マルティン・ベックに続け? スウェーデンミステリと映画(1) |
[2006/6/12] |
スウェーデンを代表するミステリといえば、マイ・シューヴァル(Maj Sjöwall)とペール・ヴァールー(Per Wahlöö)夫妻による、マルティン・ベックのシリーズだろう。1965年にスタートしたこのシリーズ、日本でも1971年から角川文庫に登場(ただし、邦訳は英語版からの翻訳)、以来現在まで版を重ねている。人気シリーズだけあって、本国では何度も映画やテレビドラマ化、ハリウッドでリメイクされた作品もある。日本でも何度かテレビ放映や、ビデオ化されているので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれない。本書(北欧映画-完全ガイド)でもいくつか紹介している(101ページ)。 スウェーデンのミステリ人気は、マルティン・ベック以降も相変わらずのようで、日本でもリンドグレーンなどに代表される児童文学と並んで、多くの作品が翻訳出版されているジャンルである。近年、リサ・マークルンド(Liza Marklund)やホーカン・ネッセル(Håkan Nesser)、ヘニング・マンケル(Henning Mankell)などの作品が、各社の文庫から訳出されているので、お読みになっている方も多いだろう。これらの作家はスウェーデンでも人気があって、新刊が発売されれば書店の店頭に山のように積まれているし、過去の作品も容易に手に入れることができる。そして多くが映像化されている。本コラムでは、2回にわたり、この3人の著者に関係する映像化作品について紹介したいと思う。今回は、リサ・マークルンド関連の作品を紹介する。 リサ・マークルンドのアニカ・ベングツソン・シリーズ 彼女の作品は日本では「爆殺魔」というタイトルのもののみ講談社文庫より刊行されているが、これはスウェーデンの夕刊紙の女性記者、アニカ・ベングツソン(Annika Bengtzon)が主人公のシリーズ中の1作である。 ちなみに、スウェーデンには全国向けの夕刊紙がいくつかある。日本で夕刊紙というと会社帰りのお父さんの友、という感じなのに対して、スウェーデンでは内容的には普通の朝刊紙とほとんど変わらない。彼女の役回りも警察担当の事件記者、というわけである。 このシリーズは『太陽の誘い』(142ページ)や『ゴシップ』(162ページ)を手がけたコリン・ナトリー監督(222ページ)によって映画化されている。この「Deadline」(Sprängaren:2001)という作品には、アニカ役にヘレーナ・ベリストレーム(216ページ)、ほかにレイネ・ブリノルフソン(218ページ)らが出演している。さらに続編「Paradise」(Paradiset)も、同じ登場人物(おなじキャスト)でナトリー監督により2003年に映画化されている。こちらの方の原作は、現在のところ翻訳されていない。 下記のサイトで、これら2作品をはじめ、ナトリー監督の手がけた全作品の予告編、映画のスチル写真、解説をみることができる。 |
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