『長くつ下のピッピ』60周年

[2005/11/22]

 今年はスウェーデンを代表する児童文学作家、アストリッド・リンドグレーンの代表作の一つ、『長くつ下のピッピ』が誕生してから60周年にあたる。本国スウェーデンでは、記念のイベントなども多く開催されている。ピッピ誕生に関するドキュメンタリーも現在スウェーデンテレビ(SVT)により製作中で、宮崎駿と高畑勳コンビによる「ピッピ」アニメ化の企画が頓挫したエピソードなども、本人たちへのインタビューをまじえて取り上げられているという。来年放送の予定で、ひょっとすると日本でも放送されるかもしれない。

 リンドグレーン作品の人気やその映画化については、本書(『北欧映画完全ガイド』でもコラムで紹介している(98ページ)し、『長くつ下のピッピ』も、アニメ化された最新作について「作品別紹介」で取り上げた(130ページ)。今回DVD化されるのは、1970年前後にウッレ・ヘルボム監督によって手がけられた実写版。同じキャストとスタッフによるテレビドラマも製作され、こちらはNHKでも放映されている。これらの作品を幼い頃にご覧になった方も多いのではないだろうか。

 なお、発売された作品のタイトルは『長くつ下のピッピ』(Pippi Långstrump)、『ピッピ船にのる』(Här kommer Pippi Långstrump)、『ピッピの宝島』(Pippi Långstrump på de sju haven)、『続・長くつ下のピッピ』(På rymmen med Pippi Långstrump)の4本(各4700円/税抜)。これらがセットになった『長くつ下のピッピ 世界一のおてんばBOX』(初回限定生産:14095円/税抜)もある。発売はアスミック、販売は角川エンタテインメント。ただ、非常に残念なのは、音声が日本語吹き替え版(キャロライン洋子、岸田今日子らが出演した公開当時のもの)のみであること。日本で公開された当初の形を再現することに徹した結果らしいが、せっかくのDVDなのだから、できればオリジナルのスウェーデン語音声でも鑑賞できるようにしてほしかった。

 ウッレ・ヘルボム監督は多くのリンドグレーン作品を手がけているが、本書掲載作品では『ラスムスくんの幸せをさがして』(70ページ)も彼の監督作品である。2007年にはリンドグレーンも生誕100周年を迎えることもあり、今後も彼女の関連作品に関しては注目していきたいところである。

 また、本作発売を記念して渋谷の代官山に「おてんばカフェ」がオープン。飲食だけでなく、関連グッズの発売や、関連のイベントなども開催される。12月28日までの期間限定。

©Beta Film、Iduna Film、KB Nord-Art, Svensk Film
角川エンタテインメント:http://www.kadokawa-ent.co.jp/
公式サイト:http://www.otemba-pippi.net/
おてんばカフェ:http://otemba-cafe.jugem.jp/

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