アキ・カウリスマキ監督の最新作、『街のあかり』がいよいよ公開

[2007/7/9]

 昨冬本国のフィンランドで封切られ、2006年のカンヌ国際映画祭(本コラム第26回参照)のコンペ参加作品でもあったアキ・カウリスマキ監督(228ページ)の最新作『街のあかり』(Laitakaupungin valot)がいよいよ7月7日より日本で劇場公開となる。フィンランドの首都、ヘルシンキを舞台にした、孤独な夜警の男の別れと出会い、そして希望の物語。女に騙され、傷ついた男は、最後にほんとうの「愛」に気づく。ほぼ全編にわたり覆う絶望と孤独感が覆う。寒々しく、ぽつんと灯る、「街のあかり」だが、最後にひとすじの「希望のあかり」へと変わる。『浮き雲』(124ページ)、『過去のない男』(170ページ)に続く「敗者3部作」の最後を飾るにふさわしい作品ではないだろうか。

 今回、撮影のティモ・サルミネン(225ページ)らスタッフは前作までとほぼ同じ顔ぶれだが、キャストは大幅に入れ替えられた。主演の夜警、コイスティネン役はヤンネ・フーティアイネン(Janne Hyytiäinen)。彼は『結婚は10分で決める』(173ページ)、『過去のない男』など、いくつかのカウリスマキ作品に端役で登場するが、主演は初めてとなる。2001年にフィンランドの演劇学校を卒業、ヘルシンキのいくつかの劇場や、テレビ、映画などで演じ始めている。ホットドッグ屋を切り盛りする女性、アイラネン役はマリア・ヘイスカネン(Maria Heiskanen)で、彼女は1970年生まれ。1991年のスウェーデンのヤン・トロエル(Jan Troell)監督作品「Il Capitano」でデビュー、同じ監督の「As White as in Snow」(44ページ)などにも出演している。コイスティネンをたぶらかし、騙す女、ミルヤ役にはマリア・イェルヴェンヘルミ(Maria Järvenhelmi)。彼女は2000年にフーティアイネンと同じフィンランドの演劇学校を卒業、映画には1986年頃から数多くの作品に出演しており、『フロントライン 戦略特殊部隊』(143ページ)などでも演じている。他にもカウリスマキ作品でもおなじみのカティ・オウティネン(229ページ)がスーパーの店員役で出演していたり、カウリスマキ家の飼い犬、パユ(Paju、『過去のない男』でカンヌ史上初のパルムドッグ賞に輝いたタハティの娘にあたる)も演じていたりする。

 作品は東京・渋谷のユーロスペースと、大阪・梅田ガーデンシネマで7月7日(土)から公開されるのを皮切りに、全国で上映の予定。なお、カウリスマキ作品にはゆかりの深いユーロスペースは、本作が開館25周年記念作品となる。

 また、本作公開にあわせて現在までのカウリスマキ作品のサウンドトラックを集めたCDが発売されたり、カウリスマキ監督が始めたソダンキュラの映画祭(84ページ)で芸術監督もつとめたペーター・フォン・バーグによるアキ・カウリスマキの評伝の邦訳刊行も予定されるなど、関連の企画も盛りだくさん。下記オフィシャルサイトでは、『街のあかり』の詳細なロケ地マップも掲載されているので、関連商品を手に、この夏は『街のあかり』とカウリスマキゆかりの地を歩くフィンランド旅行などに出かけるのも面白いかもしれない。
アキ・カウリスマキ監督の最新作『街のあかり』
『街のあかり』公式サイト:http://www.machino-akari.com/
ユーロスペース公式サイト:http://www.eurospace.co.jp/
梅田ガーデンシネマ公式サイト:http://www.kadokawa-gardencinema.jp/umeda/

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