大阪ヨーロッパ映画祭でフィンランド作品の上映

[2008/11/17]

 毎年ヨーロッパから、多くの作品を紹介している大阪ヨーロッパ映画祭が今年も開催中である。15回目を迎える今回も、デビッド・リーン監督の『アラビアのロレンス』のニュープリント版初上映をはじめ盛りだくさんだが、毎年恒例の「ヨーロッパ最新映画作品初上映」の企画では、フィンランド/ドイツの共同製作作品が上映されるので、今回はこの作品についてご紹介したい。

 作品のタイトルは『氷の仮面舞踏会』(Musta Jää:2007)で、ドイツとの共同製作とはいうものの、ヘルシンキを舞台にしたフィンランド語の作品である。脚本、監督はペトリ・コトウィカ(Petri Kotwica)。コトウィカ監督は1964年、フィンランドの港町トゥルクの郊外、パライネンで生まれた。その後ヘルシンキ大学で哲学、文学、演劇演出を専攻、さらにヘルシンキ美術大学で映画監督の教育を受けた。大学在学中から多くの短編映画を手がけ、卒業後、2005年に「Homesick」(Koti-ikävä)で長編劇映画デビュー。本作は長編劇映画2作目となるが、今年のユッシ賞(フィンランドのアカデミー賞に当たる賞)で多くの賞を獲得、ベルリン国際映画祭などにも出品され、好評を得ている。

 

氷の仮面舞踏会

 原タイトルを直訳すると「黒い氷」となるこの作品だが、ヘルシンキで婦人科医をしているサーラ、その夫の建築家レオと、その浮気相手であるレオの学生トゥーリの三角関係の物語である。サーラがある日、夫の浮気に気づき、彼女はトゥーリに近づこうとするが…。

 サーラ役はアキ・カウリスマキ監督(228ページ)の作品にも『浮き雲』(124ページ)、『過去のない男』(170ページ)ほか、多数出演しているオウティ・メエンペー(214ページ)が演じている。トゥーリ役はリナ・カタヤ(Rina Kataja)。彼女は1975年、フィンランドのタンペレ生まれ。フィンランドでは多くのテレビドラマや映画で活躍している女優だが、最近はテレビドラマで演じることが多いようだ。レオ役にはマルッティ・スオサロ(Martti Suosalo)。彼は1962年にフィンランドのオウルで生まれ、1986年にテレビドラマでデビューし、その後、多くの映画でも演じており、たとえば2003年のシベリウスの伝記映画『Sibelius』ではシベリウス役で主演している。また、他のスタッフでは撮影にハッリ・レティ(Harri Räty)、プロデューサーはカーレ・アホ(Kaarle Aho)ら。

 下記の作品の公式サイトはフィンランドのみだが、映画のスチル写真や予告編もみることができる。また、本作品のプロダクション、Making Movies Oyの公式サイトでは作品のあらすじやスチル写真など、英語でも紹介があるのでご覧を。

 大阪ヨーロッパ映画祭の最新映画初上映は11月22日から24日までで、本作のほかにもブルガリアやロシア、アイルランドなどからの作品があわせて10本上映される。なお、『氷の仮面舞踏会』の上映は11月24日15時から、大阪・中之島のリサイタルホールにて。また、今年で3回目となる「大阪ヨーロッパ映画祭 in 東京」も開催され、東京でも11月28日と29日の両日、「ヨーロッパ最新映画作品初上映」の作品が上映される。本作の上映は28日17時から。会場は東京・渋谷のシネマ・アンジェリカ。詳細については下記映画祭の公式サイトをご覧いただきたい(各作品の予告編もみることができる)。

大阪ヨーロッパ映画祭公式サイト:http://www.oeff.jp/
シネマアンジェリカ公式サイト:http://www.gojyu.com/
作品公式サイト(フィンランド語):http://www.mustajaa.fi/
作品製作会社サイト(英語/フィンランド語):http://www.mamo.fi/
 
 

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