「あいち国際女性映画祭2006」の開催

[2006/8/29]

 中部圏唯一の国際映画祭「あいち国際女性映画祭」が9月6日から10日まで、名古屋市内にある愛知県女性総合センター(ウィルあいち)を中心に開催される。今年で11回目を迎えるこの映画祭では、女性監督の作品を中心に、世界のさまざまな映像作品を紹介。もちろん、北欧からの作品も毎年上映されている(過去の上映作品については、下記公式サイトの「メニュー」から「過去の映画祭」をクリック)。また、今年から観客の投票によって選ぶ「あいち国際女性映画祭観客賞」がスタート。最初の観客賞にどの作品が選ばれるのかも興味深いところである。

 今年の北欧からの作品は、スウェーデンのアネッテ・ウィンブラード(Anette Winblad)監督による『プードルのトリミング』(Att göra en pudel:2006)と、デンマークのスサンネ・ビーア監督(220ページ)の『ブラザーズ』(Brødre:2004)の2作が予定されている。『プードルのトリミング』は日本初公開となる。

 『プードルのトリミング』はトリマー(犬の毛を刈り込んで形を整える、犬の美容師)のリタが主人公の作品。売れないトリマー、リタは実の母親が行方不明。育ての親のエディスの世話をしながらの生活だが、ある日、一大決心をして自己啓発セミナーに参加。そこで彼女はクヌートと出会うのだが…。

 リタ役はエーヴァ・レーセ(Eva Röse)が演じる。彼女は1973年生まれで、ヨセフ・ファーレス監督(219ページ)の「Kops」(Kopps:2003)をはじめ、多くのスウェーデンやフィンランドなどの作品に出演している。クヌート役には『太っちょ泥棒のラブライフ』(本コラム第33回)などにも出演しているニクラス・エングダール(Niklas Engdahl)。エディス役はレナ・ニーマン(Lena Nyman)。彼女は『私は好奇心の強い女』(67ページ)で主演した、あのレナである。監督のアネッテ・ウィンブラードは1964年にスウェーデンの北、ボーデンで生まれた。いくつかのドキュメンタリーや短編を手がけた後、「6 Points」(2004)で長編劇映画デビューをはたし、本作が長編劇映画第2作目となる。ちなみに本作はスウェーデン本国では今年2月に劇場公開された。また、今回の映画祭には、アネッテ・ウィンブラード監督と、本作の脚本を担当したカタリーネ・ハウゲン(Kathrine Haugen)のゲスト出演も予定されているので楽しみだ。

 この映画、英語タイトルは「White Trash」(白いゴミ)となっている(原タイトルは直訳すれば「プードルを演じること」といった意味になる)。主にアメリカ南部の白人低所得者層をさす、差別的なニュアンスを含むスラングだが、なぜこんな英語タイトルがついたかも映画をみるとわかるらしい。
『プードルのトリミング』
 『ブラザーズ』(190ページ)は昨年の「国際Dシネマ映画祭」でグランプリを受賞した作品で、今年の「EUフィルムデーズ」(本コラム第27回)など、すでに何度か日本国内でも紹介されている(愛知県では今回が初上映となる)。この作品のスサンネ・ビーア監督は、『ワン・アンド・オンリー』(148ページ)、『しあわせな孤独』(174ページ)などを手がけている。『ブラザーズ』はデンマークからアフガニスタンに派兵されたが、タリバンの人質となった妻子ある男の物語である。主にアメリカ映画で活躍するコニー・ニールセン(Connie Nielsen)、『ポートランド』(120ページ)など多くの作品で演じているウルリヒ・トムセン(Ulrich Thomsen)、『恋に落ちる確率』でアレックスを演じたニコライ・リー・カース(228ページ)らが出演。

 上映は『プードルのトリミング』が9月7日10時と8日18時30分からウィルあいち、9日13時30分から犬山会場で、『ブラザーズ』が6日18時40分かウィルあいちで行われる予定。詳細は下記公式サイトで確認のこと。

 なお、本映画祭では北欧のもの以外にも、もちろん多くの映像が紹介されるわけだが、その中にはデンマーク型の高齢者福祉システムを導入したことで有名だった、秋田県鷹巣町のその後を追ったドキュメンタリー『あの鷹巣町のその後』といった作品などもある。
あいち国際女性映画祭2006公式サイト:http://www.will.pref.aichi.jp/main03/eiga2006/top.html
別館サイト(ブログ形式の情報サイト):http://aiwff-annex.net/
別館サイト内の『プードルのトリミング』の特集ページ:http://aiwff-annex.net/modules/feature0/rewrite/tc_4.html

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