「第19回東京国際映画祭」にデンマーク作品が出品

[2006/10/17]

 今年で19回目を迎える東京国際映画祭のコンペティションに、デンマークの作品が出品される。上映されるのは『アート・オブ・クライング』(Kunsten at græde i kor)で、デンマークの作家、アーリン・イェプセン(Erling Jepsen)原作による同名の小説を、ペーター・ショーナウ・フォー(Peter Schønau Fog)監督が映画化したもの。今回の東京での公開は、アジアプレミアとなる(デンマーク本国では来春公開の予定)。

 舞台は1970年代初頭のデンマーク、南ユトランド半島にある小さな牛乳店。この店を営むヘンリーは自殺願望を抱き、商売にも熱心ではないが、葬式の弔辞にかけては右に出る者がいない、という変わり者。彼の息子で11歳の少年アランの目を通し、一癖も二癖もある父を始めとする彼の家族や、周辺の人々を描いた作品である。

 ヘンリー役はイェスパー・アスホルト(Jesper Asholt)。彼は1960年生まれのベテラン俳優で、多くの作品に出演している。日本公開作品でも『ミフネ』(146ページ)、『デュカネ U-461の謎』(158ページ)などで演じる。息子アラン役を演じるのはヤニク・ローレンセン(Jannik Lorenzen)で、本作が長編としてはデビュー作品となるようだ。

 フォー監督は1971年生まれ。デンマークの国立フィルムスクール(60ぺージ)を2000年に卒業、在学中に製作した40分の短編「Little Man」(Lille mænsk:1999)が各地の短編映画祭で好評を博した。本作が長編劇映画デビュー作である。また、原作者のイェプセンは1956年生まれ。小説のほか、多くの脚本も手がけ、1977年のデビュー作もラジオドラマの脚本だった。この映画の原作は2002年に発表され、長編小説としては彼の第2作目にあたる。

 映画祭での上映は東京・六本木のTOHOシネマズ 六本木ヒルズが10月25日(水)20時20分からと、渋谷のBunkamuraオーチャードホールが10月27日(金)11時からの2回で、いずれも監督とプロデューサーのトーマス・ステネロプ(Thomas Stenderup)によるティーチ・インも行われる予定。

 なお、各賞の発表は最終日に行われる。ちなみにグランプリ作品には賞金10万米ドルが授与されるほか、観客の投票によって選ばれる観客賞もある(賞金1万米ドル)ので、北欧映画ファンの皆さんは本作に投票してはいかがだろうか。
『アート・オブ・クライング』イェスパー・アスホルト(左)とヤニク・ローレンセン(右)
東京国際映画祭公式サイト:http://www.tiff-jp.net/ja/

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