2006年イェーテボリ国際映画祭で『ダーク・ホース』が受賞

[2006/2/19]

 本書(北欧映画-完全ガイド)でも紹介したイェーテボリ国際映画祭(58ページ)が、今年も1月27日から2月6日まで開催された。29回目となる今回の映画祭では、60ヶ国以上からの483作品が上映され、チケットの売り上げは11万6000枚に達したそうだ。

 本書の記事でも触れているように、映画祭では北欧作品のコンペがあり、最優秀作品にはノルディック・フィルム・アワード(Nordic Film Award)が授与され、受賞者にはドラゴンをかたどったトロフィーと15万スウェーデン・クローナ(約230万円)の賞金が贈られる。今年の受賞はダグール・カウリ監督(228ページ)の『ダーク・ホース』(Voksne Mennesker:2005)に決まった。この作品、本コラム第16回でも紹介したように、3月に東京・渋谷と神戸で開催されるアイスランド映画祭でも本人を迎えて上映される。カウリ監督、おめでとうございます。

 そのほか、主な受賞作品を紹介しよう。

 まず、映画製作費50万クローナ(約750万円)が授与される短編のコンペの最優秀賞(Bratek's Startsladden)は、ヨーナス・オデール(Jonas Odell)監督の「Never Like the First Time」 (Aldrig som första gången)が受賞。この作品は4人の人々の”初体験”のエピソードをインタビューしたアニメーション。オデール監督は、1962年ストックホルム生まれで、これまでにも何本かの短編映画を手がけている。

 5万クローナ(約75万円)が授与されるスウェーデン映画教会賞には、『ポートランド』(120ページ)などの作品で知られるデンマークのニルス・アーゼン・オプレウ(Niels Arden Oplev)監督の「We Shall Overcome 」(Drømmen:2006)が選ばれた。これは実話を元にした作品で、世界が変わりつつあった1969年、13歳の少年フリッツがマーティン・ルーサー・キング牧師の演説に感動する。その頃彼は学校で校長から不当な体罰を受けていたが、キングの演説に勇気づけられた彼が権力に立ち向かう、という物語。

 国際映画批評家連盟賞には、アイスランドのバルタザール・コルマキュル(31ページ)の監督としての最新作、「A Little Trip to Heaven」(2005)が選ばれた。この映画はイギリスを舞台にした英語の作品で、保険金殺人をめぐるスリラー。ジム・ジャームッシュ監督作品『ゴースト・ドッグ』などでも活躍しているフォレスト・ウィテカーが主演している。なお、彼の監督した前作『101レイキャヴィーク』(本コラム第18回参照)は、前述したアイスランド映画祭で上映の予定。

 ちなみにアジアからは韓国映画『四月の雪』のほか、中国などからも多数の作品が出品されている。下記の公式サイトで全プログラムが検索できるので、どんな作品が上映されたのか、チェックしてみると面白いかもしれない。
映画祭公式サイト(英語):http://www.filmfestival.org/filmfestival/page/en/home/start

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