2007年国際Dシネマ映画祭でデンマーク作品が上映 |
[2007/7/12] |
毎年埼玉県の川口市で開催される日本で唯一のデジタル映画の国際映画祭、「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」が、今年も7月14日(土)から開催されている。今回で4回目を迎えるこの映画祭には、第1回に『ウィルバー・ウォンツ・トゥ・キル・ヒムセルフ』(177ページ)、第2回に『ブラザーズ』(190ページ、本コラム第27回)、第3回に『太っちょ泥棒のラブライフ』(本コラム第33回)と、毎年北欧作品が出品され好評を博しているが、今年もデンマークのファミリー向けミュージカル映画『スカイマスター、空飛ぶ一家のおとぎ話』(Der var engang en dreng, som fik en lillesøster med vinger:2006)が長編部門の国際コンペティションに参加している。 10歳の少年、カレが住む街は魔法とおとぎ話と歌でいっぱいの夢いっぱいの場所。ある日カレに妹が生まれる。彼女には背中に何か生えていて、それを翼と信じるカレにはその力が見えるのだが、他の人たちには単なる異物にしか見えず、ついに取り除くための手術が行われることになってしまう。カレはその手術をやめさせようと病院に向かう……。 この作品の監督はミカエル・ウィッケ(Michael Wikke)とスティーン・ラスムセン(Steen Rasmussen)の2人が共同で手がけている。彼らは自らの製作会社、Græsted Filmを1982年に立ち上げ、共同でテレビシリーズやラジオ作品などの製作を開始。当初から脚本も自ら手がけ、出演もしている。長編劇映画には1992年にコメディ「Russian Pizza Blues」でデビューした。下記アドレスの彼らの製作会社の公式サイトでフィルモグラフィ等も充実しているので、興味のある方はご覧を。ちなみにこの会社、本書(北欧映画-完全ガイド)でも取り上げた(50ページ)、コペンハーゲン近郊のフィルムタウンにある。 映画の出演は、カレ役にヤヌス・ディシング・ラスケ(Janus Dissing Rathke)。彼は本作のほか、2006年のベルリン国際映画祭でクリスタル熊賞に輝いたニルス・アーゼン・オプレウ(Niels Arden Oplev)監督の「We Shall Overcome 」(Drømmen:2006、本コラム第19回参照)でも主演しており、今後の活躍が注目される俳優である。カレの母親役にはアンネ-グレーテ・ビアルプ・リース(Anne-Grethe Bjarup Riis)。彼女は1965年生まれの女優で、多数の作品に出演しているが、『イディオッツ』(135ページ)でも演じている。カレの父親役はアナス・W. ベアテルセンで、彼は1969年生まれ。本作のほか、『幸せになるためのイタリア語講座』(160ページ)で牧師のアンドレアス役を、『ミフネ』(146ページ)でクレステン役を演じるなど日本公開されたいくつかのデンマーク映画に登場するので、ご存知の方も多いだろう。 この作品の見所はなんといってもミュージカル・シーンではないか。デンマークの映画賞、ロベール賞ではの最優秀楽曲賞(Best Song)も受賞しており、北欧ポップス・ファンも楽しめそうだ。 なお、下記アドレスの映画祭公式サイトの長編プログラムから、作品の予告編をみることができる。また、デンマーク本国の本作品公式サイトはデンマーク語のサイトだが、映画のサウンドトラック、予告編(映画祭のものとは異なる)、ゲーム、ダウンロードできる画像など、とても充実している。映画祭に行けない方でも作品の雰囲気は十分伝わると思うのでぜひご覧を。 この作品の上映は、7月15日(日)17時30分と18日(水)11時30分の2回が予定されている。両監督もゲストとして招かれ、上映時にはQ&Aなども行われる。もちろんコンペなので、グランプリ(副賞賞金1000万円!)を受賞した場合、最終日(22日)のクロージングセレモニーでも上映されることになるが、はたしてどうなるだろうか。 会場となる川口市、SKIPシティへのアクセス方法などは下記公式ページを参照。本作のほか、国際コンペ部門ではボスニア・ヘルツェゴビナや南アフリカの作品など日本の劇場ではなかなかみる機会のない国のものも上映されるので、お近くの方はぜひ会場へ足を運んでみてはいかがだろうか。 |
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映画祭公式サイト:http://www.skipcity-dcf.jp/index.html 映画の公式サイト(デンマーク語):http://www.sf-film.dk/dervarengangendreng/ 監督のプロダクション会社の公式サイト(デンマーク語、一部英語):http://www.graestedfilm.dk/ |