(86)ある本の誕生まで—著者と編集者の往復書簡(その3)
[2020/8/29]

[前口上]
S先生のこと』(尾崎俊介著)を出版したのは、2013年2月のことである。
先日、著者の尾崎さんから、メールをいただいた。
「パソコンの機種を変えることになって、昔のメールを整理していたら、『S先生のこと』が生まれるまでのメールのやり取りが残っていました。これをつないでみたら、面白い読み物になりましたよ」
そこで、尾崎さんのご了解を得て、約1年間にわたるこの往復書簡を、何回かに分けて紹介したい。この物語は2012年夏に始まる。今回はその3回目となる。
本文は2012年12月25日に印刷所に入稿し、翌日には白焼きが出校。装丁の付物(カバー、表紙、本扉、帯)は12月14日に入稿、18日には色校正が出てきた。こうして、本文・装丁とも下版し、2012年は終わる。
さあ、いよいよ見本だ!

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企画:尾崎俊介
記録:尾崎俊介
出演:尾崎俊介+村山恒夫

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●尾崎俊介さん
こんにちは。
さて、S先生の行方です。
本日(注=2013年1月9日水曜日)朝一番の8時半、カバーの刷出し立ち会い。
埼玉は戸田の工場へ行きました。
本番印刷の刷出し立ち会いはデザイナーの杉山さゆりさんのたっての希望。
いい感じで仕上がっています。
新刊配本は2月4日からの週を予定しています。
限定数の見本は意外に早く、うまくいって1月17日以降か。
そこでお聞きします。これは仮の予定にたった質問です。
例えば、1月18日の午後などはどのような予定でいらっしゃいますか?
あるいは21日の午後の予定はどうでしょう?
村山が人間弾丸宅配便で、お近くの新幹線の駅(岡崎でしょうか?三河安城でしょうか?)まで見本をお届けします。もちろん、金も暇もない村山はその日のうちに帰京いたします。
本を売るために書評、贈呈作戦は用意周到にやりましょう。
広告費の予算はわずか、なんとかマスコミ・文化人対策を展開しましょう。
尾崎さんのとり分の本とは別に、マスコミ書評/贈呈用として50冊こちらで用意します。
有効な人脈リスト、ぜひお考えください。
いま書店ファックス同報のチラシも作成中です。
出来ましたら、PDFでお送りします。

村山恒夫

●村山さん!
そうですか、立ち会いを・・・。ありがとうございます。
私もその場に居たかった!杉山さんにもお礼を言いたいです。
カバーと言えば、先日、富士五湖の河口湖にある河口湖美術館を訪れた際、川﨑春彦画伯の富士の絵が展示してあるのを見ました。おお、この川﨑画伯が・・・と、嬉しくなりました。
さて、お尋ねの件ですが、これがまた幸いなことに、私は18日も21日も一日空いているのです。というのは、19&20日に大学センター入試が行なわれ、その監督をするので、その代休になっているのです。
ですから、村山さんのご都合で、どちらでもお会いすることが出来ます。
その場合、名古屋駅でも三河安城駅でもいいのですが、三河安城は「こだま」しか止まりませんので、東京からお見えになると、逆に時間が掛かってしまうのではありませんか?
私の家からは名古屋駅も三河安城駅も同じくらいの距離にありますので、どちらかというと名古屋駅でお目にかかった方が、お互いに楽なような気もしますが、いかがでしょうか。
それに三河安城駅付近には何もないのですが、名古屋ならお店は色々ありますので、名古屋名物をご馳走することができます。お昼頃お見えになるなら、「ひつまぶし」でも、味噌カツでも、味噌煮込みうどんでもご馳走しますよ。おすすめは「ひつまぶし」ですが。これを食べたら、東京の鰻なんぞ食べられなくなります。ま、そこは村山さん次第ということで。
それから、宣伝の件ですが、所属学会に寄贈するのはもちろん、巽孝之先生、青山南先生、柴田元幸先生、若島正先生など、旧知の先生方に寄贈して、それぞれの先生方がお持ちのチャンネルを使っての宣伝をお願いする他、集英社の雑誌『kotoba』編集長の田中伊織氏(大学時代の先輩)にお願いして、同誌での書評をお願いすることなどを考えています。
また慶應関係では、可能ならば『三田評論』などに宣伝を書かせていただいたりすることも考えています。あと、『英語青年』(デジタル版)でも紹介してもらえるだろうと思います。
とにかく、思いつく手段はすべて使って宣伝にこれ務める所存です。
須山先生の『クレバスに心せよ!』を好意的に書評して下さった詩人の荒川洋治さんにも、もう一度、一肌脱いでいただけませんかね? 
しかし、もうすぐ、目の前に迫ってきたかと思うと、ワクワクしますねえ!なんか、ますますやる気がでてきますなあ!
それでは、予定通りであれば、18日か21日にお目に掛かります。楽しみにしています。

尾崎俊介


●尾崎さん
では18日か21日に、できたら18日に。
来週、進行がよりリアルになるので、ご連絡します。
名古屋駅で会いましょう。
なんとか、いやぜひ売りましょう。

村山


●村山さん、
了解です。お会いできるのを楽しみに。
果たして、村山さんが想像している私と、現実の私が同じかどうか、確かめに来て下さい。
そして、売りましょう。本は売れなきゃ。人に手にしてもらって、初めて価値が問われるものですから、まずそこを突破しなければ!
ちなみに、集英社の『kotoba』編集長に頼み、同誌のレビュー担当者の森達也さんと仲俣暁生さんに、拙著を送ってもらう手筈を整えました。森さんは須山先生と同じ明治大学の特任教授、仲俣さんは『本とコンピュータ』誌にかかわっていた人で、私もこの雑誌に乞われて記事を書いたことがありますので、ひょっとすると私のことを知っていてくれているかもしれません。

尾崎俊介


●尾崎俊介さま
大変な大雪でした。災難でした。(注=1月14日の大雪)
著者のイベント参加のためにお台場に行き、帰りは中央線がストップ。
地下鉄丸ノ内線でぐるっと回って帰りました。
さて、S先生は、順調にこちらに向かって歩いています。
まず間違いないと思いますので、予定を作りました。
1月18日(金曜日)
14時10分東京発「のぞみ」39号
15時51分名古屋着。
名古屋駅での、待ち会わせ場所をご指定ください。
帰りは成り行き、フリーにしています。
念のため、私の携帯番号です。
090-0000-0000

村山恒夫


●村山さん、
東京の雪、大変でしたね。でも名古屋で遠巻きに東京の混乱ぶりを眺めていると、名古屋でも雪降ればいいのにと思います。私は台風とか大雪で、電車が止まったとか、そういうのが大好きなのです。
皆一緒に苦労を共にする楽しみって、そういうことくらいしかないじゃないですか。
さて、18日、名古屋でお待ちしております。
とりあえず新幹線を降り、そのまま一番手近な出口を出たところで待っていて下さい。JRへの乗り継ぎ口ではなく、「太閤口」という出口です。そこでお会いして、どこかお話が出来るところへ移動しましょう。お互い、顔を知らない中でどうすれば落ち合えるかは、後でまた考えます。
私の携帯は、090−0000−0000です。
あ、それから、これはお会いした時に話せばいいことではありますが、集英社に勤めている先輩が、先日お伝えした二人の他に、池澤夏樹、鹿島茂、マーク・ピーターセンに本を渡したいので、さらに3冊(ダメもとで)送ってくれ、と言ってきてくれました。鹿島さんは、『週刊文春』の書評欄を担当されているとのことです。

尾崎俊介


●尾崎俊介さん
では、18日に、太閤口で。
尾崎さんにお願いしたいのは、名古屋のマスコミ対策です。
どなたかお知り合いがいますか?
朝日、毎日、読売の各名古屋本社。なによりも中日新聞ですね。書評欄担当者、名古屋在住の文化人。中日新聞では、文芸評論家の清水良典さん(愛知淑徳大学教授)が「週刊読書かいわい」というコラム(文学一般)を持っています。一度、小社の本を紹介して下さり、かなり反響がありました。地元ラジオ。ラジオもバカにできません。
ラジオといえば、「ラジオ深夜便」。本書はこの番組に向いたハートフルなテーマですが、難点があります。出演者の年齢が60以上という壁。尾崎さんは若すぎます。(笑)

村山恒夫


●村山さん、
ううむ、マスコミですか・・・。
とりあえず頭に浮かぶツテがない・・・。
名古屋の場合、中日新聞が圧倒的なシェアを誇っているので、ここに出るのが一番いいのですが、愛知淑徳大の清水さんなら、知り合いを通じて何とか本くらいは渡せるかも、です。
「ラジオ深夜便」って、そういう年齢制限があるのですか?! 知りませんでした。私は、メンタル的には60歳くらいな(昭和浪花節的)感じではあるのですが、無理ですかね・・・。

尾崎俊介


●尾崎俊介さま
本日17日、無事、S先生の見本が到着しました。
明日、予定通り、名古屋に行きます。乗る電車は14時10分発「のぞみ」39号。名古屋着は15時51分です。

村山恒夫


●村山恒夫様、
おお!ついに!
それでは明日、午後3時51分、名古屋駅太閤口でお待ちしています。出口を出たところで、ウロウロ、キョロキョロしていて下さい。そんな感じの不審人物を、村山さんだと思って声をかけます。場合によっては、携帯を鳴らします。
楽しみだ〜!おおよそ分かっているとはいえ、どんな本に仕上がったのだろう? 早く見たいです!

尾崎俊介


●尾崎さん
了解です。世間離れした風体、たぶん、いやすぐにわかると思います。

村山


●村山さん、 今日は東京からわざわざ出来立てホヤホヤの本を持ってきていただき、ありがとうございました。
完成した本は、すべての面について私の期待以上で、本当に満足しております。装丁も素晴らしく、杉山さんにも感謝の意を表したいと思います。


本表紙


カバー


カバー帯つき

それから、ついに本を介してずっと対峙してきた村山さんに初めてお目に掛かれて、また実際に言葉を交わすことができ、大変良かったです。改めまして、色々ありがとうございました。そして今後ともよろしくお願いいたします。
それから、柏水堂(注=神田神保町の同店は2015年3月末に閉店)のお菓子もありがとうございました。本の出版のお祝いに家内と食べました。上質なお菓子で、村山さんのセンスにやられました。
明日からセンター入試監督ということもあり、慌ただしくしておりまして、まだ本を誰に送るかなど、考えている余裕はありませんが、とりあえず今日は本を抱いて寝ます。 それでは、また。色々ご相談などさせて下さい。
今日はありがとうございました!

尾崎俊介


●尾崎俊介さま
はじめてお会いした感じがしませんでした。
当然ですよね。いままでの密なコミュニケーションを考えれば当たり前です。
この間、会わないと解決できないようなことはなかったわけですから。
でも実顔をみてガッカリされたと思います。(笑)
本の出来、満足していただいてうれしいです。
わたしは、すべての本に対して、いつもいつも同じ愛情をそそいで来ましたが、この本は、特別です。
ほんとうに売れてほしい、いや尾崎さん、一緒に売りましょう!重版しましょう。
著者が一生懸命売らない本、売ることに熱心でない本は、売れません。
これは経験からいって、まったくの真理です。
川﨑画伯と娘さんから、「父春彦も大変気に入っております。作者の尾崎俊介様にも宜しくお伝えください」とのメッセージが来ています。
さて、本日、とりあえず20冊お宅にお送りしました。印税分はあと55冊です。残りは出来次第お送りします。
著者贈呈の作業をどんどん進めてください。添付にリストを出しました。
マスコミ各社の25冊、今週中に書評用で送ります。残り、尾崎さんからの贈呈分のうち、著名人で書評効果があると判断した人、25人 (冊)は小社が負担します。お渡した分から追加で調整させていただきます。どなたかに出したか、ご報告ください。
配本は2月4日を予定。今月2月一杯で著者贈呈は終えるといいですね。

村山恒夫

PS:講演会、出版記念会、その他、3ヶ月以内にやりましょう。
本日、須山奈保子さんから、
「美しい本が出来ました。目にするもので呼ぶならば実物はー存じませんがーオーロラと云うしかありません・・・・」(中略) 「尾崎様の御本を出版して下さり有難うございました」
とのご丁寧なお手紙をいただきました。
尾崎さんからも奈保子さんに本を送って下さい。

村山


●尾崎さま
飛び込みで、中日新聞本社文化部の方に電話して売り込んでみました。本も郵送しました。
文化部=石家(せきや)法道(のりみち)さん
珍しいお名前で、名もまるで僧侶のようです。電話では感じのいい方でした。
本、チラシ、手紙を添えて、
1)本書の紹介
2)尾崎さんのエッセイ掲載
3)「ひと」欄でのインタビュー
の検討をお願いしました。本当に厚かましいことです。
それと、尾崎さんの自宅の電話番号、携帯番号も教えました。
これも失礼なことです。

村山


●村山さん、
中日新聞の件、全然オッケーです。
私の方も、中日新聞書評欄を担当されている文芸評論家で愛知淑徳大の教授でもある清水良典氏に手紙を書き、本を同封して(大学研究室宛て)発送しました。なにしろ名古屋は中日新聞一色ですから、ここで何か記事を出してくれると、このあたりでのウケが違うでしょう。

尾崎俊介


●村山さん、
先日はありがとうございました。
いえ、村山さんは、私が勝手に想像していた通りの人でしたよ。
私は、これで案外恥ずかしがりというか、人見知りで、初対面の人は誰であれ苦手なのですが、村山さんに対しては、妙に普通に素直にお話することが出来ました。このこと一つとっても、初めてお会いしたとは思えない感覚が、私にはあったということでしょう。
さて、いただいた十冊余りの本、とりあえず義理のあるところに送ったら、もうはけてしまいました。その中には、もちろん須山先生も含まれます。名保子様にはもちろん、須山先生ご自身の御仏前(クリスチャンの場合、こういう発想はないのでしょうが・・・)に供えていただくため、須山家には2冊、送りました。
私には未練がましいところがありまして、私の手帳の住所欄には、大橋吉之輔先生のご住所が書いてあります。毎年、手帳を新しくする度に書き直すのです。もうその住所を頻繁には使わなくなった今も。須山静夫先生のお名前も、今年の新しい手帳に書き込みました。
だから、須山静夫先生に本を送るのは、私には当たり前のことなのです。
というわけで、今日送っていただいたという本、手ぐすね引いて待っております。書評をねだる手紙を書き始めつつ。
それで、一つお願いなのですが、例の集英社の『kotoba』関連で、五人の方に本を送るという計画、その5冊は新宿書房さんの方でご負担いただけないでしょうか。鹿島茂とか池澤夏樹とか、私は個人的に存じ上げないので、その方がいいかなと。
そこで、〒101-8050東京都千代田区一ツ橋2-5-10集英社インターナショナル『kotoba』編集部 田中伊織 様宛てで、6冊の本を送って下さい。5冊ではなく6冊なのは、編集長の田中伊織さんにも1冊進呈したいからで、この1冊に関しては私の分から差し引いていただいて構いません。
あと、この前お話した著名人ですが、もし林望さんのご住所が分かれば、私の手紙を添えて本を送りますので、お知らせいただけるとありがたいです。
その他、あれから考えたのですが、大物でいうと、「大江健三郎」あたりに送りつけるというのは、アイディアとしてどうでしょうかね?
大江氏は、『人生の親戚』という小説の中で、オコナーのことに触れていたり、オコナーのエッセイ集『Habit of Being』のことをあちこちで語っていますから、オコナーには随分影響を受けた人だと思いますし、ヨブ記のことや、フォークナーやスタイロンのことにも詳しいでしょう。そういうことを考えると、あの本に共鳴してくれそうな気がするのですが。
あと、芸能人でいうと、小泉今日子とか?小泉さんは読売新聞の書評者を長くやっていました(今もそうかな?)し、ああいう人の口からの宣伝は影響力も大きいかなと。
あと、まだ元気ならばラジオ番組をもっている永六輔とか?
またその辺、思いついたらご相談いたします。この本は、絶対黒字にしてみせます。村山さんがそう信じてくれた通り、この本には、それだけの価値があると、自分でも信じています。販促、頑張ります。僕はやる気(売る気)満々です。
話は変わりますが、大橋吉之輔先生の兵隊時代の話ですが、先生ご自身が書かれたものはないのではないかと思います。大橋先生は、研究書の類をあまり書かれなかったのですが、唯一出された『アンダスンと三人の日本人』という本は素晴らしく、私の『紙表紙の誘惑』は、この本を目指して書いたのでした。しかし、お若い頃に新聞や雑誌に書き散らした文章というのは沢山あって、その切抜きなどは私が持っています。そして最晩年に『三田文学』に書き綴られたエッセイ風の文章もまたすごく読ませます。
ということで、今更私が大橋先生の思い出を書く、という計画はないのですが、大橋先生の書かれた様々な文章を一冊にまとめたいという希望はあります。そうしなければ、消え去ってしまうものですから。しかし、大橋先生もまた既に過去の人ですから、売れる本にはなりようがありません。商業出版は難しいと思います。
その点、私は愛知教育大学出版会の創立メンバーですから、そこから自費出版で出してしまうという手があって、それを考えています。これだと、研究費を使って出すことが出来ますのでね。

とはいえ、それはまた先の話。今は『S先生』を売りましょう!

尾崎俊介


●尾崎俊介さま
本日、20冊が届いたと思います。
23日には印税残り分、すべてお送りできます。
ご質問の一つ。林望さんの自宅住所です。〒184-0004 小金井市本町0-00-00 電話042-000-0000ファクス042-000-0000

今までの尾崎さんへの本の冊数;
1)6冊(1/18)
2)20冊(1/21)
3)1冊(1/22;集英社田中氏へ)
23日の残り54冊すべてお送りできます(総計81冊)
また、尾崎さんから文化人への贈呈分で新宿書房が負担すべきと、判断できた場合、補充いたします。
では、よろしくお願いします。
明日、マスコミ26社の新聞雑誌に送ります。
添付したものがそのお知らせ文です。
なにか、ありましたら、お知らせください。

村山

●村山恒夫様、
拙著20冊、確かに受け取りました。また集英社の方へも送っていただけるとのことで、その点もありがとうございました。
それから林望さんの住所の件もありがとうございました。これで林さんに献本が出来ます。林さんも大学・大学院時代に二人の師に出会ったご経験があるようで(そのあたりの事情は『書藪巡歴』という本にある)、そこのあたりをくすぐった手紙を添えて、何らかの形での本書の宣伝をお願いしたいと思っています。
また、巽孝之先生、青山南先生、若島正先生、柴田元幸先生など、私が学会関連で存じ上げているエラーイ先生方にも、明日、手紙を添えて献本をするつもりです。

尾崎俊介


●尾崎さま
エラーイ先生方への贈呈、よろしきお願いします。
ほかに、名前を出してみます。このうち、尾崎さんから手紙をつけていいかなという人を選んで下さい。
住所はこちらでも分かる人がいます。▲▲▲さんは敬遠気味です。
1)小泉今日子:赤坂のバーニングプロダクション気付
2)川上弘美:『先生の鞄』があります。神田神保町の酒井著作権事務所気付
3)松岡正剛
4)重松清
5)岡崎武志
6)沼野充義
7)加藤典洋
8)坪内祐三
9)松山巌
10)川本三郎:『いまも君を思う』
11)後藤和彦?:図書新聞で『クレバスに心せよ!』を書評。内容はよくない
12)池内紀;お住まいも深大寺!
13)四方田犬彦;『先生と私』
14)岡野弘彦;お元気なんでしょうか?
15)朝吹真理子;読売書評委員
16)津野海太郎
17)清水良典(中日系になんとか)
などなど。

村山


●村山さん、
そりゃー、小泉今日子ですよ! 彼女にファンレター出したいです。他にこのリストですと・・・うーむ、人見知りの性癖が出て、何を書けばいいか分からない・・・。
あと、後藤和彦さんと清水良典さんには、私から今日、手紙つきで出します。後藤さんとはこの間会って、須山先生の件、お話ししました。彼も、あの書評はあまり良くなかったと思っていらっしゃるようですので、今回、『週刊読書人』か『図書新聞』あたりに拙著を絶賛していただき、汚名挽回していただきましょう。
▲▲▲さんの件、了解しました。私もあの人は扱いが難しいと思います。
しかしその▲▲▲さんが決して悪く言わない数少ない人である呉智英さんとかはどうなんでしょうか。私は数年前に一度、この人と一緒にシンポジウムでパネラーを務めたことがあり、私の発表をかなり面白がってくれましたが。
あと、芸能人の読書好きで有名な人としては、佐野史郎、堺雅人、坂本龍一、本上まなみなどがあります。佐野史郎とか堺雅人とか、この本読んで、ドラマ化したい!とか思ってくれませんかね?

尾崎俊介


●村山さん、
三浦しをんさんの住所なり、送り先って分かりますかね?
2年くらい前に、『ロマンスの王様 ハーレクインの世界』という本(これは色々な人による共著なんですが)で、三浦さんと私の担当頁が隣同士だったものですから、向こうも何となく名前くらいは覚えているんじゃないかなと。
三浦さんは、文芸界でも相当な読書家だそうで、発信力もありそうですから、私から送ってみようかなと。

尾崎俊介


●尾崎俊介さま 三浦しをんさんのことは、私も考えていました。
『舟を編む』は国語辞典の世界。
光文社の担当者宛に送ってください。
〒112-8011 文京区音羽1-16-6 光文社 文芸図書担当気付 三浦しをん様

村山

こちから既に出した人です。
1)出久根達郎(朝日新聞書評委員)
2)荒川洋治(既報)
3)黒川創(作家)
4)上野敏彦(共同通信編集委員、書評とは別枠)
5)石家法道(中日新聞本社文化部、既報)
6)池澤夏樹(集英社・田中氏経由、送付済み)
7)青山南(同上)
8)鹿島茂(同上)
9)マーク・ピーターセン(同上)
10)森達也(同上)
11)仲俣暁生(同上)

そういえば、昨日の新聞に常盤新平さんの訃報(2013年1月22日死去)が出ていました。それと加島祥造氏。前から気になる人です。アメリカ文学から東洋思想へ。須山さんを知ってますます興味が湧きます。2歳上の加島氏。アメリカ留学期茂近い。フォークナーの翻訳者、それも『八月の光』ではお二人は、ほぼ同じ時期に翻訳されています。お二人の関係はどうだったんですか?
この方に、本書を送る意味がありますか?

村山


●村山さん、
加島祥造氏さんと須山先生、お二人の関係がどうだったのか、私は残念ながら存じあげません。ただ、ご存じの通り、加島さんは割と早くからアメリカ文学の彼岸、老荘思想みたいな方に行ってしまったので、一部の人には神のように崇められていますが、どうなんですかね、もう相当な年のはずだし・・・。
むしろ片岡義男、なんてのはどうですかね?
あの人のことは、私の師匠の大橋吉之輔先生が割と高く評価していて、二人の対談もあったような気がします。片岡さんは広島とも縁があり、広島出身の大橋先生とは気があるところがあるのかも。
いずれにせよ、まだ片岡氏の方が、旺盛な筆力を保っているようですから、加島さんよりは見込みがあるかも、です。

尾崎俊介


●片岡義男。出してみましょう。
お帰りになったら、送付(あるいは予定)リストを送って下さい。

村山恒夫


●尾崎俊介さま
片岡氏、健在のようです。
〒194-0041 町田市玉川学園0-00-00
2008年の住所録です。
尾崎さんから出されますか?

村山恒夫


●村山さん、
読売全国版のサンヤツ(注=朝刊一面の三段八割り広告)!!すごいじゃないですか!我が家は伝統的に読売読者なので(母方の祖父が読売系列の上毛新聞のえらいさんだったのです。歌舞伎評論家でもありましたが)、明後日が楽しみです!!!
ところで、私の慶應時代にならった先生のお一人で、慶應英文学会の会長である髙宮利行先生に送っておいたところ、以下のようなお返事をいただきました。

尾崎学兄
(前略)
『先生とわたし』という四方田氏の由良君美教授(この方はかなりよく知っていました)に関する著作と比較されるでしょうが、本書の方が人間、人生を映している点で、すばらしいと思いました。
(中略)
また愛読者カードを使って5部注文しました。若手に読ませたいと思います。また鈴木孝夫先生にもお送りしたいと思いましたが、学兄から直接差し上げるおつもりはあるでしょうか(お訊ねするのはなんですが)。
川﨑(春彦)さんとはお知り合いですか。もうかなりお年だと思います。描いているのはカナダの麦畑ですかね。
ではまた学会の折に
高宮利行

村山さん、別件で一つお尋ねしたいことがあります。出版記念会の件なのですが。
私も今までに何回か出版記念会に出ましたが、それは2つのケースでした。
(1)亀井俊介さんみたいな、えらーい人が本を出された際、亀井さんの弟子の主だった方々が企画されるケース。
(2)共著の本が出た場合、共著者が集まってお祝いするケース。
私の今度の本の場合、そのどちらにも当てはまりません。私はちっともえらくなく、祝ってくれる弟子もいません。
その場合、出版記念会とは、どうやって企画するものなのでしょうか?
私が、お手盛りで企画する? その場合、何だか「みんなで私のことを祝って!」と強要しているようで、かなり恥ずかしいですねえ・・・。
それでもやる場合、例えば来てくれた方には本をタダであげるということにして、あとは会費制でやり、足が出たら私が負担するという感じですかね??
それにしても、それをやったからと言って、大したパブリシティにはならないような気がしますが・・・。
村山さんが思い描いている出版記念会とは、大体どんな感じなのでしょうか??

尾崎俊介


●尾崎さん
出版記念会について。
以下、今までの経験から箇条書きしてみます。

1)これは正直言いますと、版元(出版社)がぜひやってもらいたいことです。少部数出版の場合、50人〜100人の会をやること、つまり50〜100冊の本が売れると言うことは出版社には、ほんとうに助かるのです。
2)出版記念会の基本は、著者の方に迷惑をかけず、完全に独立採算でやることです。
3)そのためには、著者の方の協力はもちろん、皆さまの協力が必要です。
4)会費の中身:
  食費代(会場費)・書籍代・通信費(出欠のハガキ、切手代)・雑費
5)発起人を立てて、挨拶文を作る。基本は出版社がお膳立てをします。
6)尾崎さんの場合;
  学会仲間・大学仲間・同級生・友人・研究社などの出版社関係・趣
 味・須山未亡人・その他。その場合、友人のどなたかが音頭をとる。
7)場所は東京でしょうね?あるいは名古屋?
8)時期は刊行後3ヶ月ぐらいの間に。

どうでしょうか?
お気楽にお考えください。

村山


●村山さん、先ほど「日本エッセイストクラブ」で検索したところ、この賞は出版社推薦、もしくは著者自薦もありだそうです。3月13日が応募の締め切りで、6月には賞が発表されるとか。
これ、新宿書房の方から応募して下さいませんか??3月締切の6月発表だったら、まだ発売から間もなく、大いに宣伝になるのでは??!!
同じような「講談社エッセイスト賞」はどうなっているのでしょうか。早速調べてみようっと!

尾崎俊介


●失礼しました。調べてみます。

村山


●尾崎さん
ネットで確認しました。明日、事務局に電話で確認し、応募します。

村山


●尾崎さん
三木卓さん。いいのでは。奥さんの福井佳子との葛藤を描いた『K』が昨年評判だったんですね。三木さんには、尾崎さんから送られますか?この自宅住所があっているか、わかりません。なにしろ、2003年現在の文化人手帳なので。〒247-0072 鎌倉市岡本0000-0
それと、私は尾崎さんの原稿で名前を憶えている、未知の津田正さん。彼からメールをいただきました。こんなほめていただいていいのかしらと思いました。しかし、彼が褒めているのは造本のQ(杉山さゆり)さんの仕事。彼女にはすぐに転送してあげました。
玄人筋に評判のいい本は意外に売れないこともある。こういうシナリオにはしたくないです。(笑)

村山


●村山さん、
津田さんは、研究社の敏腕編集者として、我が国の英米文学研究の世界では、相当名の知れた人です。多くの研究者が、彼の手助けで本を出版していますし、学会などにも足繁く通われ、最新の情報や、新しい才能の発掘に力を入れられていて、すごく勉強熱心。私とは非常に親しい仲なのですが、それは別にして新宿書房の造本について、これだけ褒めてくれているのですから、これは素直に喜びましょうよ!
あ、それから三木卓さんには、私が手紙付きで本を送っておきます。彼の『我が青春の詩人たち』を面白く読んだ経験がありますので。

尾崎俊介


●村山さん、
よろしくお願いいたします。
ま、日本エッセイスト・クラブ賞のみならず、Bunkamuraドゥマゴ賞とか、新潮ドキュメント賞、小林秀雄賞あたりは、内容的に合うかも知れません。
あと、本の体裁を褒めてくれる人が沢山いるとなると、「講談社出版文化賞」の装丁部門(2月末日応募締切)なんかも、やってみる価値はあるのでは?
あ、それから岡崎武志さんが、ブログで拙著に言及してくださっているようです。やはり漱石の『こころ』を彷彿とさせる、みたいなことが書いてありました。

尾崎俊介


●尾崎俊介さま

岡崎さんのブログ、見ました。これですと。来週売りの『サンデー毎日』に載るといいうことで しょうか?となると、書評・紹介第1号!
おっしゃる賞の応募、こちらも確かめます。ただいきなり応募、受賞のことをねらうことより、洛陽の紙価を高める地道な努力を重ね、世の評判をとってから、これはおのずと道が開けるでしょう。
本日の中日新聞を見てください。

村山恒夫
2013年2月1日(金)


●村山様、
先ほど、コンビニで中日新聞を買い、ちゃんと広告が載っていることを確認いたしました。昨日、100人ほどの学生に「明日の中日新聞をよーく見ておけ」と厳命しておきました。何人かでも買ってくれるといいのですが。ところで今回の広告によると発売は2月4日なんですね? 読売新聞の時は6日だったような記憶があるのですが。
まあ、早く売り出されるのが楽しみです。アマゾンなどでもその日から発売するのですか?

尾崎俊介


●尾崎さん 発売は取次の都合で早くなりました。2月4日です。
大学生協には7日ころ入ると思います。
Amazonはいま画像なしで2月4日発売となっています。ご覧下さい。
カスタマーレビュー、だれかに頼んで下さい(笑)。

村山恒夫


●尾崎さま
本日配本しました。
昨日の毎日新聞朝刊はご覧になりましたか?
さあ、書評が欲しいです。今週のサンデー毎日(岡崎武志)、注意です。

村山


●村山さん、
毎日新聞、見ました。広告もそうですが、新宿書房の本(『日高六郎・95歳のポルトレ』)が大きく書評に取り上げられていましたね!ああいうのが、私の本にも欲しいです。喉から手が出るほど!
私が小学校・中学校を出た玉川学園の同窓会報に、拙著の紹介を出してもらうべく、問い合わせをしたところ、寄贈してくれれば紹介するとのこと。早速、明日、本を送ろうと思います。私の同級生たち、私を覚えている先生方の中で、どなたかが買ってくれればなあと思います。

尾崎俊介


●尾崎さん
日本エッセイストクラブ事務局とはさきほど連絡がとれました。また講談社ブックデザイン賞事務局には、他の本と一緒に応募しました。
さて、須山未亡人からは尾崎さんになにかコメントが来ているのですか?

村山


●村山さん、
各賞の応募の件、ありがとうございました。
先ごろ、読売文学賞というのが発表されましたが、受賞者は「いつものメンツ」ばかり。すなわち、池内紀だったり、宮下志朗だったり、多和田葉子だったり・・・。
結局、「既に何かの賞をもらっている人」の中から選んでるんじゃないの?!と言いたくなりますね。
だから、何か賞を取らなければ駄目なんじゃないかと思うのです。まず賞を取ることで、土俵に上がれるようなところが(残念ながらこの国では)あるのではないかと。
ところで、須山名保子様からは丁重なお便りをいただきました。
それはいいのですが、そのお便りの中で、一か所、大きな誤りを指摘されました。
確か108ページだったと思いますが、『響きと怒り』となるべきところが『怒りと響き』になっている。これ、良く間違えるんですよね・・・。
ということで、仮に増刷されるようなことがあれば、そこ、直せますかね??

尾崎俊介


●尾崎さま
ショックですね。すみません。
本書には他に4ヶ所の『響きと怒り』があります。ここはセーフ。それも前ページにもありながら!p108は2ヶ所も『怒りと響き』。増刷すればここにかぎらず、どこでも簡単に直せます。
ぜひ増刷しましょう!!!!!
ぜひ増刷するよう売りましょう!!!!

村山


●村山さん、
慶応名誉教授の山本晶先生からのご推薦で、『三田評論』なる雑誌に、拙著についての文章を書かせていただけることになりそうです。塾員(慶応の卒業生)は数が多いですから、いい宣伝になるのではないでしょうか。

尾崎俊介


●尾崎さん
いいじゃー、ありませんか。当然、大橋吉之輔先生のことも触れざるをえないでしょう。ぜひ、期待しています。

村山


●村山さん、
サンデー毎日、早速買いました。いいですね、岡崎さんの文。ありがたいですね。
これが口火というか、呼び水となって、他にもどんどん出るといいですな!

尾崎俊介


●尾崎さん 書評・紹介第1号としてはほんとうに素晴らしい。
これを皮切りに。期待しましょう。
いま、メールマガジン、『日本の古本屋』の編集長にサンデー毎日、教授のブログサンプルをつけて郵送しました。尾崎さんの執筆をお願いしています。
さきほど、藤原編集長と話しをして、この本は、ある意味で出版、古本の世界にぴったりのテーマだと強調しておきました。
OKでたら宜しくお願いします。

村山


●村山様、
もちろんOKです。なんでも書きますよ。
それにしても髙宮教授の『本の世界はへんな世界』と拙著が常に踵を接しているのが面白いです。
林望さんも、拙著の直前に髙宮先生の本を読んでいたとおっしゃっていました。読書人だったか図書新聞だったか、どちらかに書評を書かれるそうです。その流れでいうと、林さんは私の本のこともどちらかに書いてくれるかもしれません。林望さんの書評ですと、影響力も大きいのではないでしょうか。固定ファンがいますからね・・・。

尾崎俊介


●村山さん、
言い忘れました。慶応の巽孝之先生が拙著の書評・紹介を、北海道新聞に出すべく、原稿を10日に送られたようです。ツイッターでつぶやかれていました。出るのは、次の日曜?それともその次?
北海道新聞、北海道では圧倒的なシェア、110万部だそうですから、ちょっと期待しちゃいますね!

尾崎俊介


●すごい。
北海道新聞、道新、ドウシンは三社連合といって、
東京(中日)、道新、西日本新聞にも出る可能性があります。
とても楽しみです。
それと、さきほど、サンデー毎日のコピー、新聞広告のコピーを須山奈保子さんに送りました。『響きと怒り』の誤植もお詫びしておきました。

村山


●尾崎さん
日本エッセイスト・クラブから応募ハガキ、応募要項がきました。
2冊をつけて事務局に応募しました。会報に歴代の受賞者、受賞図書がでていました。小社の著者も一度受賞しています。なつかしいですね。
第42回(1993年)鈴木博著『熱帯の風と人と—医動物のフィールドから』
期待しましょう!発表が6月6日、新聞紙上、とのこと。

村山


●村山さん、
おお、鈴木さんに続く2度目の受賞、
狙おうではないですか。
拙著にまつわるツイッター上の評判を見ると、例えば、
「尾崎俊介『S先生のこと』(新宿書房)を半分近く読む。S先生とは、アメリカ文学者の須山静夫のこと。弟子が綴った回想の連作エッセイだが、本当に思いがこもっていて、濃密で、しかも読みやすい。」
などというのが出てきます。またアマゾンにもどなたかが 最初のレビューを書いてくれましたが、5点満点でした。
読む人が皆、こういう感想を持ってくれれば、エッセイストクラブ賞といえども、遠い遠い夢ではないように思うのですが・・・。

尾崎俊介


●アマゾン、拝見しました。いいじゃないですか。
研究社の津田正さんからメールの一部;
口コミ宣伝、しています。先日は、アメリカ文学会の支部会でさんざん宣伝してきました。
本屋さんでもしかるべきところではきちんと並んでいますね。私の知る範囲では、吉祥寺のジュンク堂が表表紙を出して並んでいました(ちなみに、その隣に並んでいたのが私が作った『絨毯の下絵』という本でした)。それと、うちの同居人(三省堂で編集者をしています)がブログをやっているんですが、彼女もこの本を読んで涙していたので(連載時から読んでいました。ネットで「北烏山だより」「S先生のこと」で引くと、たぶんヒットするはずです)、いずれ書くと言っていました。
岡崎さんの記事、ありがとうございました。拝見しておりました。さすが、岡崎さん、目配りがすごいです。

津田さん、まだお会いしてないですが、援護射撃を展開してくれています。サンクス。

村山恒夫


●村山さん、
津田正さんご自身も「書評空間」(紀伊国屋書店)というサイトで書評などを書いていらっしゃるので、「そこで書評してください」と頼んでおきました。

尾崎俊介


●村山さん、
先ほど、「日本の古本屋」のメールマガジンに何か書くよう、今野さんから依頼がありました。頑張って書きます。ご紹介、ありがとうございました!
また、もう一つ、『三田評論』の巻頭にも書くことになっており、これは4月発売です。それぞれ、結構な流通量がある雑誌なので、いい宣伝になればいいなと思っています。

尾崎俊介

(この項、つづく)

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[幕間]久木綾子さん
作家の久木綾子さんが2020年7月13日に亡くなった。享年100。久木さんのことは、本ブロク[(80)見残しのひと]でふれた。
久木さんは『朝日新聞』8月22日の夕刊の人物評伝「惜別」において「89歳で初小説 情熱解き放ち 作家 久木綾子(ひさぎ・あやこ)さん」のタイトルで登場。ここでは処女作『見残しの塔』(2008)、第2作『禊の塔』(2010)の出版経過についても丁寧に説明されている(文=高野真吾)。その記事に添えられた久木さんのカラー写真は、同じ『朝日新聞』2009年8月1日夕刊のインタビュー記事「語る人 規矩ある生と出会う」(文=久保智祥)に掲載された写真の別カットと思われる。90歳の久木さんは若く、美しい。
『見残しの塔』書評『禊の塔』書評

久木さんが亡くなった後、各紙に死亡記事が出た。『産経新聞』一面コラム「産経抄」(7月17日)も久木綾子さんを取り上げた。
「『見残の塔』(文春文庫)で平成20年にデビューを果たしたとき、すでに89歳の卒寿を迎えていた。」
おいおい、大変な間違いだよ。そのまま放置してもよかったが、産経の読者相談室に電話して、同コラムの誤りを指摘し、このことを産経抄子にも伝えるようにお願いした。特に訂正記事は求めなかった。なんの連絡もなかったが、同月21日付の「産経抄」の末尾には、次のような文がそえられていた。
「▼17日のコラムで、作家の久木綾子さんのデビュー作『見残し塔』を文春文庫としたのは、新宿書房の誤りでした。」
実はこの「産経抄」、10年前の2010年9月21日に久木綾子さんの2冊の本を紹介してくれている。もちろん、この時の産経抄子は版元を正しく「新宿書房」と書いてくれた。