「BOW30映画祭」の開催 |
[2006/7/3] |
東京にある映画配給会社、フランス映画社が「傑作を世界からはこぶ」というキャッチフレーズのもと、優れた映画を紹介してきたバウ・シリーズが、今年で30年をむかえた。この30周年を記念して「BOW30映画祭」が東京・日比谷のシャンテ シネで7月15日から8月11日まで開催される。 ちなみに、バウ(BOW)とは、「ベスト・オブ・ザ・ワールド(Best Of the World)」の頭文字を組み合わせたものなのだそうだ。シンボルマークにも船の舳先(bow)が使われている。もともとフランス映画社は大島渚監督をはじめ、日本の独立プロ作品を海外に紹介する会社だったが、大島監督の『愛のコリーダ』(1976)のフランスとの合作プロデュースの後、逆に海外作品の日本への紹介も手がけるようになって始まったのがバウ・シリーズという。シリーズとしていちばん最初の公開は、『アタラント号』(L' Atalante:1934)などの傑作を残しながら29歳の若さで夭逝した、フランスのジャン・ヴィゴ(Jean Vigo)監督の『新学期・操行ゼロ』(Zéro de conduite:1933)と、フランスの詩人ジャン・コクトー(Jean Cocteau)原作でジャン-ピエール・メルヴィル(Jean-Pierre Melville)監督が手がけた『恐るべき子どもたち』(Les Enfants terribles:1950)の2本立てによるもの。上映館は今年末に閉館することが決まっている東京・本駒込の三百人劇場であった(今回のイベントでは『新学期・操行ゼロ』のみ上映)。 今回の映画祭では、これまでバウ・シリーズとして封切られてきた160本以上の映画の中から、30人の監督による39作品を上映。もちろん、北欧のものも何本か取り上げられるので、今回はそれらをご紹介しよう。 まず、本書(北欧映画ー完全ガイド)で取り上げた作品。スウェーデンのボー・ヴィーデルベルイ監督(231ページ)による『あこがれ美しく燃え』(115ページ)、同じくスウェーデン作品だが、現在はアメリカで活躍中のラッセ・ハルストレム監督(220ページ)の大ヒット作『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』(73ページ)、フィンランドのアキ・カウリスマキ監督(228ページ)がイギリスで撮影した『コントラクト・キラー』(86ページ)がラインナップされている。そのほかの北欧作品では、旧ソ連の巨匠、アンドレイ・タルコフスキー(Andrei Tarkovsky)監督がスウェーデンで製作した『サクリファイス』(Offret:1986)、デンマークの巨匠、カール・テオドール・ドライヤー監督の代表作『奇跡』(Ordet:198ページ)も上映される。 北欧作品は以上の5本だが、そのほかにも、アイスランドのフリゼリック・トール・フレゼリクセン監督(217ページ)の盟友、ともいうべきヴィム・ヴェンダースや、カウリスマキ兄弟とも親しいジム・ジャームッシュらの初期作品なども含め、世界の「渋い」作品、ファン必見ともいえる傑作がずらりとラインナップされている。DVDやビデオで見たくても、近所のレンタル屋には並んでいないものも多いはず。それらをスクリーンで見られるという、めったにない機会なのでお見逃しなく。 スケジュールなど詳細は、下記のサイトを参照のこと。なお、BOW30映画祭のサイトでは、いくつかの作品の予告編も観ることができる。 |
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