(84)ある本の誕生まで—著者と編集者の往復書簡(その1)
[2020/8/15]

[前口上]
S先生のこと』(尾崎俊介著)を出版したのは、2013年2月のことである。先日、著者の尾崎さんから、メールをいただいた。
「パソコンの機種を変えることになって、昔のメールを整理していたら、『S先生のこと』が生まれるまでのメールのやり取りが残っていました。これをつないでみたら、面白い読み物になりましたよ」
そこで、尾崎さんのご了解を得て、約1年間にわたるこの往復書簡を、何回かに分けて紹介したい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
企画:尾崎俊介
記録:尾崎俊介
出演:尾崎俊介+村山恒夫

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

時は2012年の夏。ある日突然、原稿の束が届けられた。


●尾崎俊介さま
初めまして。
本日、企画原稿が届きました。
ブログにすでに公開されている由、その点が紙本至上主義のわたしとしては
まず、食指が動かなくなりますが・・・。
でも折角の縁、読ませていただきます。
すこし、時間がかかります。
四方田さんの本は読んでいます。

村山恒夫
2012年8月16日


●村山恒夫さま
初めまして、尾崎俊介です。
須山静夫先生追悼の原稿の件、読んでいただけるとのこと、有り難うございます。どうぞよろしくお願い致します。

尾崎俊介


●尾崎俊介さま
たしか、この春、吉夏社から須山静夫さんのエッセイ集が出ましたが、これに、尾崎さんは関係されているのですか?
それと、小社に声を掛けられたのは、『墨染めに咲け』(須山静夫著)の出版社の縁でしょうか?
あるいはどなたかの口添えでしょうか?
いまはまず原稿を読めよ、と叱られる段階でしょうが。

村山恒夫


●村山恒夫さま
尾崎です。いえ、吉夏社の『クレバスに心せよ!』は、吉夏社の津山さんが、須山先生に惚れ込んでいて、なんとか先生の本を出したいということで、津山さんの方からアプローチされたようです。私はまったく関わっておりません。
なお、生前の須山先生にお世話になった方々が、須山先生に捧げる論文集を計画中で、たしか松柏社からの出版になるはずです。このプロジェクトには誘われましたが、私はお送りした原稿の方に須山先生への思いをすべて込めましたので、お断りしました。
また、新宿書房さんに原稿をお送りしたのは、須山先生にゆかりのある出版社にお願いするのがいいのではないかと(慶応義塾大の巽孝之先生に)勧められたのと、私の文中に『墨染めに咲け』からの引用が多くあるためです。

尾崎俊介


●尾崎俊介さま
時間がかかってすみません。
なかなか考えがまとまりません。
といっても、これは売れるのか、出す意味があるのか、この2点。
どの本でもそうですが。いつも悩みます。
今週中にメールします。ただし、もう他で決まっている、
もう遅いということでしたら、ご一報ください。

村山恒夫


●村山恒夫 様、
尾崎です。判断に迷う原稿を送ってしまってすみません。
ところで参考になるかどうか分かりませんが、最近、私のブログに寄せられたコメントに以下のようなものがありました。

はじめまして。昨年のS先生のこと、から愛読させて頂いております。(本当にあれは感動的な文学作品です。)
さてJ.WAVEではブック・バーなる番組が、アマゾンではレヴュー欄が、新聞では書評が、と色んな人が色んな読み方をするもんだと感心しては他人様の読後感ブログなども覗いたり自分自身も忘備録的にブログやツィッターに書き込んだりしていますが、このやりっぱなし感と言いますか物足りなさと言いますか、乱読の末これでおしまいという読み方は時間の浪費かもしれないと人生半ば過ぎると焦るものであります。
私自身の読書好きの原体験の中には子どもの頃に読書感想文を書くのが好きで誉められる体験が少ない中、読書感想文だけは書く度に先生に誉められ教室に貼り出されたり表彰されたりした体験にもよる所が大きいのかもしれません。
体系的に文学を学んだ訳でもなく専門分野が有って読書をする訳でもない単に本好きでも、かの地のサロン的な豊穣な文化の香のするブッククラブなるものはあぁこういうのっていいなぁと羨ましく思います。

ま、後半はどうでもいいのですが、S先生についての拙文を読まれた方の反応は、大体、こんな感じです。
今現在、新宿書房さんのお返事を待つばかりです。他にあてはありません。お返事をお待ちしております。

尾崎俊介


●尾崎俊介さま
ご提案いただいた『S先生のこと』です。
失礼を顧みず、コメントさせていただきます。
なかなかよみやすく、こころに沁みいるいい文章です。
しかし、ネットで文章が多少違うとしても、すでに流れているものを、そして一部では評価されている文章を、あえて本にすることには、かなり抵抗感があります。
当方の超零細規模ですと、いや大方の文芸系もかわらないと思います、
初刷1500部〜2000部、定価2000円あたりです。このご時世、はたして、半分でも売れるかなという、見立てです。
つまり、最初から赤字覚悟の出版です。
その意味で、ほとんどのひとの目にふれない小雑誌連載ならいざしらず、すでにブログで書かれている、また興味ある方はつまり本を買ってくれそうなひとは既に読んで引用している、そういう状況は紙の出版にとって非常にマイナスになります。
かりに2000部作って、製作費、装丁、編集、校正などで総額150万円。
定価2000円として、書店ルートの正味は69掛け。ちょうど、1100部売れて、原価回収。粗利もなし。非常にきびしい数字です。

そこで、ご提案です。
1)原稿に注文:S先生の仕事で残るものは翻訳と書かれています。
しかし、具体的な訳文(英文)の例示がないので、このあたりの須山さんの仕事が浮かび上がってきません。ご遺族や出版社の了解があればその一部を開陳することは可能です。つまり、これにかぎらず、原稿にブログとの違いを出すことが必要ではないでしょうか。
2)印税は5%にしていただきたい。かりに2000部、2000円で総額20万円(税込み)。もちろん、印税相殺で本の購入していた だければ、それはそれで助かります。
ほんとうに失礼しました。ご意見をいただけますか。

村山恒夫


●尾崎です。拙文を読んでいただき、ありがとうございました。
一点だけ、お伝えしておきたいのですが、あの文はブログに公開したものとは色々な点で異なります。
ブログは、33回分の連載で、33時間で書き上げました。しかし、公開後、半年以上かけて推敲し、書き足しています。ですから、大枠では同じかもしれませんが、レベルは大分異なります。荒っぽく斧で切り出したものと、それにかんな・鑢を掛けて磨き上げたものくらいの違いはありす。
それから、印税相殺で現物支給という御提案は、もちろん飲みます。
また、巽孝之先生、柴田元幸先生、青山南先生など、宣伝をお願いできそうな、また読書界に影響力のありそうな先生方にはお願いし、本の販売促進には、微力ながら力を尽くします。
ただ万が一重版した場合は、別途決めるということでお願いします。
あと、先生の訳文を挿入する件ですが、数行(数ページ)の訳文を例示してそれが優れたものであることを示すことは、なかなか難しいと思われ、どうすべきか、ちょっと悩みます。しかし、考えてみます。
以上、いかがでしょうか。

尾崎俊介


●村山恒夫様、 尾崎です。
昨日、村山様からいただいたこれまでのメールを読み直し、もう一点だけ、お伝えしておこうと思うことがありましたので、再度、メールさせていただきます。
村山様は、最初の段階から、「ウェブで既に公開されているものを活字にする」ことに対して、疑問を抱いていらっしゃるようですが・・・。
私のブログの読者の数は、190人ほどで、固定しています。つまり、日本の人口1億2千万人のうち、190人くらいが、あの文章を目にした可能性がある、ということです。
この状況を「公開している」と言うべきでしょうか?「読むべき人は既に全員が読んでいる」と言うべきでしょうか? 
私がお伝えしようと思ったのは、このことです。

尾崎俊介


●尾崎俊介さま
(すみません、今後も尾崎先生でなく、尾崎さんとお呼びすることを、お許しください。)
休みの間に二通のメールをいただきました。
まず、出版することに際して、こちらのわがままな条件を承諾していただき、ありがとうございました。
近日、簡単な覚書を作ります。もちろん、重版した場合は、印税をお支払いします。このことも明記しましょう。
つぎに、いただいたご意見について。

> あと、先生の訳文を挿入する件ですが、数行(数ペー ジ)の訳文を例示してそれが優れたものであることを示すことは、なかなか難しい と思われ、どうすべきか、ちょっと悩みます。しかし、考えてみます。

この点、尾崎さんがおっしゃること、よくわかります。実際はなか なか難しいですね。この本の文章の流れからも奇異な感じがするかもしれません。
ご判断を委ねます。まあ、巻末に先生の書誌データを詳しく出していますので、これが読者への案内となるのでは。

> 村山様は、最初の段階から、「ウェブで既に公開されているものを活字にする」ことに対して、疑問を抱いていらっしゃるようですが・・・
>私のブログの読者の数は、190人ほどで、固定しています。つまり、日本の人口1億2千万人のうち、190人くらいが、あの文章を目にした可能性がある、ということです。
> この状況を「公開している」と言うべきでしょうか?読むべき人は既に全員が読んでいる」と言うべきでしょうか? 
> 私がお伝えしようと思ったのは、このことです。

わたしはもっとたくさんの方が読んでいるのかなと思っていました。
小谷野敦さんがすでに紹介していることもわたしには影響していました。
でも尾崎さんのご説明でわかりました。

さて、これからの段取りについてです。
1)デザイナーと本文組などの相談のため、今の原稿テキストをメール送っていただけますか。ワードで結構です。
2)元原稿を編集部でざっと読みます。
その際の表記のルールなどをつくり整理します。
原稿は読みやすく、文芸物ですので、基本は著者の表記優先ですが、
細かい表記の整理が必要になってくると思います。
1=ルビについて:これは編集部の常識的な考えで入れてよろしいですか?最近の若い読者を想定すると、際限ないですが。
2=書名、作品名は二重鍵カッコ、カッコ内は基本、ポイント下げ、などなど、細かいこと、お聞きします。
3=その他の質問。
以上はメールのやりとりで済むと思います。
4=「あとがき」はありますか?巻末には「須山書誌データ」があ りますが、これとは別に「須山静夫先生の略年譜」は必要ですか?
3=これが済んで、組版に入ります。
4=初校:著者校正(ここで校正者から細かい質問があると思います)
5=再校:著者校正?(必要でしょうね)
6=カバー、帯の進行:
7=出版:12月〜2013年1月?

いかがでしょうか?尾崎さんのご都合もあるでしょう。ご検討下さい。
大学の授業でお忙しいでしょうが、近々上京されることがあれば、一度お目にかかりたいです。

村山恒夫


●村山恒夫様、私も「村山さん」とお呼びすることにしますね。
拙稿を出版に向けて乗り出していただけるとのこと、ありがとうございます。メールをいただいて、そわそわしておりまして、ちょっと他のことが手につかない状態です。
ところで、ご指摘いただいてから、須山先生の訳をどこかに挿入できないか、あれこれ考えておりまして、その結果、2カ所ほど、アイディアが浮かびました。
ということで、今、その辺の改稿に取り組んでいるところです。ただ、大幅な変更にはならないと思いますので、差し当たり、前に村山さんにお送りしたのと同じ原稿をこのメールに添えてお送りしますね。
あと、ルビについては、編集部の方でつけていただいて構いません。また文の体裁について、統一すべきところは適宜直していただいて構いません。特に著作リストのところは、どのようにすれば最も見やすいものに なるか、迷うところがありましたので、もし編集部の方で、前例などがありましたら、そちらに直していただいてもいいです。
略年譜は、つけない方針で行こう(伝記ではなく、半ば小説のようなものとして読んでいただきたいと思うところがありますので・・・)と思うのですが、あとがきに関しては、お礼を言いたい方々もいらっしゃいますので、書きたいと思います。
これについては、もう少々お時間を下さい。

何だか心が浮き足だって、十分にお尋ねの件にお答えしているか、よく分かりませんが、必要なことはまたお尋ね下さい。
とにかく、私の文に賭けて下さり、ありがとうございました。

尾崎俊介


●尾崎俊介さま尾崎俊介

原稿、いただきました。
おおむね、了解しました。進めてみます。

村山


●尾崎俊介さま
> 略年譜は、つけない方針で行こう(伝記ではなく、半ば小説のようなものとして読んでいただきたいと思うところがありますので・・・)と思うのですが、あとがきに関しては、お礼を言いたい方々もいらっしゃいますので、書きたいと思います。これについては、もう少々お時間を下さい。

略年譜のことはこの尾崎コメントで納得したのですが、尾崎ドキュメントをあらためて読みました。

1)タイトル:『S先生のこと』
2)サブタイトル:「アメリカ文学者 須山静夫の生涯」

このあたりは、編集が進んで考える事柄ですが、「生涯」となると、本の内容とややそぐわないし、「生涯」にこだわると、略年譜がほしくなる・・・。
わたしはサブタイトルを直したほうがいいとおもいますが。

村山
9月25日


●村山様、尾崎です。
副題の件ですが、これは企画書作成用にあまり考えもせずにつけてしまったので、あまり思い入れはありません。
無い方が良いのであれば、削ってしまいましょうか。

尾崎俊介


●村山様、 尾崎です。
送っていただいた御社の本2冊、確かに受け取りました。どうもありがとうございました。
ところで、『死ぬまで編集者気分』の書評が『季刊kotoba』に出たんですね!実はこの雑誌の編集長をしている田中伊織さんというのは、私の大学時代のゼミの先輩で、私はよく知っている人なのです。

『S先生のこと』が出たら、田中さんにお願いして『季刊kotoba』書評を出してもらえるかどうか、頼んでみます。

尾崎俊介


●尾崎俊介さま
いろいろ人脈があることは心強いです。
まあ、日本の書評はある意味でお友達ネットワークなので。偶然、奇跡も楽しいですが。尾崎さんのネットワークがたよりです。

村山恒夫
PS:
『墨染めに咲け』は、ある意味で本当に珍しい本です。確認した限りでは、1個も書評がなかったのです。
http://www.shinjuku-shobo.co.jp/2016-SHOHYO-TOP.html
編集製作した元東峰書房の高橋衛さんに、先生のお仲間たちは本当に冷たいとグッチッタことがありました。もっとも、なにか素晴らしい書評、紹介がされているのを、知らないだけかも。


●尾崎俊介さま
ひとつお願いがあります。
実はわたしは須山静夫さんと一面識もありありません。
お顔も知りません。
ハンサムで宮口精二に似た古武士のような人とおっしゃる。どんな顔をされているか、写真か画像を拝見できませんか?
さて、本日、信頼おける女性編集者に原稿を渡しました。
原稿整理に入ります。
彼女もデザイナーもどんな方か、興味津々です。
実は『墨染めに咲け』『腰に帯・・・』以外の本、8冊を近くの図書館で借りました。残念なことに『クラレル』は裸本でした。
どの本にも、訳書は無理でしょうが、単著にも著者近影がないのです。

村山恒夫


●村山様、尾崎です。
須山先生の写真ですが、よく考えてみると、私もあまり多く持っておりませんで、しかも60歳代くらいのものは神奈川の実家にあるので、手持ちのものはもうかなりお年を召したもの、70歳代のものしかありませんでした。
添付したものは、写真をさらにカメラで撮影したものなので、若干ピントもぼけていますし、またこの写真がハンサムだった須山先生の、そのハンサムぶりを正しく反映しているとはとても思えませんが、大体、こんな感じのお顔、というのが分かるだけのものとして、ご覧下さい。

尾崎俊介
追伸:「あとがき」と、先生の翻訳例の挿入部分の書き直しの件、もう少しお時間を下さい。


●なるほど、たしかに宮口精二似。
こんど、実家にもどられる際、別な写真を見せてください。

村山


●村山恒夫様、尾崎です。
『S先生のこと』の件ですが、「あとがき」が書きあがりました。また 村山さんのご示唆で、須山先生の実際の訳文をどこかに入れてみようと思い、「その18」と「その19」を書き直してみました。
また「その13」について、一か所、書き足したい部分がありましたの で、それも書き直してみました。「その13」「その18」「その19」について、黄色くマーカーを引いたところが、変更箇所です。それ以外に変更点はありません。
ところで、「その18」には冨山房のフォークナー全集からの、また「その19」には白水社版『闇の中に横たわりて』からの引用を挿入することになったわけですが、この場合、冨山房および白水社に許可を取るべきでしょうか? 許可というのは、メールで問い合わせる形でいいのでしょうか? 学術書ですと、1頁程度の引用は、出典が明記してあれば、特に出版元に断ったりしないので、やり方がよく分かりません。この点、ご教示いただければと思います。
それから、「その17」に登場する須山先生のコピー・アート作品ですが、あれ、カラーで掲載できるでしょうか。あるいは表紙に使うとか? いずれにせよ、現物がありますので、必要であれば、送ります。もしこの件を検討する時期が来ましたら、お申し越し下さい。
それでは、よろしくお願いいたします。

尾崎俊介
追伸:『図書新聞』10月6日号に、須山先生の『クレバスに心せよ!』 に対する書評が出たのをご存じでしょうか。立教大学の後藤和彦先生がお書きになったものですが、「「翻訳の鬼」の遺著へ捧げるオマージュ」と題され、何だかよく分からないけれど、すごい本だ、ということが書いてあります。
「須山静夫といえば、アメリカ文学をやっているものにとって、「翻訳の 鬼」として、生前から一種の伝説だった人だ」、というのが冒頭の一節。
『S先生のこと』が、この伝説の裏側にまでも光を当てるものとなれば、と思っています。


●尾崎さま
追加原稿ありがとうございました。差し替えます。
まとめてご質問いたします。
さて、お問い合わせの件、以下お答します。

> ところで、「その18」には冨山房のフォークナー全集からの、また「その19」には白水社版『闇の中に横たわりて』からの引用を挿入 することになったわけですが、この場合、冨山房および白水社に 許可を取るべきでしょうか? 許可というのは、メールで問い合わせる形でいいのでしょうか? 学術書ですと、1頁程度の引用は、出典が明記してあれば、特に出版元に断ったりしないので、やり方がよく分かりません。この点、ご教示いただければと思います。

まず、上記の件、出版社から当該の各出版社に再掲載願いを出します。
形式的なことですが、礼儀なので。
そこでおねがいがあります。
それぞれの引用箇所のページおよび各本の奥付をコピーして、送ってくださいませんか?各出版社に添付する必要があります。また、こちらの校正の際に 突き合わせにも必要なのです。

> それから、「その17」に登場する須山先生のコピー・アート作品ですが、あれ、カラーで掲載できるでしょうか。あるいは表紙に使うと か? いずれにせよ、現物がありますので、必要であれば、送ります。もしこの件を検討する時期が来ましたら、お申し越し下さい。
本文ではカラー印刷は無理です。
本文では白黒で引用はできますが、わたしとしては、どうでしょう、尾崎さんの文章で十分想像できるかもしれないと思うところもあります。
また、カバーにつかうかどうかはわかりませんが、このコピー・アート作品が『S先生のこと』全体のイメージではないと思います。
なんだか、否定的な意見を連発しましたが、
いずれにしてもいったんお借りすることはできますか?

> 追伸:『図書新聞』10月6日号に、須山先生の『クレバスに心せよ!』に対する書評が出たのをご存じでしょうか。立教大学の後藤和彦先生がお書きになったものですが、「「翻訳の鬼」の遺著へ捧げるオマージュ」と題され、何だかよく分からないけれど、すごい本だ、ということが書いてあります。
未見です。さっそく見てみます。

村山恒夫


●村山様、引用箇所のコピーの件、了解しました。早速、お送りいたします。
それから先生のアートの件ですが、やはりカラーのページは無理だろうなと思っていました。ただ、なかなか見事なものであることは確かなので、上のコピーをお送りする時に、一緒に送ります。見るだけ見てあげてください。
あと図書新聞の件ですが、後藤先生の書評、ほめているんだかいないんだか、いや、ほめてはいるのですが、書評を読む限り、すごく難しい本なのではないかと、 一般の読者諸氏をひるませるような内容になっていて、ちょっとどうかな、と思うところはあります。

尾崎俊介


●尾崎さま
さきほど、『図書新聞』の書評を読みました。なんだかひどい書評ですね。
自分でも言っていますが、ボツにしてもいいような文章です。これだけ時間がたっているのに、なさけない。われわれの世代だと、元NHKの後藤さんと思いましたが、同名異人でした。『毎日新聞』の荒川洋治さんによる紹介は5月に出ています。
荒川さんらしい、こころやさしい紹介です。
ネットでは、
http://angel.ap.teacup.com/sammy/2216.html
これはいい紹介です。
ひどいのは山形浩生。
http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20120424
尾崎さんはみなご存知でしょう。

さて、今回いただいた原稿のうち、「あとがき」。
よく読んで感想をいいます。あえて言わなくてもいいようなとこと があるのでは。わたしが言いだしたにもかかわらず、本文だけでいいような気もしてきました。
編集者にも聞いてみます。

村山


●尾崎俊介さま
本日、覚書、資料など届きました。
端正な字ですね。
それと、カラーコピーアート。
実際に見ると、ある種の感動を覚えます。
出版社には来週、再掲載願いをだします。
取り急ぎお礼まで。

村山


●村山様 須山先生のコピーアート、割と面白いでしょう?

尾崎俊介


●尾崎俊介様
10月末までに初校を出す段取りで進めています。
清楚な、清貧な本作り(もちろん貧弱ではありません。笑)がブックデザインのポリシーです。
新旧英語青年だけでなく広く一般の読書人向けをイメージしています。人生、こころの本として。
「あとがき」は今回、組んでいません。
それと、S先生の略歴、略年譜は必要ではないですか?
文献はすこし細かすぎるかもしれませんが、初校を出します。体裁についても質問があります。(たとえば、『月水金』だけ元号使用か、とか)これもゲラが出たところで、もろもろご相談します。
原稿整理の段階で、編集者から軽い疑問の鉛筆も入っています。これも初校出校時にあわせて、お尋ねします。

もうすこし、お待ちください。

村山恒夫


●村山恒夫様、尾崎です。
初校の件、了解しました。楽しみに待っています。
また「あとがき」も、今回はカットしましょうかね。その方が、小説的な味わいもあるかもしれません。
それから略年譜ですが、まだ時間があるようですし、とりあえ ず作成してみます。

尾崎俊介


●尾崎さん
お待たせしました。ゲラがでました。
メモ作成した後。明日発送します。
ご自宅宛でいいですね?

村山


●村山様、尾崎です。
ゲラが出たとのこと、いよいよか、という思いでワクワクしますね。
自宅の方に送っていただけるとありがたいです。
それから、須山先生の略年譜ですが、現在、未亡人の名保子様に確認を行なっていただいているところです。2ページ程度のものですが、もう少々お待ち下さい。

尾崎俊介


●尾崎さま
言い忘れました。
数詞表記の方針についてだけ、はやめに校正者に伝えたいので、ご意見をくださいませんか?
それと、当方で持っていて、引用チェックができる書籍名をのちほど、お知らせします。

これからの流れ;
1)尾崎さんからの校正戻り
2)校正者のからの校正戻り
3)両者を検討して、尾崎さんに質問
4)尾崎さんのお答を頂いて統合
5)組版に戻し
6)再校出校し、尾崎さん、校正者にお渡し
7)1)〜5)の繰り返し
8)3校出校
9)念校出校
10)データ入稿
以上です。


●尾崎俊介さま
さきほど、ご自宅宛に初校ゲラをお送りしました。
これから基本は紙ベースでいきます。
ただ大幅な加筆、訂正がある場合はその部分のみのテキストを添えてくださると助かります。メールでけっこうです。

中にいれたメモに書きわすれたことがありました。
本文が終わり、巻末に2P見開きで「須山静夫略年譜」のスペースをあけてあります。略年譜はこの2P程度でお願いします。

それと、最後の「須山静夫著作リスト」。かなり小さい字で押し込みましたが、 それでも10Pあります。本書にとって、これは全部出す必要があるのかなという気もします。
なお、校正のお返しは着払いの宅配便(ヤマト)でお願いします。

村山恒夫
10月30日


●村山様、尾崎です。
ゲラ、本日落手いたしました。私は性格的に校正という作業が好きなので、今後、楽しみながら校正を進めたいと思います。
ところで、巻末の著作リストですが、私としてはこれを重視しておりまして、むしろこれが本書の本文、私の書いたものは、この本文に対する序文というようなつもりですらあります。
ということで、これはカットしないで下さい。

尾崎俊介


●尾崎さま

>ところで、巻末の著作リストですが、私としてはこれを重視しておりまして、むしろこれが本書の本文、私の書いたものは、この本文に対する序文というようなつもりですらあります。ということで、これはカットしないで下さい。
本文に対する序文。よく分かりました。このままでいきましょう。
尾崎さんしかわからない情報があり、こちらではウラがとれないところ多々あります。ぜひよく見てください。
同人誌『月水金』の発行年度は和暦から西暦に変えていいですね?
では、著者校正、よろしくお願いします。

村山


●村山様、尾崎です。
『月水金』の発行年度ですが、西暦に統一しましょう。よろしくお願いします。
それから、数字の記述法の統一ですが、少し考えさせて下さい。なるべく早く回答します。
あと、略年譜ももうすぐ送ります。

尾崎俊介


●尾崎さん
よろしくおねがいします。
村山


●尾崎さま
略歴原稿、ありがとうございました。
2Pはきついような気がしますが、進めます。
それと、数字表記のルール、これで校正を進めましょう。
尾崎さんのほうもよろしくお願いいたします。
またなにか相談する例が出てくるとは思いますが。
それと、ご自身の略歴原稿も用意してください。
ボリュームのサンプルとして、添付します。

村山


●尾崎さん
いい忘れが多くてすみません。
引用部分のリストです。

聖書
『秘儀と習俗』
「過ぎし日々」
メルヴィルによる息子の墓碑銘
『神の残した黒い穴』
『クラレル』原文
『クラレル』
『腰に帯して、男らしくせよ』【チェック済み】
『神の残した黒い穴』
『英語青年』
『翻訳の世界』
『フォークナー全集9 八月の光』
『闇の中に横たわりて』
『墨染めに咲け』【チェック済み】
須山氏私信

当方には2書しか手許にありません。
引用のチェックは出来るだけしようと思っていますが、尾崎さんがたよりです。
よろしくお願いします。

村山


●村山さん、ただ今、校正作業で孤軍奮闘している最中、送っていただいたダミーが届きました。
そして、中を開けてビックリ!
素晴らしい、素晴らしい、素晴らしい、素晴らしい、素晴らしい、素晴らしい!!!
私が「こんな感じの体裁だったらいいな」と期待していたものが完全に実現されている!
いや、その期待をはるかに、はるかに上回るものでした!
素晴らしいデザイン、素晴らしいセンスです。これほどステキな体裁になるとは、正直、予想もしていなかったです。
感動のあまり、まだよくメモ書きも読んでいないのですが、まず一言、お礼を申し上げたいと思い、メールを出すことにしました。
今週末、じっくり時間をかけてA案、B案を比較検討したいと思います。
と言っても、どちらもすごく良くて、悩むことになりそうです。
それにしても、あまりの良さに、ビックリしました。本当に、ありがとうございました。
ますます、やる気が出てきましたよ。よーし、校正作業、頑張るぞ!!
あーーー、嬉しいな!

尾崎俊介


●村山さん、
初校の校正がようやく終わりましたので、明日、宅急便で送ります。
よろしくお願いいたします。
あ、それから、各章の冒頭ですが、「其の一」「其の二」・・・とするより、もう一つのご提案である「花文字」にした方がステキですね。そうしていただけますか?
先生のご葬儀の時、会葬者が一束ずつ花を手向けたのですが、花文字を使うことで、一章ごとに一束ずつ花を手向けているような気になります。

須山先生の著作リストの件ですが、翻訳における「その他」と、著作における「その他」では、若干性質が違うと思いますので、新分類の「訳書」の中に、<その他・非単行本>の分(具体的にはリロイ・ジョーンズから、明大紀要に掲載された『クラレル』の試訳)をそのまま載せて下さい。
また現行バージョンで巻末の「その他」に入っている中で、「過ぎし日々」から「造船科にいたのですから」までは、<他の雑誌に掲載されたもの>の方に入れ、新分類「著作」の「その他」には、2項目だけ、つまり「第二部教室小史」と「Merlin Bowen・・・」だけが入るようにしてください。
それから、本メールに添付して、自分の略歴を送ります。

さて、ここから表紙その他について述べます。
まず杉山さゆりさんが選んで下さった川﨑春彦さんの絵、素晴らしいと思いました。杉山さんが見立てて下さったように、まさにこの絵こそ、私がこの本に託そうとした心象風景をそのまま具現化したもののように思えました。
もし川﨑さんがこの絵を使わせてくれるのならば、これほど嬉しいことはありません。もう、これを見てしまったら、これ以外の表紙が思い浮かばないような気すらします。
それから、19世紀エルサレムの絵も、表紙以外のところに使うものとして、なかなか趣があると思います。杉山さんのセンスには本当に感服するばかりです。
それから、原稿や古い家の写真を見開きなどに使うというのも、良い案だと思います。差し当たり、須山先生未亡人の名保子様に原稿があるかどうか、また家の写真を撮ってよいかどうか、問い合わせてみたいと思います。
また、本文の最後の行を、頭に持ってくるというアイディアも いいと思います。読者に、「あれ? どうなっているんだ?」という 興味を起こさせることができそうですね。

ということで、A案、B案の違いこそあれ、とりあえず川﨑春彦さんに問い合わせていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。

尾崎俊介


●尾崎俊介さま
初校著者校正、お戻し願えるとのこと、ありがとうございます。
著作リスト、校正を拝見します。
それと、略歴原稿をありがとうございます。
再校と一緒に校正を出します。

さて、カバー(表紙)のこと。
大筋ご賛同、ありがとうございました。
今朝、杉並区阿佐ヶ谷北の川﨑先生宅のちかくの杉並局に投函しました。
実は拙宅はその北にある中野区の鷺宮なのです。
画伯宅には水曜日ごろ電話してお邪魔するつもりです。
どのようなご返事をいただけるか。
また、ご連絡します。

村山恒夫
2012年11月12日


●尾崎さん
大切なことをお願いすること、忘れていました。

〉それから、原稿や古い家の写真を見開きなどに使うというのも、良い案だと思います。差し当たり、須山先生未亡人の名保子様に原稿があるかどうか、また家の写真を撮ってよいかどうか、問い合わせてみたいと思います。

上の件、ぜひ奥様にお願いしてみてください。
撮影は杉山さんがします。

村山


●村山さん、実は先週から風邪をひきまして、校正も朦朧とした中で行っていました。ので、コピーを取る気力はありませんでした。ということで、該当部分のコピーを送っていただけるとありがたいです。
それから未亡人への問い合わせの手紙を昨日出しておきました。原稿の方は大丈夫だと思いますが、家の写真(地下書庫の写真)の方は、ひょっとすると嫌がられるかも知れませんが・・・。
とりあえずお返事が来次第、ご連絡します。

それにしても、川﨑画伯のお返事が気になるところです。OKしてくれたら万々歳ですね!

尾崎俊介


●尾崎さま
ゲラの突き合わせをすすめたところで、判断させてください。
一本化した「正本」をもう一度、尾崎ジャッジを仰ぐためにお返しして、 2、3日で見ていただくことも考えています。
いずれにしても、ご連絡いたします。

村山


●尾崎さま

ざっと二つのゲラを検分しました。
いろいろ細かい質問もありますので。
やはり一本に統合した後、尾崎さんにお送りし、二三日でジャッジしていただき、こちらに返していただき、直しにまわすことにします。
すみません、おつきあいをお願いします。
校正紙は編集部ゲラを正にし、尾崎さんの赤字をすべて青字で転記し、一本にしておきます。
1)赤字=編集部校正
2)青字=尾崎校正
3)えんぴつ=質問、提案
この一本にした校正紙にジャッジしてください。
具体的なことは、お送りする際に書いておきます。
統合に時間がかかるので、すこし時間をください。
なんとか、19日にはお届けできるかと思います。

さて、未亡人から、撮影について、いいお返事があるといいですね。

>それにしても、川﨑画伯のお返事が気になるところです。OKしてくれたら万々歳ですね!

26日にお会いできることになりました。
ただ書籍に使用することを許していただけるかどうか、
また使用料金にことも大きな壁になると思います。当方では少部数の教養書(部数2000部、本体定価2000円〜)での使用ということはすでにお伝えしています。写真使用料程度しかお支払いできないのです。
まあ、川﨑案がだめでも、杉山さんは他に考えてくれるはずです。
チープ・アンド・シックなデザイン。これがわたしの希望です。
尾崎さんに印税放棄、現物支給というサポートしていただいている本書の出版ですが、もはや同盟軍兵である尾崎さんに泣き言でなく、リアルなことを申し上げます。
本書の原価(制作費)回収点は1100〜1200部あたりです。2000部作ってこの数字。きびしいです。ほんとうに高いハード ルです。
真実スモールなビジネスです。ぜひ2000部売り切りたい。
学術書なら高額定価にして、かつ様々な出版助成があり、なんとで もなります。
一般書がいい数字が出ないという理由で、なかなか出版されないのはこれが背景でしょう。
川﨑画伯の案がボツになってもがっかりしないでください。かわりの新杉山案がでてきます。今回の案で尾崎さんのお考えもわかったので。
でもこれはいい本、出すべきだと決めたのは、わたしです。
まちがいなく、いい本になります。

村山恒夫


●村山さん、
1200部の赤字回収分水嶺、何とか越したいです。
集英社の雑誌『kotoba』の編集長をしている先輩に頼んで書評を出してもらったり、柴田元幸さんのような、アメリカ文学関係で読書界に影響力を持つ人に頼んで、どこかで宣伝してくれるよう、頼んでみるつもりです。といって、卑屈な意味ではなく、まず認知してもらえば、須山先生の生涯は知る価値のあるものだと信じるからこそ、「まず認知してもらう」という部分で、力を貸していただこうという意味です。
表紙の件、川﨑画伯の表紙が理想的ですが、たとえそれが ダメでも、杉山さんのセンスに期待します。

ちなみに・・・・
杉山さんの参考になるかどうか、私がこの本を書いている間、頭の中にあった映像は、プリンスというアーティストの『Around the World in a Day』というアルバムのLP版のジャケット内側の絵です。曇り空と虹と草原と草花。
ある意味、川﨑さんの絵と同じテイストなので、それで杉山さんのセンスに驚いたのです。

尾崎俊介


●尾崎さん
ただいままだ統合中。月曜日に間にあうかどうか?
〉杉山さんの参考になるかどうか、私がこの本を書いている間、頭の中にあった映像は、プリンスというアーティストの『Around the World in a Day』というアルバムのLP版のジャケット内側の絵です。曇り空と虹と草原と草花。

さて。プリンスですか?
http://www.amazon.com/Around-World-Day-Prince-Revolution/dp/B001BPDPTQ
この内側の絵はどんな絵なんでしょうね?

村山


●村山さん、
この時代、どんな映像でもネットにあるかと思ったのですが、
このジャケットの裏側の図は、どこにも発見できませんでした。
実家には、LP版があるんですけどね・・・。

なお、須山先生の未亡人からはまだ何の音沙汰もありません。
やはり自宅を公開するというのは、踏ん切りがつかないのでしょうか・・・。

尾崎俊介


●尾崎さん
すみません。間に合わなくて、明日着は無理です。
もう少し、お待ちください。

村山


●村山さん、
了解です。じっくり行きましょう。

須山未亡人からの返事は土曜日もありませんでした。
週明けに来るでしょうか・・・?
やはり、自宅を公開するようなことは、御嫌なのかなあ・・・。

尾崎俊介


●尾崎俊介さん

今夕、クロネコで送りました。
添付のメモはプリントして同梱してあります。
シンプルに考えてください。
多くの鉛筆は無視無視かと思います。
気楽に、気楽に。

村山恒夫


●村山さん、
待ちに待った須山未亡人、名保子様からのお返事が届きました。全文を転記します。

拝復
お辛そうなお風邪の中からのお問い合わせ、恐縮に存じます。どちらの件(注:自宅or地下書庫撮影&自筆原稿撮影)も喜んでお受けいたしますが、日にちについて勝手ながらお願いがございます。
○クラレル、ノートは3冊机近くにありますが、原稿は目にしたことが無いので、これから探します。
○地下書庫、少し片づけたく、今娘の楽器も(生前からですが)同居しており、私の方の本も足がわるくなってから棚に戻さず下ろしたままとなっていたり、です。ほんの少しマシにしとうございます。
右の件を省いて、考えますと、二十五日(日)が過ぎたあとの、午後の都合を問い合わせていただければと思います。二十四日まで、私の仕事があってちょっと重うございます。
とりいそぎ、また。

ということでした。ですから、基本的には撮影OKということです。ただ、少しだけ片付けのための時間を下さい、ということですね。

それで、先生のご自宅ですが、まず住所は、調布市◆▲町0−00−00でして、未亡人のお名前を念のため繰り返しますと、「須山名保子」様です。
電話番号は0000−00−0000です。
私としては、差し当たり撮影OKをいただいたことへのお礼状をこれから 出そうと思っています。そして、その中で、いずれ杉山さゆりさんがお写真を撮りに伺いますので、どうぞよろしくお願いします、というようなことを書いて置けばよろしいですね?

ちなみに、お手紙の中でも言及していらっしゃいますが、未亡人も あまりお身体が丈夫ではなく、特におみ足がお悪いので、非常にゆっくりとしかお歩きになれません。ですから、てきぱきと片づけをされたりすることはできないのです。そのあたり、ご承知おきの上、撮影の際はご配慮いただけると有難いです。(という意味は、あまり急かさないであげて下さい、ということなんですが)
もしこの件に関して、私がやるべきことがあれば、遠慮なくお申し越し下さい。

尾崎俊介


●尾崎さん
奥様の了解が得られてよかったですね。
来週、26か27日に電話を差し上げて、無理のない日程で伺うように、
杉山さんと相談します。
この件では、尾崎さんは大学のお仕事もあるでしょう。
われわれだけでやれると思います。
さて、校正が届きましたか?
いろいろ細かいことで申しわけありません。

来週は川﨑画伯宅の訪問も控えています。
では。

村山


●尾崎俊介さま
質問です。

S先生の
庭:
地下書庫:
自筆原稿:
この中で、庭はどの程度、個性的なものでしょうか?

村山


●村山さん、
須山先生のご自宅の庭の件ですけれども、いわゆる日本庭園というか、庭師が入ってきれいに樹木を刈り込んだような庭ではぜんぜんありません。

こういうと失礼な言い方になるのかもしれませんが、素人が好きな草花をあちこちに植えた結果できた、相当にワイルドな庭、という感じです。「野草園」みたいな感じと言いましょうか。家が一軒建つくらいの敷地面積のところに、わーっと子どもの背の丈ほどの草花が植わっているという野趣あふれる趣。
白黒フィルムで撮ったら、案外、昭和レトロな感じがするかもしれません。

尾崎俊介


●尾崎さん
いいですね。
楽しみです。

村山


●尾崎さん

1)著者校正のゲラ、届きました。
これから、読みます。
2)川﨑画伯、娘さん、ご夫人と面談。
了解です!画伯も喜んでいるとのこと。
画料であまたが痛いのですが。
贅沢で素敵な本になりました。
本当に売らないと!
尾崎さんもお願いします(悲鳴)。

村山恒夫

(この項、つづく)

*『S先生のこと』(尾崎俊介著、新宿書房)の編集・校正は室野井洋子(2017年7月4日死去。享年58)、デザインはQ(杉山さゆり)。カバー絵は川﨑春彦(『曠野』(1971)、川﨑画伯は2018年10月2日死去)。印刷・製本は萩原印刷。また『墨染めに咲け』(須山静夫著、新宿書房、2008 )の編集は高橋衛(元・東峰書房)。高橋は東峰書房で、『腰に帯して、男らしくせよ』(須山静夫著、1987 、装丁=田村義也)を編集・発行している。