川口市のSkipシティで北欧映画特集開催中

[2008/3/17]

 すっかりこのコラム、ごぶさたしてしまって申し訳ないのだが、ひさびさに北欧映画の特集上映のご紹介を。川口にあるSKIPシティといえば、毎年夏に開催され、北欧作品も多数参加している国際Dシネマ映画祭の開催で定評があるが、そのほかにもさまざまなイベントが開催されている。

 そのうちのひとつが隔週の週末に、内外のさまざまな映画を紹介する「ウィークエンドシアター」である。この企画でこの2月から3月にかけて、「北欧映画、数珠の輝き」と題し、3回にわたって北欧作品の上映が上映中である。

 すでに第1回は2月23日にアキ・カウリスマキ監督の『街のあかり』(本コラム第60回参照)、第2回にイングマール・ベルイマン監督のデジタルハイビジョン撮影のテレビドラマで、遺作となった『サラバンド』(本コラム第47回参照、もちろん、本作はデジタルハイビジョン上映)が3月9日に上映されている。もっと早くお知らせできなくて、本当にごめんなさい。

 そして第3回となるのがデンマークの巨匠、カール・テオドール・ドライヤー(Carl Theodor Dreyer:1889~1968)の『奇跡』(Ordet:1955)である。なお、この作品については本書『北欧映画-完全ガイド』でも、「北欧映画、その歴史的変遷」の中で取り上げているので参考にしてほしい。ドライヤーは生涯にわずか14本の長編映画を残した寡作の監督ではあるが、他に類をみない傑作ばかりを残している。この作品も、言葉と信仰をめぐる物語を美しく描きだす名作で、デンマーク映画を世界に知らしめた作品であるとともに、20世紀の映画史上に残る傑作のひとつとして名高い。

 当然、北欧の監督の中にも影響をうけた作家は多く、中でもデンマークのラース・フォン・トリアー(218ページ)はもっとも影響を受けた作品のひとつとしてあげているし、エミリー・ワトソンの主演で話題を呼んだ彼の作品『奇跡の海』(122ページ)は、ドライヤーへのオマージュでもあるという。いうなれば、現在北欧映画の「原点」のひとつともいうべき重要な作品なわけで、名画好き、ディープな映画ファンならずとも、最近の北欧映画に興味をお持ちのみなさんにぜひみてほしい作品である。これまでの2回見逃した方も、今回はお見逃しなく。

 「奇跡」の上映は3月23日(日)、14時上映開始で30分前に開場の予定。場所は川口市のSkipシティ彩の国ビジュアルプラザ4階映像ホール。チケットはビジュアルプラザ4階にある県民交流プラザにて販売。料金や交通機関など詳細は下記公式サイトを参照。

 なお、今年の国際Dシネマ映画祭は7月19日から27日までの開催だそうで、どんな作品が上映されるか、こちらの方も今から楽しみである。
『奇跡』(フィルム提供:コミュニティシネマ支援センター/国際文化交流協会<エース・ジャパン>)
SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ、イベント情報ページ:http://www.skipcity.jp/event/hall/0801074.html

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