SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2008にデンマーク作品が参加 |
[2008/7/14] |
毎夏埼玉県川口市のSKIPシティで開催されている、国際Dシネマ映画祭には北欧からの作品が毎年のように参加している。高く評価されて各賞を受賞する作品も多い。2004年から毎年開催され、5回目となる今年の映画祭にも、コンペティション部門にデンマークの作品が出品されるのでご紹介しよう。 今年参加するのは『記憶の谺(こだま)』(Ekko: 2007)で、アンデシュ・モーゲンサラー(Anders Morgenthaler)監督が手がけた。 警官のシモンは最近離婚して6歳になる息子の養育権を失った。自暴自棄になった彼は息子ルーイーを連れ去り、人里離れたサマーハウスへ行く。二人はそこで休日の最後を楽しむはずだった。だがシモンの中で子ども時代の悪夢がよみがえる。彼は、夢の中の幽霊の手で、狂気の世界へと引きずりこまれ…。 シモン役はキム・ボドニア。彼は『ゼイ・イート・ドッグス』(151ページ)ほか、多くのデンマークの映画、ドラマで演じる俳優である。ルーイー役にはヴィラッズ・ミルサース・フリッチェ(Villads Milthers Fritsche)。ほかに『アフター・ウェディング』(本コラム67回参照)などにも出演しているスティーネ・フィッシャー・クリステンセン(Stine Fischer Christensen)、スウェーデン出身のハリウッド俳優で、北欧の作品では『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(156ページ)などにも出演しているピーター・ストーメアらが出演している。 本作のモーゲンサラー監督は、1972年12月生まれ。南デンマークのコーリングにあるデザイン学校を1998年に卒業後、デンマーク国立映画学校に入学。卒業製作した短編アニメ「Araki-The Killing of a Japanese Photographer」(2003)という、日本の写真家アラーキー(荒木経惟)をモデルにした作品が話題になり、ベルリン国際映画祭で短編部門の金熊賞にノミネートされた。映画学校卒業後はデンマークのテレビの子ども番組のホストや、カシミールやスーパーヒーローズといったデンマークのバンドのプロモーションビデオの監督をつとめている。また、デザイン学校卒業から映画学校在学中にかけて、仲間とアニメーション製作会社を立ち上げてテレビ用のシリーズを製作、わずか3年でこの会社はスウェーデン第2のアニメ製作会社になったという。さらに同時期の2001年にミカエル・ウルフ(Mikael Wulff)とともにウルフモーゲンサラー(Wulffmorgenthaler)のペンネームで新聞のコマ漫画のコンペに応募して入選、このペンネームと同じタイトルでデンマークの日刊紙に彼らの漫画が連載されるようになるとそれが好評を博してスウェーデンの新聞でも連載が開始されたり、アニメになってMTVヨーロッパなどでオンエアされたりと、けっこうな人気らしい。英語だがこの漫画の公式サイトのアドレスを紹介するので、どんな作品を描いているのか興味のある方はご覧を。そして映画学校卒業後、モーゲンサラー監督は2006年には長編アニメ劇映画「Princess」で監督デビュー、本作は長編2作目にして実写劇映画としては処女作となる。このように、このモーゲンサラー監督、本コラムではすべてをとても紹介しきれないのが残念なほど色々こなすマルチな方のようで(ちなみに奥様もフィエ・アンボー(Phie Ambo)というドキュメンタリーを中心に活躍する映画監督だそう)、もし今回来日が叶えば、恒例のQ&Aでどんな話が聞けるのか楽しみだ。 他の本作の主なスタッフを紹介すると、プロデューサーがサリータ・クリステンセン(Sarita Christensen)、撮影がカスパー・トゥクセン(Kasper Tuxen)、音楽がヘンリク・リンドストランド(Henrik Lindstrand:先述したカシミールのキーボーディスト)など。 映画祭の日程は7月19日(土)から27日(日)まで。本作の上映は7月21日(月)17時30分からと7月25日(金)11時30分からの2回。上映後には恒例の映画関係者とのQ&Aも予定されている。会場へのアクセスやチケットなど詳細については下記映画祭の公式サイトを参照のこと。また、この公式サイトの上映プログラムのページにある作品紹介では本作の予告編もみることができる。 本コラムでは引き続き、上映やQ&Aのようす、映画祭の結果などもご紹介していく予定なのでお楽しみに。 |
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SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2008サイト:http://www.skipcity-dcf.jp/index.html ウルフモーゲンサラーの公式サイト(英語):http://www.wulffmorgenthaler.com/ |