「カール・ドライヤー監督特集 日本最終上映」の開催

[2008/4/12]

 東京のアテネ・フランセ文化センターで、デンマークの巨匠、カール・Th. ドライヤー(Carl Th. Dreyer)監督の作品特集が開催される。

 2003年10月、国立近代美術館フィルムセンターで「聖なる映画作家、カール・ドライヤー」というドライヤーの全作品を上映するイベントが開催された。今回の上映はこの特集上映を皮切りに、全国で上映されてきたドライヤーの5作品が「日本最終上映」ということで特集される。

 上映作品はサイレント映画の「裁かるるジャンヌ」(Le Passion de Jeanne dArc: 1927)から、『吸血鬼』「Vampyr: 1932)、「怒りの日」(Vredens Dag: 1943)、「奇跡」(Ordet: 1954)、「ゲアトルーズ」(Gertrud: 1964)までの5本。どれも映画史上に輝く傑作といわれるものばかりだが、これらの作品は残念ながら2008年4月末で日本での上映権が切れるということで、国内ではいったん見納めとなりそうな気配である。
『裁かるるジャンル』
 ドライヤーは1889年、スウェーデン人の母とデンマーク人の父の間に私生児として生まれた。その後デンマークに養子に出され、ジャーナリストを経て監督に転じた。監督としての彼は、諸般の事情から映画会社専属ではなく、一作一作ヨーロッパ各地の映画会社を転々としながら映画製作をせざるをえなかった。このようなことが寡作ではあるものの、独創的な作風を形性できたことの大きな一因となっている。今回の上映作品も、「裁かるるジャンヌ」がフランス、「吸血鬼」はドイツとフランスの合作(台詞はドイツ語)で、残りの「ゲアトルーズ」と「奇跡」、「怒りの日」がデンマークの作品である。いずれの作品もモノクロで、カラー作品を製作する構想はもっていたものの、実現することなく1968年に亡くなった。没後、残された彼の脚本「Medea」は、1988年、ラース・フォン・トリアー(218ページ)によってテレビ作品化されている。

 今回の上映は東京・お茶の水のアテネ・フランセ文化センターで4月19日(土)から26日(土)までの8日間。各日2、3作品ずつ、作品を変えての上映で、各作品4回ずつの上映となる。なお、オープニングはサイレント作品『裁かるるジャンヌ』だが、このオープニングに限りピアノ生伴奏付きの上映となる。主催はアテネ・フランセ文化センターとコミュニティシネマ支援センター、(財)国際文化交流推進協会(エース・ジャパン)。

 また、この特集とは別に、関西でもこれら5作品が上映される。会場は京都市南区の京都みなみ会館と大津市の滋賀会館シネマホールで4月28日(月)から30日(水)に上映の予定。

 どちらの特集も、詳細は下記サイトを参照。貴重な機会なので、お見逃しのないように。
『怒りの日』
アテネ・フランセ文化センター:http://www.athenee.net/culturalcenter/
エース・ジャパンのドライヤー解説サイト:http://www.acejapan.or.jp/film/fes/dreyer/index.html
コミュニティシネマ支援センター:http://www.jc3.jp/
京都みなみ会館:http://www.rcsmovie.co.jp/minami/m_top.htm
滋賀会館シネマホール:http://www.rcsmovie.co.jp/shiga/index.htm

ノルディックシネマ・インフォメーションメニューTOPへ