イングマール・ベルイマン死去 |
[2007/8/20] |
このコラムでお知らせするまでもなく、すでに日本の報道機関も大きく報じているのでみなさんご存じとは思うが、スウェーデンを代表する映画監督で、舞台演出家としても長年にわたり活動してきたイングマール・ベルイマン(Ingmar Bergman)が、現地時間で7月30日早朝、バルト海に浮かぶフォール島(Fårö)にある自宅で亡くなった。89歳。娘さんのエーヴァ(Eva)・ベルイマンのコメントによれば、安らかで静かな最期だったそうだ。 本書「北欧映画-完全ガイド」では、1990年代以降の新しい北欧の映画を紹介するということで彼の監督した作品は取り上げていないが、彼の長年にわたるパートナーだったリヴ・ウルマン(229ページ)の監督作『不実の愛、かくも燃え』(154ページ)はベルイマンが脚本を提供している。もちろん、本書掲載の監督の中にも、直接・間接に彼の作品に影響を受けた監督はじめスタッフ、キャストは非常に多い。また、このコラム(ノルディックシネマ・インフォメーション)の第47回でもお伝えしたように、映画ではないが、最新のテレビ作品(HDカメラで撮影)、『サラバンド』が日本で公開されたのはまだ昨秋のことである。彼のフォール島での生活を撮影したドキュメンタリー「Ingmar Bergman - 3 dokumentärer om film, teater, Fårö och livet av Marie Nyreröd」(2004)が製作されているが、その一部は東京のスウェーデン大使館でも上映された。画面の中のベルイマンは、かくしゃくとした様子で、映画監督は引退とはいうものの、まだまだ創作活動には意欲的なようにもみえ、突然飛び込んできた訃報は筆者にとっては信じられないものに思えるのだが……。 折しも、来年のイェーテボリ国際映画祭ではベルイマンの90歳を祝うレトロスペクティブが予定されていて、ひょっとしたら本人も出てくるようなびっくりイベントなどもあるかも、と思っていたが、残念ながらこれは追悼企画となりそうだ。昨秋、ベルイマンの撮影監督、スヴェン・ニクヴィストが亡くなったばかりだが(本コラム第46回)、その後を追うように「巨匠」がいなくなってしまった。 ベルイマンの死を悼み、ストックホルムにあるスウェーデン映画協会(SFI)には半旗が掲げられ、玄関には記帳台も置かれるという。追悼のための式典も計画されているようだ。なお、お悔やみはメールでも受け付けるとのこと。詳細は下記のSFIのページを参照。 |
イングマール・ベルイマン公式サイト(英語):http://www.ingmarbergman.se/ SFIのベルイマン評伝ページ(英語):http://www.sfi.se/sfi/smpage.fwx?page=8794&NEWS=20097 イェーテボリ映画祭のレトロスペクティブ開催告知(英語):http://www.filmfestival.org/filmfestival/info/sv/press/nyheter?itemId=160732 |