ショートショートフィルムフェスティバル2008に北欧作品が参加

[2008/6/8]

 今年も日本最大の短編映画祭、「ショートショートフィルムフェスティバル2008」が始まった。この映画祭には例年、北欧からの作品もたくさん参加し、コンペでも各賞を受賞するなど評価も高かったのだが、今年はコンペ部門以外のものをあわせても3作品の参加にとどまっている。少なくてちょっと残念なのだが、今回はこれら3本の北欧からの参加作品についてご紹介しよう。

 まずコンペティションだが、今年は従来からある「インターナショナル部門」に加え、「温暖化」に関するショートフィルムを上映する「ストップ!温暖化部門」が新設された。北欧作品はインターナショナル部門でデンマークから1本、温暖化部門でスウェーデンから1本の作品が上映の予定。それぞれの作品について紹介したいと思う。

 最初にインターナショナル部門。デンマークのルネ・クリステンセン(Rune Christensen)監督によるアニメ作品、『ヒッチハイカー』(Down the Road: 2007)が参加している。モノクロのスリラーである。ある牧師が帰り道、一人のヒッチハイカーを車に乗せる。このヒッチハイカーはなぜか聖職者の心の中の秘密を知っていた…。物語の結末に牧師を待ち受けているのは?

 この作品の監督、ルネ・クリステンセンは1972年生まれ。2001年に何人かの仲間と立ち上げた製作会社、JA FilmでCMなどさまざまな媒体作品の製作に携わる傍ら、本作のような短編作品も手がけている。彼はミュージシャンとしても活躍しており、最近CDもリリースしたらしい。英語だが本作の公式サイトと、英語とデンマーク語で所属する製作会社JA Filmの公式サイトがあるので、詳細を知りたい方は下のリンクからご覧を。なお本作の上映時間は16分弱、プログラムI-Dで上映。
『ヒッチハイカー』
 次にストップ!温暖化部門。スウェーデンのペール・カッレソン(Per Carleson)監督による『招かれざる隣人』(Oväntat besök?: 2008)である。コメディ作品。すばらしい夏のビーチの夕べ。テラスでの豪華なディナーで乾杯している間にだんだん暑くなっていく…。

 監督のペール・カッレソンは1947年、ストックホルム生まれ。写真学校で教育を受けた後は主に音響や映画音楽の面で映画製作に携わる傍ら、自らのスタジオStudio Lagnöで短編映画を多数製作している。1997年の「The Latest News」(Senaste nytt)ではベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞するなど、国際的な評価も高い。この監督のスタジオの公式サイトがあるのだが、スタジオはスウェーデンの南東75キロほどの場所に位置し、バルト海に面した風光明媚なところなんだそうだ。このスタジオでなんとユースホステルも経営していて、1階が客室、2階がスタジオ兼居間になっているという。この夏、北欧に旅行される方は、訪ねてみると面白いかも!? 興味のある方は下記リンクをたどっていただきたい。上映時間は約4分、プログラムI-Bで上映。

 もう一つは、映画祭10周年を記念し、10人のマエストロの作品を紹介する特別プログラム、「マエストロショートショート」にフィンランドのアキ・カウリスマキ監督(228ページ)が登場。作品は『ワイヤーを通して』(Thru the Wire: 1987)で、これは原題と同名のレニングラード・カウボーイズ(211ページ)の作品のプロモーションフィルムとして製作されたもの。日本では1990年に『マッチ工場の少女』(74ページ)との併映で初公開されたほか、何度か日本でも劇場公開され、DVDにも収録されているから、ご覧になっている方も多いだろう。『招かれざる隣人』と同じプログラムI-Bで上映。

 映画祭のスケジュールは、6月6日から14日まで東京のラフォーレミュージアム原宿、横浜のブリリア ショートショート シアターで開催。その後、ナショナルツアーとして横浜、那須、名古屋、大阪を巡回の予定。詳細は下記公式サイトを参照。
ショートショートフィルムフェスティバル2008公式サイト:http://www.shortshorts.org/2008/
『ヒッチハイカー』作品公式ページ(英語):http://www.downtheroad.dk/index.asp
JA Film公式サイト(英語/デンマーク語):http://www.jafilm.dk/
ペール・カッレソン監督のスタジオStudio Lagnöの公式サイト(英語/スウェーデン語):http://www.studiolagno.se/
ラフォーレミュージアム原宿:http://www.laforet.ne.jp/
ブリリア ショートショート シアター:http://www.brillia-sst.jp/

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