ショートショートフィルムフェスティバル2007で北欧から7作品が参加

[2007/6/27]
　1999年から毎年、東京を中心に開催されている短編映画祭、ショートショートフィルムフェスティバルが今年も6月25日から開催される。この映画祭の国際コンペティションには、毎年多くの北欧作品が出品されるのも特色のひとつだが今年はスウェーデンとノルウェーから、7作品が参加している。他の映画祭などで高く評価されている作品も多く、上映が楽しみである。北欧の作品を、プログラムの順にご紹介しよう。

エルビスがやってきた日（När Elvis kom på besök：2006）
　スウェーデン作品、アンドレアス・ティブリン（Andreas Tibblin）監督。移民排斥問題を扱った劇映画で、移民排斥派のルーカス役を ヨーセフ・セッテルハーゲン（Josef Säterhagen）が演じている。彼は本コラム第35回でも紹介した、スウェーデンのミステリ小説の映画化作品、ファン・フェーテルンシリーズで主人公のファン・フェーテルン刑事を演じている。監督のアンドレアス・ティブリンは1972年生まれで、主にミュージックビデオやCMの製作に携わっている。この業界に入るまでは、クラブのDJをやっていたそうだ。下記の彼のホームページで、彼の製作したCMフィルムをみることができる。
アンドレアス・ティブリン公式サイト（英語）：http://www.andreastibblin.com/


みんなひとりぼっち（Alene menn sammen：2006）
　ノルウェー作品、トロンド・ファウサ・アウルヴォーグ（Trond Fausa Aurvåg）監督のラブコメディ。監督の彼は1972年生まれ。これまで俳優として活躍、今回が監督デビュー作となった。本作はノルウェーのアカデミー賞、アマンダ賞で最優秀短編映画賞を受賞。主人公のトマス役を、クリスティアン・スコルメン（Christian Skolmen）が演じる。彼は1970年生まれで、『ソフィーの世界』（149ページ）など、多くの映画やテレビ作品にも出演している。

愛と戦争（Love and War：2006）
　スウェーデン作品、フレードリック・エーミルソン（Fredrik Emilson）監督による人形アニメ。ミュージシャンでもある彼の監督デビュー作は「たぶん世界初のアニメーション・オペラ」なんだそうだ。音楽にはスウェーデンラジオ放送交響楽団とスウェーデン王立オペラのコーラスがフィーチャーされている、クオリティの高い作品で、期待したい。下記公式サイトで予告編をみることができる。
Love and War公式サイト（英語）：http://www.loveandwar.se/
『愛と戦争』より
パパ（Bawke：2005）
　ノルウェー作品、ヒッシュマン・ザマン（Hisham Zaman）監督による劇映画。逃亡生活を続けるクルド人父子が主人公の作品。アマンダ賞の最優秀短編映画賞を受賞したのをはじめ、多くの映画祭に出品され、高い評価を受けている作品である。ザマン監督は1975年生まれで、リレハンメルにある国立映画学校を卒業、彼の卒業製作も高い評価を受けており、今後の長編作がまたれるノルウェー映画界期待の新人であろう。


チェス（Schack：2006）
　スウェーデン作品、ペニッラ・ヒンセフェルト（Pernilla Hindsefelt）監督によるアニメーション作品。チェスの駒たちが主人公のユニークな短編である。ヒンセフェルト監督は1968年生まれのアニメーターで、CMプロダクションに勤める傍ら、1990年以降、多数の作品を手がけている。

離れられない男（Noen ganger gjør det vondt：2006）
　ノルウェー作品、ゲイル・ヘニング・ホップランド（Geir Henning Hopland）監督によるコメディ。彼女に別れようと切り出された男は、どうしても離れられなかった…。ホップランド監督は1970年生まれ。ノルウェーのテレビ局で番組製作に携わっている。現在は自身の製作会社、Delicious Goldfish Productionsで創作活動を行っているようだ。下記URLアドレスがこのプロダクションの公式サイト。あまり更新されていないようだが、過去の作品が紹介されている。
Delicious Goldfish Productions公式サイト（英語）http://www.deliciousgoldfish.com/

「初めて」は一度きり！（Aldrig som första gången!：2006）
　スウェーデンのヨーナス・オデール（Jonas Odell）監督によるアニメ作品。昨年のイェーテボリ映画祭やベルリン国際映画祭の短編部門で最優秀賞を受賞している。作品の詳細については本コラム第19回、第20回を参照してほしい。

　以上の7作品について、各作品のあらすじや上映スケジュールなどは下記の映画祭公式サイトを参照のこと。映画祭はメイン会場の東京・原宿にあるラフォーレ原宿で6月25日（月）から7月1日（日）まで、他にシネマヴェーラ渋谷、TOHOシネマズ六本木ヒルズでも上映され、その後大阪や名古屋など全国数ヶ所で「国内ツアー」として公開が予定されている。
ショートショートフィルムフェスティバル公式サイト：http://www.shortshorts.org/2007/ja

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