カンヌ映画祭にカウリスマキの新作が出品

[2006/5/8]

 フランスのカンヌ国際映画祭が、今年も5月17日から開催される。今年で59回目を迎えるカンヌだが、今回は主要部門の北欧からの出品作品を紹介しよう。

注目作:「Lights In The Dusk」
 今回の注目作品はなんといってもコンペに出品されたアキ・カウリスマキ(228ページ)の新作、「Lights In The Dusk」(Laitakaupungin valot)だろう。日本語に直訳すると“夕暮れの灯”となるこの作品、『浮き雲』(124ページ)、『過去のない男』(170ページ)と続いた「失業三部作」の最後を飾る作品で、「孤独」が大きなテーマになっている。これまで同様、彼が監督、脚本、プロデュースを手がけた作品だが、前2作とはキャスティングを大幅に変更。

 主役の孤独なガードマン、コイスティネンを演じているのはヤンネ・ヒイティエイネン(Janne Hyytiäinen)。カウリスマキ作品への出演は、『過去のない男』『10ミニッツ・オールダー』(173ページ)に次いで3回目となる。ほかに、マリア・ヘイスカネン(Maria Heiskanen:スウェーデン作品「All Hell Let Loose」(Hus i helvete:2002)、「As White as in Snow」(Så vit som en snö:2001)などに出演)、マリア・イェルヴェンヘルミ(Maria Järvenhelmi:オッリ・サーレラ監督(226ページ)の『フロントライン 戦略特殊部隊』(143ページ)、同じく「Bad Luck Love」(2000)などに出演)らが出演。

 これまで毎回のように出演していた人たちはあまり多く出ていないが、カティ・オウティネン(229ページ)やシル・セッペレ(Silu Seppälä)といった面々も出演しているし、スタッフも撮影がティモ・サルミネン(225ページ)など、おなじみの顔ぶれである。

 なおこの作品、すでにフィンランド本国では2月に封切られた。「失業三部作」の前2作はいずれもカンヌでノミネート、『過去のない男』ではグランプリと主演女優賞の2冠を達成しているが、この作品はどう評価されるだろうか。大いに楽しみだ。いずれ日本公開もあると思われるので、その際は詳細な情報を本コラムでもお知らせしたいと思う。

「ある視点」部門出品の作品など
 ほかに北欧作品としては、「ある視点」部門にノルウェーのステファン・ファルドバッケン(Stefan Faldbakken)監督の「Uro」が出品されている。この作品はUROという警察のエリートを選りすぐった特殊部隊を舞台にしたスリラーで、ファルドバッケン監督の長編デビュー作である。

 彼は1972年生まれ。オスロ大学卒業の後、1999年にストックホルムにあるスウェーデン国立映画学校(60ページ)のプロデューサー養成コースを卒業している。今回のこの長編デビュー作だが、ノルウェー本国では8月に劇場公開の予定とのこと。主なキャストには、ニコライ・クレーヴェ・ブロック(Nicolai Cleve Broch:「Buddy」(188ページ)、「Uno」(2004)などに出演)、ビョルン・フロベリ(217ページ)ら。

 また、同じ「ある視点」部門のオープニング作品の「Paris, je t'aime」には、デンマークのクリストファー・ボー監督(185ページ)が参加している。この作品、世界の著名な監督20人が、パリ20区を1人1区ずつ、5分の短編で表現した、というユニークなオムニバス。ちなみにボー監督は15区の担当で、他にも日本の諏訪敦彦監督(2区)、コーエン兄弟(1区)、ガス・ヴァン・サント(4区)ら、そうそうたる顔ぶれで、みなさんどんなパリをイメージして、作品に仕上げたのか、楽しみな作品。

 今年は28日がクロージングだが、どんな結果になるのだろうか。また続報したい。
フィンランド映画基金の「Lights In The Dusk」ページ(英語):http://www.ses.fi/en/film.asp?id=673
ノルウェー映画協会の「Uro」ページ(英語):http://www.nfi.no/english/norwegianfilms/show.html?id=693
カンヌ国際映画祭公式サイト(英語):http://www.festival-cannes.org/index.php?langue=6002
wowwowによるカンヌ映画祭情報ページ:http://www.wowow.co.jp/stock/can/

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