「ショートショート フィルムフェスティバル2006」の開催

[2006/5/28]

 北欧の作品も含め、世界各国の短編映画を集めて行われる映画祭、「ショートショート フィルムフェスティバル」が今年も開催される。8回目を迎える今回は、2200本以上の応募作の中から約70作品が厳選されたという。

 映画祭の全日程のうち、今回紹介する作品の上映は6月7日(水)から11日(日)まで、東京のラフォーレミュージアム原宿で行われる。他にももちろん、日本国内やアジアの作品を公開するプログラムなどもあるので、興味のある方はぜひそちらもご覧になっていただきたい。場所やスケジュールの詳細は、下記の公式サイトを参照。

 北欧の短編作品の質の高さについては、本書(北欧映画ー完全ガイド)のコラム(167ページ)でも紹介した。この映画祭でも、昨年はアイスランドの『最後の農場』(Sidasti barinn:2004)が審査員特別賞を受賞するなど、北欧作品の活躍にはめざましいものがあるが、今年はスウェーデンとフィンランドから、合計3本が参加する。

スウェーデンの作品『エスター』、『ある晴れた日』
 まず、スウェーデンからはペニッラ・ヨーハンソン(Pernilla Johanson)監督の『エスター』(Ester:2005)と、ペール・ハネフョード(Per Hanefjord)監督の『ある晴れた日』(En god dag:2005)が出品。

 『エスター』は毎週火曜日に泳ぐエスターという名の女性を撮影。水中写真家のミカエル・パルムグレン(Michael Palmgren)が撮影を手がけている。ヨーハンソン監督は1963年、スウェーデン南部にあるスコーネの出身。この作品が彼女の監督デビュー作で、各地の映画祭で好評を博した。インターナショナル・プログラムI-Aで上映、3分15秒の作品。

 『ある晴れた日』は、2005年のイェーテボリ国際映画祭(58ページ)で、短編部門のグランプリを受賞している。詳細は本書のコラム(167ページ)でもふれているので、ぜひお読みになっていただきたい。スウェーデン人の作家、ヤン・シーグルド(Jan Sigurd)の短編が原作である。この人、作家としてだけでなく、ミュージシャンや劇作家などとしても活躍していて、ずいぶん多才なようだ。シーグルドによる同タイトルの作品を読んだハネフョード監督は、少年時代の記憶を思い起こし、映像化を決意したという。演じるのはローランド・ヘドルンド(Roland Hedlund)とラッセ・ペッテソン(Lasse Petterson)。ヘドルンドは『愛の風景』(94ページ)、『ハンター』(118ページ)などにも出演している。ペッテソンの方は『暗殺の瞬間』(134ページ)、大ヒットラブコメディ「The Guy in the Grave Next Door」(Grabben i graven bredvid:2002)、『歓びを歌にのせて』(本コラム第4回参照)などに出演と、どちらもスウェーデンではベテランの役者。かなりの豪華キャストで、北欧映画ファン必見の作品ともいえるだろう。新人監督の短編に2人だけとはいえ、なぜここまで贅沢できるのか日本では想像もつかない。インターナショナル・プログラムI-Bで上映、16分20秒の作品。
スウェーデンのペール・ハネフョード監督作品、『ある晴れた日』より

フィンランドの作品『ミリヤ』
 フィンランドの作品はマリア・ラッパライネン(Maria Lappalainen)監督の『ミリヤ』(Milja:2005)が上映。8歳の少女ミリヤの目を通して、父親によるドメスティック・バイオレンスを描いた。

 父親役を、『フロントライン』(143ページ)などにも出演しているイルッカ・ヘイスカネン(Ilkka Heisikanen)が演じる。また、撮影はクラウス・ヘーレ監督(217ページ)の「Elina: As If I Wasn't There」(180ページ)なども手がけているヤルッコ・T. ライネ(Jarkko T. Laine)による。こちらの作品も監督は若手でも、キャストとスタッフはベテランぞろいで、力が入っている。インターナショナル・プログラムI-Cで上映、20分40秒の作品。

 この映画祭では、入場者の投票によって決まる「オーディエンス アワード」もある(賞金40万円)。北欧映画ファンのみなさんはぜひ会場に足を運んで、上の各作品に投票しようではありませんか!
映画祭公式サイト:http://www.shortshorts.org/2006/ssff/jp/

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