガジン、
4月1日、三田評論、
4月10日、神奈川近代文学館
6月6日、日本エッセイスト・クラブ賞発表ですね。
朝日、毎日、読売に出ないですかねー。

村山恒夫


●村山さん、
石屋さん、意外に若い人でしたよ。私と同じくらいか、むしろ若いくらいじゃないかなと。でも一生懸命に話を聞いてくれて、ノートも4、5ページ分くらい書きとめてくれていました。もちろん、テープも回しながら。
三木卓さんの書評、4月10日に出るんですね。
林望さんは、おそらく、週刊読書人に書評を書いて下さるおつもりではないかと思います。私の本を読む前に読んでいたという、髙宮利行先生の『本の世界はへんな世界』の書評が、近々読書人に出るようですから。

尾崎俊介


●村山さん、
今日、京都にお住まいの山田稔さんという方からお手紙をいただきまた。
それによると、山田さんは新宿書房から拙著を寄贈されたとのこと。
ということは、村山さんのお知り合いですか?山田稔さんって、どなたでしたっけ?私、前に聞きましたっけ?
それからその山田さんからご指摘があったのですが、拙著104頁にある
「すべからく」という言葉は、誤用だとのこと。辞書で調べたら、たしかに誤用でした。
もし増刷があるのであれば、その時直したいと思います。

尾崎俊介


●尾崎さん
この方、小説家、エッセイイスト。
専門はフランス文学。長老です。
すべからく・・・。確かに。
ここは、英語で言うと、何でしょう。
お礼の手紙を出さないといけませんね。

村山


●村山さん、
もちろん、内容、文章ともにほめて下さっています。
「須山静夫氏の名前は翻訳で知ってはいましたが、ただその程度だったので、その人を恩師としてこのような本を一冊書くアメリカ文学の研究者がいまどきいるという事実におどろき、そしてその敬愛の念の深さに打たれました、たんなるオマージュでなくりっぱなヒューマン・ドキュメントというか評伝文学と云えるでしょう」
「『S先生のこと』は、内容だけでなく文章も礼儀正しく、端正で、こちらも感心しました」
云々。その先に、「ただひとつだけ・・・」と、「すべからく」の問題を指摘されています。
なお、山田さんは私のもう一人の恩師である大橋吉之輔先生とも手紙上のやりとりがあったとのことです。
とてもいいお手紙ですので、早速、礼状を出すつもりです。

尾崎俊介


●尾崎さん
ぼつぼつ注文が来ています。
しかし、この書評(『毎日新聞』5月12日)、なにより堀江敏幸のエッセイであること。テーマを須山静夫にしていて、尾崎俊介が何者であるか、その書き振りには筆がいってないのが問題。毎日新聞は著者の紹介欄もないのですから。
それが本に向かわないといあだなと、杞憂しております。
山田稔さんから読書カード着。
「大変よかった。ただ〈すべからく〉は校正の段階でチェックすべきでした」と記されています。

村山


●村山さん、
なるほど、須山先生についての堀江さんの作品、になってしまっているわけですね・・・。しかし、アマゾンの在庫もあっという間に払底してしまったようですし、やはり堀江効果はあったのでは?
堀江さん、山田さんには礼状を既に出しておきました。山田さんはご自身、エッセイスト・クラブ賞の受賞者のようですが、山田さんも推薦してくれないかしら・・・。
この先、朝日・読売に出ればいいのですが・・・。
今週末あたり、現時点で把握している修正箇所をリストアップして、代案を作ります。

尾崎俊介


●尾崎俊介さま
山田さんに手紙を書きます。
なんと直すと書けばいいですか?
毎日新聞の反応。
この3日でおよそ80冊注文。
もっとあるかなと思っていたのですが。
堀江書評の効果を期待します。
でもなかなか大変です。返品も来ているので、なんとか持ちこたえてほしい。在庫はまだまだ沢山!ありますので。

村山


●村山さん、
「すべからく」の直しですが、
1・・・主人公たちは、皆「死」にとりつかれている
2・・・主人公たちは、誰も皆「死」にとりつかれている
3・・・主人公たちは、皆、例外なく「死」にとりつかれている
の3案を考えてみました。
それで、一番シンプルな第1案がいいかなと思うのですが、村山さんは同意されます?
一応、私としては第1案で行くとして、もし村山さんに「いや~、こっちの方がいいんじゃないの?」という思いがありましたら、再考します。
それにしても、3日間でたった80冊ですか・・・。マスコミの影響というのはもっと大きいのかと思っていましたが・・・。
色々勉強することがありますね。
ネット上の評判を見ると、「涙なしには読めない」とか「こういう人(須山先生のこと)が居たのか・・・」などと、上々の反応で、読んだ人には評判がいいことははっきりしているのに・・・。
朝日・読売に書評が出ても、その程度の効果しかないのでしょうかねえ。そう考えるとやっぱりここは賞が欲しい! エッセイスト・クラブ賞をとれば、もっと注目してもらえるでしょうからね。

尾崎俊介


●尾崎さん
「すべからく」直し案。
1でしょうか。3はくどいですが、わかりやすい。
どうでしょう?
朝日・読売に書評が出ても、その程度の効果しかないのでしょうかねえ。いや、毎日は3大紙の中では小さい。でも読書人読者は多いといいます。
そう考えるとやっぱりここは賞が欲しい! 
エッセイスト・クラブ賞をとれば、もっと注目してもらえるでしょうからね。


●尾崎さん
携帯でお話ししたかったのはそのこと!
エッセイスト・クラブの事務局から今朝電話。
「最終選考に残ったので、10冊8掛けで買う、すぐ送れ」
なんでも6月5日に最終選考委員会があるとのこと!
最終選考には6作が残っている。
事務局の方は「とても深い内容の本ですね」と言われました。

村山


●尾崎俊介さん
編集者というのは暢気な商売。
尾崎俊介がエッセイスト・クラブ賞をもらった先のことを考えます。
つまりここで名エッセイストの誕生です。
となると尾崎エッセイ本がほしい、となります。
エッセイの依頼も増えます。間違いなし、
「教授のおすすめベストセレクション」とか。
「米文学ベストエッセイ」
「クルマとアメリカエッセイ」
いや、いや、暢気です。

村山


●村山さん、
先ほどはいいニュースを伝えていただいてありがとうございました。
もちろん、決定するまではアレですが、しかし、最終選考に残らなければそもそも脈がないわけですし、逆に残った以上は可能性は高い。読んでもらえさえすれば、という自信は多少はありますからね。
また、もし受賞したら、と考えると、その先のことが楽しみになりますね! エッセイの依頼か、あ・・・。夢みたい・・・。
ところで、何せ2005年から8年もブログを更新し続けていますから、あの3000近いブログの中から時間的な制約を受けない、割と普遍的な内容のものを選んで集めたら、たちどころに1冊分はエッセイ集が出来ますよ。もちろん、『S先生のこと』のような文学的なものではなく、もう少し気楽なものになると思いますが。
もしそんな風に自選エッセイ集を編んだとして、それ、村山さん、興味あります?
受賞の勢いで、もし、そういう自選エッセイ集を出して売れて、新宿書房の益になると予想されるのであれば、私としてはそれ、村山さんに託してもいいですよ。
なにせ、あれだけ多くの出版社に断られた後、村山さんだけが私の原稿を拾ってくれたんですからね。ここはひとつ、恩返し、恩返し。
さて、それから山田稔さんへの返答ですが、シンプルに「皆」の一語で行きますか。あの本は、すっきりした水のような文体で通したいので、シンプルな方がいいかも知れません。

尾崎俊介


●尾崎俊介さん
▲さて、それから山田稔さんへの返答ですが、シンプルに「皆」の 一語で行きますか。あの本は、すっきりした水のような文体で通し たいので、シンプルな方がいいかも知れません。

上の線で行きましょう。

▼なにせ、あれだけ多くの出版社に断られた後、村山さんだけが私の原稿を拾ってくれたんですからね。ここはひとつ、恩返し、恩返し。

え、断った出版社、そんなに沢山あったんですか?研究社、南雲堂、とか・・・

▼もしそんな風に自選エッセイ集を編んだとして、それ、村山さん、興味あります? 

見せてください!ただ、なにか著者の性格がほしい。リンボウ先生でないが。
偏屈、頑固、蘊蓄、スタイリッシュ、などなど。
ご専門と社会風俗の触れ合いが通底するもの。

村山


●村山さん、
ええ、相当断られましたよ。
私もこれで学術出版社には割と顔が利く方なのですが、それでも断られてしまう。追悼文集は売れないということで。
◆◆社には、「80万円出すなら出してやってもいい。その代わり、どうせ売れないから、著者が手売りすることが条件」と言われました。その他、色々なところから、けんもほろろなことを言われましたね。その他、「書き方に工夫がない」とか。まったく、こういう編集者ってのは、一体、何なのでしょうかね?
まあ、いいですわ。エッセイスト・クラブ賞とって、彼らに彼ら自身の不明・無能ぶりを思い知らせてやりましょう。
それはそうと、釈迦楽教授のベストセレクション、早速、取り組みます。まあ、それなりに偏屈、それなりに薀蓄、それなりに批判、それなりにライフスタイルのあるものになるのではないでしょうか。
実は今、大学が学祭期間中(うちは教育大学なので、秋は実習があるため、5月に学祭をやるのです)でありまして、週末たっぷり時間があるのです。
ということで、さほど遠くない将来に、セレクトしたものをまとめてお届け出来ると思います。
よーし、ねじり鉢巻き、腕によりをかけて、作業を開始しますよ!

尾崎俊介


●尾崎俊介さん
本になるまで原稿は彷徨う(旅する)ものです。
しかし、いずれの編集者にもそれなりに目はあり、それぞれのコメントは真理をついているはず。われわれは彼らのコメントの影におびえながら本を出しています。
厳しいから出さないことと、厳しいけどあえて出す。
これは紙一重です。どちらにしても現実は厳しいですから。
その本の運命を引き受けた一人の、夢見る編集者がいたということでしょうか。

村山


●村山さん、
なるほど。まあ、世間は厳しいというのはよーく分かりました。なかなかこちらが願うようには、読んでもらえないですもんね。
オコナーも言ってますが、人に話を聞いてもらうには、耳の傍で絶叫しなければならない、なぜなら、世間の人は「敵意ある読者」だから、と。
ところで、ブログからのセレクト作業、やり始めると面白いです。

尾崎俊介


●村山様、以下、『S先生のこと』増刷時(があると期待して)の、修正箇所と修正案を挙げていきます。
○ 9ページ:左から2行目&3行目:「須山先生のお人柄に惚れ込んでいた人でしたので、」と、「ご葬儀はキリスト教式でしたので、」というところで、同じ言い回しが続くのが気になります。そこで前者を「惚れ込んでいた人でしたから」に変えることを提案します。(その方が良くないですか?)
○ 54ページ:左から7行目:「ところが残念ことに」→「ところが残念ことに」
○ 75ページ:左から7行目:「長幼之序」→「長幼の序」(262ページ右から7行目「長幼の序」に揃える)
○ 104ページ:左から5行目:「すべからく」→「皆」
○ 108ページ:右から1行目&3~4行目:『怒りと響き』→『響きと怒り』(2カ所)
以上です。
それから、『釈迦楽教授エッセイ』、猛スピードで編集しています。早ければ今週半ばにも、最初の案をご提示できるかも。
尾崎俊介


●釈迦楽教授さま
正誤表、検討いたします。
エッセイ集、ともかく楽しみにお待ちしています。
村山


●村山さん、
週末、猛スピードで編集した自選エッセイ集、その原稿をとりあえずワード・ファイルとして送ります。一応、縦書きにして読めるよう、数字なども漢数字に直してあります。
タイトルは、現時点では仮題ですが、『釈迦楽教授のガレージセール』としてみました。そのココロは、ブログに書きなぐった拙文を、世の大道に晒して売り払う、という意味。またアメリカのビート派作家ケン・キージー(『カッコーの巣』の著者です)に、『Kesey's Garage Sale』というヘンテコリンなエッセイ集があって、それにあやかったというところもあります。
あ、それから各文の順番ですが、一応、冬→春→夏→秋の順番で並んでおります。それは、「教授、華道に入門か?」という文を読むと、なぜそういう配置になっているかが分かるという仕組み。
また最初と最後の文だけは、格別にのんびりした雰囲気で、この二つでエッセイ全体に蓋をする、というのはどうかなと思っています。ちなみに、最初の文は、「時間がでたらめ」という趣旨なのですが、以下に続く各文の書かれた年がまちまちだ、ということを暗示しております。
ということで、果たしてこのブログの寄せ集めが、質的量的に村山さんが気に入るかどうか。出版する価値があるかどうか、ご判断下さい。いずれにせよ、賞を獲った暁には、という含みですよね? そういう特別な追い風がないと、どうせ売れないでしょうからね。

尾崎俊介


●ヤー、来ましたか。
総字数108839字=272枚(四〇〇字詰め)
今夕は、心を無にして、ビール片手に読んでみます。
なかなか面白い。
では。

村山


●尾崎さん
エッセイ集案の感想、近々送ります。
リアル尾崎と釈迦楽の乖離といいますか、その距離感が読者にはなかなかむつかしいような気がします。
〉出版する価値があるかどうか、ご判断下さい。いずれにせよ、賞を獲った暁には、という含みですよね? そういう特別な追い風がないと、どうせ売れないでしょうからね。

これは正直、あります。
コメント、整理して送ります。
それと、「正誤表」。
http://www.shinjuku-shobo.co.jp/new5-15/html/Seigo/437_seigo.html
新宿書房のサイトにアップしました。『S先生のこと』の書籍情報をご覧下さい。確認してください。

村山


●村山さん、
なるほど、真面目な尾崎俊介と、軽い釈迦楽教授の乖離、ですか。
確かに釈迦楽教授は、『文学部唯野教授』の唯野教授みたいな軽薄なところがありますからね。
釈迦楽教授は「釈迦楽教授」という匿名キャラとして売ることもできるでしょうが、そうなると『S先生のこと』の著者としての追い風が期待できなくなる。
うーむ、難しいですね・・・。
『気違い部落周游紀行』の「きだみのる」も、本名は山田吉彦ですが、彼はペンネームと本名を使い分けたのでしたっけ?

尾崎俊介


●今、新聞がないところにいます。
その書評、誰でしたか?

村山


●村山さん、
びっくりしますよ!あの、角田光代さんですよ!(注=『読売新聞』2013年6月2日)その角田さんが、「涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら読んだ」なんて書いたものだから、アマゾンの在庫は一瞬で売切れました。
角田さんファンは多いから、これは増刷準備した方がいいんじゃないでしょうか????

尾崎俊介


●尾崎さん
角田効果の詳報は明日します。
電話注文、結構来ました。
角田さんとは意外でしたね。
尾崎さんからも送ってない。
とすると、読売の文化部の鵜飼哲夫次長、尾崎真理子編集委員に、巽孝之、三木卓の書評とともに再アタックしたのが4月15日。これの効果があったのかもしれません。
知り合いの高田宏さんから、贈呈のお礼のハガキ。
この方、小社の『雪恋い』(1987)の著者、あの『言葉の海へ』の著者、『舟を編む』の大先輩です。
「『S先生のこと』カトリック信仰にうとい小生ですが、後半引き込まれ拝読しました。ありがとうございました・・・」

村山


●村山さん、
角田さん人気の上に、さらに「泣ける」ということを書いてくれたのが効いたんじゃないでしょうかね。
さて、来る5日。山場(ヤマバ)ですね。
当日私は、教育実習の授業参観に行くことになっております。授業時間中はケータイも電源オフ。
午後遅くに決まるのでしょうか。まずは村山さんのところに連絡が行くのでしょうね?

尾崎俊介


●なんでも5日選考会、6日マスコミ発表とのこと。
多分、5日の夕方、連絡があると思います。
贈呈式は6月26日の午後3時から。
これは気が早いです、果報は寝て待て、です。
いや授業参観中は寝てはダメですね。

村山


●いよいよ。
斎戒沐浴の行。コラム集、無心にもう一度読みます。

村山


●知多半島の中学校に到着。
4時過ぎまで、心ここに在らずの実習参観です。


●尾崎さん
明日の結果次第、一番に著者に伝えたいとのことで、尾崎さんの携帯番号、ご自宅の電話番号をお教えしました。

村山


●緊張する~!


●尾崎さま
日本エッセイスト・クラブの会長=村尾清一(元読売新聞)なんと91歳でお元気。この方、「ビキニ事件」の第五福竜丸事件の読売大スクープの立役者のひとり。「死の灰」という流行語になったことばを考えた人だそうです。審査委員長=高村壽一(元日本経済新聞)。
会長が読売出身ということが、なんともいいですね。
さて、『釈迦楽教授のこと』(尾崎俊介著)がにわかに注目されてきました。
ブログのよさよりブログの緩さが気になる村山です。
シャープな硬派のエッセイがもう少しほしいし、人となりがこのブログでは浮かび上がってこない。

村山


●村山さん、
会長が読売出身!では、先日の角田書評を読んで下さったかな?
明日、エッセイ界の芥川賞の行方を見守りましょう!
ところで、釈迦楽エッセイの方ですが、うーん、難しいですねえ・・・。
村山さんのところに送ったのは、ブログ読者からの反応の良かったものを選んではいるのですが・・・。また何編かの作家論、例えば小林秀雄論とか、澁澤龍彦論、開高健論などは、気軽に書いているようで、それぞれの作家の本質を突いているのではないかと自負しているのですが・・・。
ちなみに、お送りしたエッセイ群の中で「シャープで硬派」気味なものを選ぶとしたら、どれですか?
同じ人間が書いているので、『S先生』と『ガレージセール』、通底するものが無いはずはないと思うのですよね・・・。逆に言えば、『ガレージセール』的なものを8年に亘って毎日書いてきたことが、虎の穴的なトレーニングとなって、『S先生』を書き上げるだけの体力というか文章力が身に着いたことは、間違いありません。
それに、くそ真面目なのを2連発、というのも、芸がないような気もするのですが、如何? 

尾崎俊介


●尾崎さん
このブログ、知ってますか?
http://mochisava.blogspot.jp/2013/05/2013s.html


●村山さん、
いえ、知りませんでした。特に翻訳論として読んでくれた、というところがいいですね。
指導教授から勧められたとありますが、そんな奇特な教授って、どなたなんだろう? 知り合いかしら?
さて、一本目の参観が終わり、ちょっと失礼して近くの喫茶店で時間つぶし中です。次の参観は2時45分から。
あーーー、いつ連絡が来るのだろう??
来たら、すぐに村山さんに連絡しますからね!!

尾崎俊介


●マジで重版の訂正箇所のデータ更新を杉山さんにお願いしました。


●村山さん、
やりました!良かった~!新宿書房としては、二度目の受賞になりますか(鈴木博『熱帯の風と人と』、1993年受賞)。それもすごいですよね!
あちこちに「こんなの売れない」「単なる個人的手記に過ぎない」みたいなことを言われて断られまくった後、村山さんに引き受けてもらったおかげで、今日を迎えることができました。ほんと、今までのこと、全部感謝しています。
それから、校正をしてくれた方、装幀を担当してくれた杉山さん、皆さんにお礼を言いたいです。
26日の受賞式には、村山さんは出られるのですよね? 杉山さんは?私は、家内と両親、それに須山未亡人とお嬢さんを招待しようと思っています。

尾崎俊介


●尾崎さん

いよいよ来週です。
明日、2刷り、新腰巻2重巻で3冊お送りします。こちらからの贈呈です。
1000部増刷のことは後日、文書をお送りします。

村山


●村山さん、
昨日父が通院の帰り道、銀座の教文館に寄ったら、拙著が店頭平積みの10冊山積み、そして「エッセイスト・クラブ賞受賞!」のポップが踊っていたそうです。
いい親孝行ができました!
新腰巻バージョンも楽しみです。

尾崎俊介


●尾崎さん
いいことが今週は怒濤のように。
図書新聞明日売り(6月15日付け)。翻訳家の小竹由実子さん、クレストブックスの翻訳の常連。これも角田光代に負けない、泣かせる書評です。
本紙は郵送します。pdfにしてメールもします。

村山恒夫


●村山さん、
おおお、そうですか!波状攻撃ですね!小竹さんの泣かせる書評、楽しみだなあ!しかも賞を取ってしまえば、しかも今期一冊だけの受賞となれば、朝日新聞のみならず、週刊読書人だっていずれは書評を載せざるを得ないでしょうし、月刊の文芸誌や、もろもろの女性誌とかも何か出すでしょう。特に女性誌は「泣かせる本」に弱いですから・・・。
出版当初、「絶対、売って見せる。村山さんに赤字は被らせない」とお約束しましたが、どうやら当初の約束は果たせそうです。
でも、私はまだ頑張りますよ。ロングセラー化を狙って、まだまだ宣伝活動、続けるつもりです。須山先生の翻訳作品の数々や、『墨染め』も含め、「須山ブックフェア」をジュンク堂あたりにやってもらうとか??
あるいは、テレビドラマ化とか?映画化とか??(よく、テレビドラマ・映画の原作フェアなんか、書店チェーンでやってますよね・・・)
夢は広がります。ともに頑張りましょう!!!

尾崎俊介


●尾崎さん
小竹由実子さん、文章がいい。図書新聞には悪いが、もったいない文章です。(笑)
尾崎俊介さん、角田さんを泣かせ、小竹さんにお礼を言われ、大変ですね。(笑)
26日の出席希望者リスト、事務局に出しました。
装丁の杉山さゆりさん、印刷製本の萩原印刷の下条大造氏が入ってます。校正の室野井洋子さんは札幌在住なので残念、お会いできません。

村山


●村山さん、
今、小竹さんの文章、いただきました。こんな風に書いてくれるなんて、有難い限りです。嬉しいなあ・・・。

尾崎俊介


●尾崎俊介様
確定ではないですが1000増刷。
いままで在庫のこと、詳しいことは申し上げなかったですね。報告すると悲鳴になるので実は遠慮していました。
でも、角田書評、受賞でほんとうに救われました。
初版2000。これはもちろん報告ずみ。これが、今週の6月3日の月曜で倉庫在庫、なんと1128部!実売800かそれ以下か、という厳しい現状。尾崎さんがほんとうによく協力していただいてもこの結果。
それが今週の角田書評、エッセイスト受賞旋風でいま在庫350部。重版もなかなか決断が難しいところです。在庫が1000もあるのでまあ待て、との判断もありです。そこで慎重に1000にする予定です。
この間の注文の返品ももちろんあります。
最終結果、2000+1000で、やはり在庫1000ということも想定に入れて。まあ、あまり悲観的に考えないでいきましょう。
きっと、3刷もある、そう考えましょう!
でも、本の運命はわかりません。

村山恒夫

http://www.shinjuku-shobo.co.jp/new5-15/shohyo/shohyo_data/437_Ssensei.html


●村山さんーーーーーーーーっ!
そ、そんなに売れてないんですかーーーーーー!
あれだけ好意的な書評を受けて、賞までとって、それで、そんなもんですか・・・。
うーーーーーーーーむ・・・・。
ガックシ・・・・。
大体、うちの近くにある三洋堂という名古屋のチェーン書店からして、拙著を売ってないですからね。文芸新刊とか話題の本なんてコーナーにすら置いてない。置いてなきゃ、売れないですわな。
そういうところに置いてある本は、エッセイスト・クラブ賞も獲れないような駄本なのに、売ってはいる。それなのに何で僕の本は売られてないのだろう。
気合を入れ直して、宣伝活動をやりましょう。
賞とって、少しは注目されるなら、続けざまにとりましょうよ。講談社エッセイ賞もとって、大仏次郎賞もとって、読売文学賞(評伝部門)もとりましょう。ドゥマゴ賞もとる。
あと、朝日新聞にも書評載せてもらう。読書人も。ダ・ヴィンチ誌も。
うちの大学の生協では、受賞のポップが出てました。出てなかったら、出して、と頼みにいったのですが。
週刊ブックレビュー、放送終了したのは痛いなあ。
みのもんたにも送るとか。あの人、最近奥様を亡くされてなかったでしたっけ?
あーーー、どうすればもっと売れるんだーーーーー!

尾崎俊介


●すべては、角田、受賞から始まる。
iPhoneからだと面倒なので、家族のPCからメールします。ご返事は事務所へ。
さて、尾崎さん、社会系、文芸系の本はなかなか厳しいですね。
その意味ではあなたを袖にした編集者たちは正しいし、むしろ私が甘いのです。
でも、私も彼らの笑い者にならなくてひと安心。彩流社、松伯社などは業界の仲間ですので。いい本でも売れない。人文専門書は初版100~500部の世界であることは尾崎さんに説明するまでもないでしょう。
どんな結果が来ようと、出す価値があるかどうか、それにしがみつくしかないです。でもまあザマミロの心境です。さてさて、閑話休題。
小さいけどいい書評、紹介が続いたのが、3月、4月。
中日・東京のインタビューもありました。
尾崎さんのものすごいサポートがありました。
三木卓さんもそうです。ここで、朝毎読への再アタック。
潮の目が変わったのが、5月に入ってから。
5月1日の日経。
5月12日の毎日・堀江敏幸。
ここで100以上の注文が動きました。
そして、6月2日の読売角田光代。
6月6日の受賞発表。
6月3日に在庫が1100余り。
しかし、昨日6月7日で在庫370.
実に4日で740冊動いたんです!
これは読売・角田効果でしょう。
26日に授賞式にむかってさら波がくることを期待し、1000部重版決定、20日には2刷の本が受賞の腰巻を巻いて登場します。
朝から、愚痴めいたつぶやき、失礼しました。

村山恒夫


●村山さん、
なるほど、2刷目は洒落た腰巻で登場するわけですね!
いいアイ・キャッチャーになりそうですね。
ところで、角田効果がそれだけ凄かったとなると、私としても角田さんにお礼状を認めた方がいいでしょうか。角田さんのご住所って分かりますか?
あと、授賞式ですが、川﨑春彦画伯はどうなんでしょうね?お呼びした方がいいのかしら?

尾崎俊介


●事務局新腰巻本、20冊お買いあげ!
多謝。当日エライさんに配るとか。
角田さん、調べます。
川﨑画伯、杉山さんにききます。

村山


●村山さん、
先ほど、宅急便到着。これが書評掲載誌とファンレターかと思って包みを開けたら、あらま、美味しそうなお菓子が!
なんと村山さんからのお祝い!いつもながら洒落とりますなあ。
どちらかと言えば甘党のワタクシ。これから堪能させていただきたいと思います。有難うございました!

尾崎俊介


●愚妻、いや死語、家内、これも死語、妻(他人のよう聞こえる)が前からいいなと思っていたお菓子だそうで、彼女の選択です。お気に召すといいのですが。
彼女は料理編集者をしていて、つくるより食べるのが専門です。
お菓子の本も編集していて、加藤千恵さんの本の編集はかなり担当しています。

村山恒夫


●尾崎俊介さま
26日はお疲れさまでした。
あらためておめでとうございました。
他の5作の名前を聞いて正直驚きました。
私も迷編集者の迷はとれたかなと安心しております。
あの後、津田カップルと杉山さん、萩原印刷の下条さんと、地下にある赤提灯で再祝杯をあげました。
写真など整理したら、来週お送りします。

村山恒夫


「エッセイストクラブ受賞の記」
授賞式での尾崎氏の挨拶。
上記をクリックするとpdfファイルが開きます。


●村山さん、
いやあ、一昨日はありがとうございました! それからお花もありがとうございました。統一感のある花束、村山さんのセレクトか、奥様のセレクトか、とにかくセンスが素晴らしい。
いつも思うのですが、村山さんって「洒落者」というか「伊達者」ですよね。密かに大人の男の作法を勉強させていただいています。
他の5作、全部覚えていらっしゃいます? マイク・モラスキー氏の名前を聞いて「うそ!」と思ったんですが、その他、忘れちゃった。
でも錚々たるライバルを蹴落としたわけですね、やった~!
それにしても当日、トンボ帰りし、昨日も授業や柔術の稽古をやったもので、さすがに疲れて、まだ何となく体の芯に疲れがたまっている感じ。今週末は大人しくしています。
ところで、授賞式にも来てくれた大学時代の友人で、今は新潮社に勤めている竹内祐一という奴、角田光代さんとも親しいようで、竹内がフェイスブックで私の本を絶賛したのに対し、角田さんが「それ、私も最近読んで感動した」などとコメントを寄せ、二人で驚きあっていました。世間は狭いですね・・・。

尾崎俊介


●小社のHPがアップされました。
授賞式、銀座教文館、ご覧下さい。

村山


●村山さん、
授賞式の写真とお手紙、無事落手しました。ありがとうございました。
わずか1週間前のことなのに、何だか随分前のことのように思えますが、
写真を見ると、当日のことがまざまざと思いだされますね。何だか、緊張したり、忙しかったり、あれよあれよという間に過ぎ去った、という感じでしたが、思いかえしてみれば面白かったです。
我々はあの後すぐに名古屋にトンボ帰りしたのですが、家についてからも興奮さめやらず、ありあわせのつまみで、家内とビールで祝杯をあげました。疲れた身体に、冷えたビールが流れ込んで、その日一日の充実感もあって、実に旨いビールでしたよ。
ちなみに、今日は所属大学の広報から取材を受けました。大学の広報に受賞のことが載るみたいです。朝日新聞が冷淡なせいか、朝日読者の多い我が大学の同僚たちの中には、まだ私の受賞を知らない人も結構いるようで、広報が出ることで少しは認識が広がればいいなと。
それではまた!

尾崎俊介


●尾崎俊介さま
お世話になります。
先日は、ようやくお目にかかれて嬉しかったのですが、きちんとしたご挨拶もできず失礼致しました。
遅ればせながらご挨拶致したく、メールを送らせていただきました。
改めまして、エッセイスト・クラブ賞の受賞、おめでとうございます。
いろいろお忙しかったと思いますが、少し落ち着かれたころでしょうか...。
「渡辺淳一だったら...」という、尾崎さんのスピーチ、とてもよかったですね。
歓談時の話題になっていました。
スピーチでは、カバー画についても触れて下さいましたが、あの画については、実はもうひとつ候補があり、こちらはまったく無名の作家のものだったんです。
評価格でいったら、ゼロが三つくらい違うでしょうが(笑)、私には、どちらもとても良い絵でした。
(もちろん、川﨑さんを選んだのには理由がありましたが、有名無名は関係ありませんでした。)
裸眼で、自分の力でものを見るのは、とても難しい時代ですね。
デザインは、イメージをつくりあげる仕事と思われがちですが、ほんとうは、裸眼で見ることができるように開くためのものだと思っています。私はまだまだ道なかばですが... そんなことを、スピーチを聞きながら考えておりました。
またどこかでお目にかかる機会があれば幸いです。
お忙しい日々と思いますが、どうぞご自愛ください。
美人の奥さまにもよろしくお伝えくださいませ!

杉山さゆり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[エピローグ]
この長い、長い「ある本の誕生—著者と編集者の往復書簡」(全4回)にお付き合いくださり、ほんとうにありがとうございました。
この『S先生のこと』の出た翌年の2014年10月、尾崎俊介さんによる『ホールデンの肖像―ペーパーバックからみるアメリカの読書文化』を、同じ編集スタッフ、デザイナー、印刷所の手によって刊行することができた。
最後におまけとして、2013年7月31日夕刊の『東京新聞』(『中日新聞』)の文化欄に掲載された、尾崎さんの「「ザマミロ!」の撤回」を紹介しよう。